リスクをとらない経営や管理職はその役割から降りなければならないと思う話

こんにちは!
リデザインワークの林です。

会社の長期ビジョンの策定や経営戦略のアドバイザリーとして様々な会社の経営メンバーの皆様とディスカッションをさせていただいています。

その中で、経営として一番重要な役割はどこに向かっていくのか?そのために何のリスクを取るのかを決める意思決定だと思います。

よく、「リスクをもっと減らした案をもってこい」、「対策をもっとしっかり描き切ってこい」、「計画の蓋然性をもっと高めてこい」という経営や管理職の方がいます。

もちろん、一定検討する必要はありますが、リスクを減らす、リスク対策がしっかりできないと意思決定しないというのでは、経営や管理職の仕事を放棄していると思います。

良いこと(=リターン)はあるけど、悪いこと(=リスク)はない。というプランの意思決定は、我が家の小学生でもできます。

日本人経営者アンケート(111社)によれば、アフリカ市場参入に消極的な理由上位は現地ノウハウ不足、人材不足、他社成功事例不足、M&Aノウハウ不足、情報不足だ(表参照)。だが理由の大半は、まずリスクをとり市場で実際に行動しなければ解消できず、不確実性とリスクを目の前に様子見している状況がうかがわれる。

何のリスクを取り、何のリスクは取らないのか、会社や部署でとれるリスクの限界はどの程度なのかを理解しながら、決定していくのが経営や管理職の仕事だと思います。

また、リスクとリターンは基本的には対になっていますので、リスクをとらないと、リターンもないのが原則だと思います。

また、高度経済成長期以降、各種マーケットが拡大してきたので、毎年毎年目の前の計画を達成していれば、事業が拡大してきました。

そのため、大きなリスクを取るよりも、日々の業務管理をしていくことが評価される期間が長かったと思います。

以下の記事では、僕も大好きな経済学者のシュンペーターさんが70年前に資本主義の果てについて警鐘をならしていて、残念ながらその通りの姿に向かっていると思います。。

リスクをとらず、決断力が乏しく、旧来の軌道にとどまることが心地よいと感じるタイプの人間です。しかし、資本主義が成熟すると、このような人が多くなるとシュンペーターは言います。
「資本主義は委縮し、イノベーションを起こす人である『アントレプレナー』の仕事はなくなっていく」「経営は事務管理になり、従業員は必然的に官僚の性格を帯びていく」「実に覇気のないタイプの社会主義が資本主義の果てに自動的に誕生する」
 という趣旨のことを、その著書『資本主義・社会主義・民主主義』の中で述べています。日本で今イノベーションが起こらないのは、まさにトップや管理職にこういう人間が多いからだとも言えます。
 こういう人間が経済の「均衡」、つまり不況を作り出します。資本主義が進むと、これは単なる一時の不況ではなく、ずっと続く究極の状態になるともシュンペーターは予言しました。

日本の人口は急速に減っていく中で、大きな方向性を示すこと、そこに向けてリスクをとってチャレンジすること、その時にうまくいくかどうかはもちろんわかりませんが、進んでいくしかありません。

じわじわとマーケットの縮小に対して、徐々にコストカットをしながら、利益をなんとかひねり出してきた10年を振り返り、本質的な成長戦略を描きなおして、リスクをとった経営判断や現場の管理職が出来る人材に入れ替えていかなければ未来はありません。

次の10年はビジョン、戦略を決め、リスクを取った経営や管理職にあふれ、活力ある資本主義が戻ってくることを願っています。

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