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「GIGAスクール構想」と併せて期待したい教室のデジタル化のための集合知と海外事例の活用

先日掲載されていた全教員にデジタル指導力 政府目標、専門家9000人派遣という見出しがとても気になり、少し掘り下げて調べてみました。

『全教員のデジタル指導力』、『専門家9000人派遣』ということばからは、どのようなデジタル化がされるのか、また、どのような専門家の方がどのようなサポートを教育現場にもたらすのか、ということを想像させるものだったからです。そこで、今回は個人的な期待も込めて、教室のデジタル化のための集合知と海外事例の活用について、書いてみたいと思います。

ICT関連の企業OBらを「GIGAスクールサポーター」とし、21年度から国公私立の小中高に派遣する費用を自治体に援助。最大9千人でノウハウ蓄積が必要な学校を支える計画で、経費を21年度予算案の概算要求に盛り込んだ。オンライン学習用の機器やソフトの使い方などを伝える。

大学教員ら「ICT活用教育アドバイザー」も派遣し、子どもの年齢や学力に応じた個別指導法、効果的な端末の使い方などを助言する。教員の養成段階からデジタル関連の専門科目を履修させることも計画。教員の世代交代に合わせ、将来的に全ての教員がデジタル活用スキルを身につけられるようにする。

実は今回初めて「GIGAスクールサポーター」、そして「GIGAスクール構想」という政策があることを知りました。

「GIGAスクール構想」のGIGAはGlobal and Innovation Gateway for Allの略で、構想は2019年末に文部科学省が定めたものです。小・中学校の児童、生徒に1人1台PCを実現することや、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークを完備することなどが盛り込まれた政策です。令和元年度補正予算に2,318億円、令和2年度補正予算に2,292億円が計上されているとのことです。

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菅政権の目玉政策としてのデジタル化、規制改革の象徴としてデジタル庁の設置なども話題になる中で、ぜひよい形でデジタル化が全国の教室で広がることを期待しています。

さて、気になっていた「GIGAスクールサポーター」について調べてみると以下のように概要が文科省の資料に記載されてます。より詳しく知りたい方には「GIGA WEB HUB」というサイトがあり、各都道府県ごとにGIGAスクール構想の状況を確認することができます。GIGAスクールサポーター事業の業務委託の公募や業者決定に関する情報も自治体単位で掲載されていて様子がとてもよく伺えます。

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Twitterで「GIGAスクールサポーター」と検索すると、実際に既に就任された方が教員向けの講習会を実施した様子や、地元紙などで活動が紹介されていたりして、その様子も伺い知ることができます。

国の政策としては地方自治体、教育委員会を通じた広く遍く支援を提供するための試みが中心となりますが、ここでぜひ期待したいのは、インターネットならではの集合知がよい形で共有され、成功例、失敗例が現場でうまく生かされることです。

例えば9,000人のサポーターの方が講習会で使用するプレゼンテーションについて、誰もがアクセスできる形でクラウド上で準備され、更新されるプレゼンテーションスライド資料のテンプレがオンラインで共有され、ゼロから一人ひとりのサポーターの方が資料作りをする負担を減らすことができたら、と感じます。

また、効果的な事例や便利なツール、コツ、裏技、「あるある」と苦笑いを誘う「失敗事例」が共有されるデータベースがあれば....そんなことを思います。

誰かがそんなポータルサイトを創ってくれれば、と思うかもしれませんが、まずはツイッター、或いはブログ等でそうした事例をオンラインで共有する人が増えることで、いずれ集合知が集まっていくのではないか、と個人的には期待しています。

また、こんな時に是非参照してみる価値があると思われるのは海外に溢れる先行事例、集合知です。新型コロナウィルス感染は世界同時で起きているからこそ、世界の教育現場で生まれている試行錯誤の軌跡、成功・失敗事例も参照可能な形で見つけられることと思います。

例えば、以下の記事は英国在住の教育コンサルタントのジェーン・ハート( Jane Hart)氏が2007年から毎年行っている公開アンケートにより選ばれる「Top Tools for Learning」という教育現場で人気のあるツールのランキングの2020年版を紹介したものです。

その他にも例えば役立つ情報源をまとめた記事「350+ Amazing Websites For Kids Learning at Home 」や教育とテクノロジーに特化したウェブサイトの「EdSurge(エドサージ)など、目的や対象に応じて参照することもできるかもしれません。

教育分野のデジタル化に関するお仕事に従事している方であれば既に存在する集合知が集まるプラットフォームや参照すべきハッシュタグ、海外のウェブサイトなどご存知と思われます。もしコメントなどでいただければ追記しますのでぜひお知らせいただけたら幸いです。

*以下のサイトは記事公開後に教えていただいたものです。12月21日まで限定で多くの学びに関するオンライン講座の閲覧が可能です。




今回はあくまで個人的な思いから記事を読んだことをきっかけに感じたこと、調べてみたことをまとめてみました。お読み頂きありがとうございました。

Photo by stem.T4L on Unsplash

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