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DeSci(分散型科学)は新しい資本主義の形になるか

基礎科学と資金

基礎研究は長い時間が必要である。いつどこでマネタイズできるかもわからない。何の役に立つのか、という質問をされがちであるが、大栗先生が下記の記事でお話しされているように、たくさんの人に使ってもらえる汎用性の高い道具という一言に尽きるのであろう。それは抽象的であればあるほど汎用性の高さの表れでもあるし、役に立つまでの時間が長いということでもあると思う。(例外はある。)

やはり目先の課題解決や、役に立つこと、マネタイズが見えている方向の領域に投資が集中しがちであることは否めない。

「理論物理学者の仕事は理論的な道具をつくること。それはたくさんの人に使ってもらえる汎用性の高い道具です。研究者の研ぎすまされた好奇心から生まれた道具は、しばしば普遍的な価値を持ちます」。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0263B0S2A201C2000000/#k-think

新しい基礎研究発展の形 DeSci

1.Web3と科学

Web3やメタバースの話題が騒がれて久しい。とおもったらChatGPTなどのGenerative AIの出現により、話題がそちらにごっそり移ってしまったかのように感じることもある。
依然としてWeb3の話は興味深く存在し続けている。

個人的には、DAO(自律分散型組織 、decentralized autonomous organization)によるDeSci(分散型科学、DeSci: decentralized science)というのが、新しい基礎科学の発展の助けになるのではないかという話に非常に興味があり、注目していた。

特に昨年の今頃この記事をみて、非常にエキサイティングだと思ったのを覚えている。

この度、日本でもDeSci Tokyoが立ち上がり、MeetUpイベントに参加してきた。近いうちに実際のイベントも開催されるそうだ。
主催者の皆様の熱意すばらしく、今後の活動も楽しみである。

分散型科学(DeSci)とは

さて、ここまで書いてきていてDeSciの説明がまだであった。
分散型科学(DeSci)は、中央集権的な制御や統制を排し、より分散的で共同的なアプローチによって科学を進める方法のことを指す。現代科学における資金調達や出版、著作権所有などの課題を解決するためにブロックチェーン技術を活用して、研究者や専門家が協力し、データや知識を共有しながら、より迅速かつ効果的な科学研究を実現することを目指している。
科学研究の資金調達、創造、レビュー、クレジット付与、保管、普及に関する公共インフラストラクチャーの構築を目指し、オープンなエコシステムの構築を目指す。


DeSci(分散型科学)は、科学研究の進展だけでなく、社会や経済の分野にも大きな影響を与えることが期待されている。分散型のアプローチによって、従来の中央集権的な制御構造を打破し、イノベーションや社会的な価値創造を促進することができると考えられている。

また、分散型科学の特徴の一つは、透明性と信頼性の向上といわれている。研究者や専門家がデータや知識を共有することで、より正確かつ信頼性の高い情報を得ることができるようになる。さらに、データや知識を分散的に管理することで、情報の改竄や改ざんを防ぎ、より信頼性の高い科学研究を進めることができる。

科学研究に革新的なアプローチをもたらし、新たな可能性を切り拓くことで、より良い世界を実現するための重要な一翼を担うであろう。

というまさに夢のような記述ではあるが、実際の実装はハードルが高そうである。

DeSciの事例

DeSciプロジェクトはすでにたくさん存在する。その中には、VitaDAO、SCINET、AntidoteDAO、LabDAO、Moleculeなどがある。他にも、Longevity Review、Agora Labs、Planck、Atoms.org、Flashpub.io、Desci LabsなどのDeSciプロジェクトがある。これらのプロジェクトは、科学研究の資金調達、創造、レビュー、クレジット付与、保管、普及に関する公共インフラストラクチャーの構築を目指し、オープンなエコシステムを構築している。また、科学研究の資金調達の向上、隔離された知識の解放、出版社のような利益を追求する仲介業者への依存の排除、より透明で協力的な科学研究環境の創造を目指している。

VitaDAOについては、下記の記事が日本語のものは詳しい。

日本での事例


基本的に、どのような利用ができるか、マネタイズが比較的短期で見えるようなテーマが多いし、軽視されがちな基礎科学の新しい推進方法になるかはまだ未知数である。

短期的な利益が見込めない基礎科学は資金不足に陥りやすい。長寿・高齢化に関する研究を促進する「VitaDAO(ビータ・ダオ)」はすでに複数のプロジェクトが立ち上がり、研究者やスタートアップへの投資実績がある。「DeSci」の対象は全遺伝情報(ゲノム)、宇宙探査、核融合などに広がっている。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1055J0Q3A110C2000000/

少し前(2022年6月)の記事だが、こんな記事がある。

DeSciを機能させるには、大きな課題がある。DAOに投資する人が増えなければ、資金が回らなくなる。そのためには助成した研究が利益を生んでトークンの価値を上げなければならない。実際、DeSciプロジェクトで活動が盛んなのは、生命科学や核融合、フードテックなど経済的利益につながる分野が多い。短期的に利益を生まない基礎科学でも活用できるかは未知数だ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD278G10X20C22A5000000/

まさにこの部分である。→短期的に利益を生まない基礎科学でも活用できるかは未知数だ。

新しい資本主義の形となるか、実現までの課題

ちなみに、DeSciを普及させ、前進させるための課題をChatGPTに聞いてみたところ帰ってきたのが以下である。ChatGPTはよくまことしやかに嘘をつくが、下記の課題はかなり納得感がある。引用以降のコメントが私個人のコメントで、その前のものはChatGPTが打ち出した課題である。

1.認知度の不足

DeSciは比較的新しい概念であり、多くの人がその潜在的な利点や仕組みを知らないことがあります。

ChatGPT

→ 認知度はこれからあがっていくであろう。

2.限られた導入

DeSciは一定の注目を集めていますが、科学界で広く導入されているわけではありません。多くの研究者は、新しい技術を受け入れる前により多くの説得が必要かもしれません。

ChatGPT

研究者がこのプラットフォームに入るかどうかということももちろん課題であろう。1の知名度の不足と関係する課題である。研究者だけで完結するものでもなく、どのような人を巻き込めるのかが、また、現在は個別テーマごとにDAOが立ち上がっているが、それぞれのDAOも相関していくような関係性が作れないとタコつぼ的にシュリンクしてしまう気もする。

3.技術的な壁

DeSciは、ブロックチェーンや他のWeb3技術に強く依存しており、実装が複雑で困難な場合があります。特にコンピューターサイエンスに強いバックグラウンドを持たない研究者にとって、導入に技術的な壁があるかもしれません。

ChatGPT

すべてのステークホルダーにとって納得感のある設計をデザインするのが非常に難しそうで、おそらく今も試行錯誤が進んでいることと思う。より導入しやすい設計や、納得感のあるトークンの設計の研究なども普及し、どんどんアップデートしていくに違いない。

4.法的および規制上の問題

DeSciの使用には、知的財産、著作権所有権、データプライバシーなどの問題が伴う場合があります 

ChatGPT

本当に難しい。これはDeSciに限らず、DAO関連すべて関連してくるであろうし、今後法規制がどんどん適応してくる分野であろう。宇宙業界も、ビジネスの進歩によって法規制も行われてきた。同じようにこれからできていくだろう。

5.品質管理

より分散化された科学研究のアプローチでは、品質管理を維持し、高品質の研究のみが実施され、公表されていることが重要です

ChatGPT

これはクラウドファンディングプラットフォームなどでも同じであろうかと思うが、プロジェクトの目利きをどうするか、ということ。科学の専門知識がない人もコミュニティにいてしかるべきだと思うが、その分それぞれの品質保証があるかと思う。

6.資金調達

DeSciは科学研究の資金不足問題を解決することを目的としていますが、DeSciプロジェクトに十分な資金を確保することや、資金を公正かつ透明に配分することに課題があるかもしれません。

ChatGPT

そもそもプロジェクトを走らせるために資金が必要となってくる。VitaDAOもファイザーから調達するなど、資金確保の努力は引き続き必要である上に、分配の設計などが悩ましい。分散型組織といいつつ、はやり普通の資本主義のお金が必要なのがなやましい。

7.ガバナンス

DeSciはコミュニティ主導の運動であり、公正かつ透明な意思決定が行われるようにガバナンス構造が必要です。しかし、DeSciのための効果的なガバナンスモデルを開発することは課題となるかもしれません。

ChatGPT

きっとこれも試行錯誤のうちに出来上がるんだろうなあ。今現在どうすべきか明確な答えが見えない。


これからのDeSciに注目である。






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