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エネルギーの国内自給率をいかに高めるかが最優先の課題

電気不足、冬に110万世帯分 原発動かず節電頼み限界: 日本経済新聞 (nikkei.com)

政府が今後予定している大型経済対策では、今回のような補助金や給付金ではなく、より省エネ耐久財の更なる普及や省エネ向けの設備投資等を更に促す攻めの政策をとるべきでしょう。

そこで参考になるのが、リーマンショック後に世界で実施されたグリーン・ニューディール政策です。具体的には、給付金で負担を軽減するというより、家計や企業に省エネ関連の支出を促す減税や補助等により、需要喚起とエネルギー消費抑制の両立を目指す政策です。実際、日本でもリーマンショック後にその一環としてエコカー補助金や家電エコポイントを実施し、エコカーや省エネ家電の買い替えを喚起したことは記憶に新しいです。足元では半導体不足がネックとはなりますが、白物家電の買い替えサイクルが10年超であることからすれば、半導体不足が緩和したタイミングで実施すれば、当時買い替えられた家電の買い替え需要が期待できるでしょう。こうしたことから、エコカーや省エネ家電への買い替え促進策への支出を拡充すること等を提案したいです。

特に、グリーン社会に関する政府計画を海外の取り組みと比べると、日本はこの点で出遅れていることからすれば、海外の対策に倣った企業や医療・教育現場、住宅や公共施設等への省エネ設備、電気自動車の充電インフラ整備の更なる拡充等が必要でしょう。環境・省エネに関する投資が促進されれば、省エネに結び付くだけでなく、雇用や所得環境にも好影響が及ぶことが期待されます。更に海外からの省エネ関連需要も加われば、日本の環境関連産業もさらに競争力を高めることができるでしょう。つまり、環境・省エネ消費や投資を起点として環境関連産業を活性化させることができれば、需要を創出して経済が成長することにもつながる期待が持てるでしょう。

こうした視点からも、政府には給付金や補助金などによる一時的な痛み止めだけではなく、環境・省エネ投資に対する減税や補助等によって、投資を促すことなどが求められるといえるでしょう。

なお、エネルギー安全保障面では、原発もエネルギーコストの収支だけで考えることではありませんが、こういう状況なので多方面から本格的に議論することが必要でしょう。もちろん、経済が正常化すれば財政再建は必要です。しかし、効果的に財政出動をするためには、需要喚起が見込める省エネや生活必需品の国内自給率向上を思い切って加速させ、将来やらなければならないことをこの際前倒しすることも必要でしょう。これらの政策により、環境関連産業を更に伸張させることに加え、エネルギーの国内自給率をいかに高めるかが今の日本経済にとっては最優先の課題でしょう。

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