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ミス前提社会を想定し、心理的安全を確保

日本の企業文化で特異なところに、ミスをしないノーミス前提社会というのがあります。

私も金融機関で働いていた経験がありますが、最初の部署は顧客が国内法人だったために、FAXの二度打ちや外部メールを2人で確認し合うなどの事務作業もしていたことがありました。しかし、海外顧客向けの部署に異動をするとそのようなことは少なくなりました。また、シンガポールに移住してからは日本のノーミス前提社会が特異だったのだと気が付きました。

日本ではスタートアップや新商品であっても完璧な状態で出そうとしがちです。日本の会社に問い合わせをすると、夜であっても矢のような速さでメールの返信がかえってくることもあってかえって心配になります。また、意味のない書類を求められることも多く、事務作業に不必要な時間がかかります。シンガポールをはじめとして、海外はミス前提社会で、動きながら微調整をするという考え方だと感じます。

シンガポールのスタートアップ企業のサービスを利用すると、時間通りにこなかったり、物が届かないなんてザラです。しかし、1週間、1カ月と経過すると日に日に改善されていきます。ビジネスを始める前に準備万端にするよりも多少クレームは出るでしょうが、コストはずっと少なくて済むでしょう。

政府系サービスや金融機関であってもメールでお問い合わせをしても返事が返ってくるのは10日後ということもざらです。しかし、こちら側もそれほど急いで返答を待っているわけではなく、またその間に問題が解決することも多いので気にならなくなりました。

海外の文化に慣れてしまうと自分自身も融通が利くので、ミス前提社会の方が働いている側も顧客も楽なのではないかと感じてしまいます。日本のように完璧を求めず、動きながら改善していく方が多くの場合は効率的なのです。

また、今後、人口が減少していき、働き手の確保が難しくなると、事務スタッフをこれまでのように確保することが難しくなるでしょう。顧客側も現在の安くて性格でよいサービスが当たり前だと思わないことも大切かもしれません。

・心理的安全性の確保された組織とはどのような組織でしょうか。どのような場面で心理的安全性を実感しますか

スタッフの生活や家族を大切にする組織。定時に仕事を終えて、それ以降は次の朝に処理をすればよいという切り替えが大切です。海外では仕事時間中以外には連絡をしない(ミーティングも入れない)、土日や休みの日には連絡をしないというマナーが一般的です。

・心理的安全性が確保された状態で働く場合、そうでない場合と比べて仕事に生産性は上がると思いますか。それはなぜでしょうか

スタッフがしっかりと休み、睡眠や運動を取ることができたほうが生産性が向上できる可能性が高いです。また、福利厚生がよいほうが長く働く可能性も高まります。

・心理的安全性を高めるには、どのような取り組みが効果的だと思いますか。どのような組織づくりが必要でしょうか

ミスを許さない組織だと反対にミスを隠蔽する人も出てきます。オープンに相談ができる環境で、ミスが出た場合もみんなで話し合って解決をしていけるような取り組みを心がけることが効果的だと感じます。

PRINCIPLES(プリンシプルズ) 人生と仕事の原則 』(日本経済新聞出版)にもオープンに話し合えるユニークな組織について書かれており、参考になります。


#日経COMEMO #心理的安全性を確保するには

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花輪陽子(FP@シンガポール、経営者、著者)
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