「楽しさ」で始め、「正しさ」で豊かに:新しい行動原理の考察
人は「正しさ」ではなく「楽しさ」で動く。
先日参加した"これからの地域経済をつくるための祭典「POTLUCK FES'24 Spring」"の中のセッション"勝手に国家戦略会議 Re:gion Radio特別編"で登壇者のお一人だった川原 卓巳さんが話されたこのメッセージが心に残っています。
今回は、この"人は「正しさ」ではなく「楽しさ」で動く。"というメッセージについて考えてみたいと思います。
「POTLUCK」とは
まず、今回参加したPOTLUCK FESは"POTLUCK YAESU"が開催したイベントなのですが、POTLUCK YAESUは東京ミッドタウン八重洲に設けた「イノベーションフィールド八重洲」を拠点に、地域経済で挑戦する人々が集い、つながるための「場」と「機会」を創出するプロジェクトです。日本各地のビジネスパーソンに、対話の機会と交流を生み出すカンファレンス「POTLUCK FES」の他、全国移動型のイベント「POTLUCK CARAVAN」、「POTLUCK BAR」など、地域のひとがつながる様々な機会を提供しています。
「正しさ」と「楽しさ」とは
「正しさ」よりも「楽しさ」の方がモチベーションが高まるのは感覚的には腑に落ちると思います。しかし、それはなぜなのでしょうか。
まず、「正しさ」と「楽しさ」の定義を整理したいと思います。その定義についてChatGPTに聞いてみました。
「正しさ」とは
「正しさ」とは、一般的に、道徳的、倫理的、または社会的に受け入れられた基準や原則に従うことを意味します。ビジネスの文脈では、法律や業界のガイドライン、企業の倫理規定に従うことが「正しい」とされます。また、個人の価値観や信念に基づく行動も「正しさ」とみなされることがあります。
定義: 道徳的、倫理的、法律的基準や期待に従う行動や決定。
文脈: ビジネスでは、コンプライアンス、倫理規定の遵守、社会的責任の履行など。
重要性: 「正しさ」は、個人や組織が社会から信頼され、尊敬される基盤を形成します。それはリスクの管理と緩和、企業の評判の保護にも直結します。
「楽しさ」とは
一方、「楽しさ」とは、個人が行動を楽しむ感覚、満足や喜びを得る経験を指します。楽しさは、しばしば内発的モチベーションと関連し、人々が何かをすることに対して自然に引き寄せられる、ポジティブな感情や状態を生み出します。
定義: 喜びや満足をもたらす活動や状況。
文脈: 趣味、ゲーム、社交活動など個人の興味や好みに応じた活動。ビジネスでは、仕事を楽しむための環境づくりや、モチベーションと生産性の向上につながる活動。
重要性: 「楽しさ」は、エンゲージメントとモチベーションを高め、クリエイティビティやイノベーションを促進します。また、仕事の満足度と個人の幸福感を向上させることにより、職場離職率の低下にも寄与します。
「正しさ」は心がけるべきルールや倫理に沿って行動することであり、ビジネスにおいても信頼性とプロフェッショナリズムの土台を築くものです。それに対して「楽しさ」は行動していることから自然とわき上がってくるワクワクする気持ちや喜びを示し、モチベーションやアイデアを生み出す源泉になります。
「正しさ」と「楽しさ」のバランス
「正しさ」と「楽しさ」がなんであるかの考察は前述のとおりです。では、どちらか一方のみが必要なものなのでしょうか。特にビジネスにおいては、正直さ、透明性や倫理観を重んじる文化(「正しさ」からのもの)と、イノベーション、創造性やチームワークを重んじるやりがいを感じる(「楽しさ」からのもの)環境の両方を促進する文化、つまり「正しさ」と「楽しさ」の両輪を良いバランスで回していくことで、人は倫理的に行動しているという安心感を得ながら、仕事に対してもワクワクできる充実感を感じることができるのだと思います。
「正しさ」と「楽しさ」 スタートはどちらから?
では、今回のテーマである
"人は「正しさ」ではなく「楽しさ」で動く。"
ですが、「正しさ」と「楽しさ」のバランスを取るということは、
"人は「正しさ」と「楽しさ」で動く。"
ということになるのでしょうか?
私の見解としてはYESであり、NOであると考えています。
動く原動力、すなわちスタート地点がどちらかを考えた場合、「正しさ」と「楽しさ」のどちらから始まった方がモチベーションが上がりやすいでしょうか?皆さまもちょっと想像してみてください。
倫理的なことを考えるよりもワクワクすることを考えた方が「やってみよう!」という気持ちになるのではないでしょうか?「楽しさ」の定義において"内発的モチベーション"というキーワードが出てきましたが、「楽しさ」はその”内発的モチベーション”を引き出すのです。
内発的モチベーションとは行動を促す動機がその個人の内部から湧き上がる状態を示します。これは、外部からの報酬や承認によるものではなく、活動自体に見出される喜び、興味、満足感などによって引き起こされると言います。そのように内発的なものからモチベートされた人々は、何かをすること自体に価値を見いだし、その過程で得られる充実感や達成感によって動かされます。
ですので、「楽しさ」が引き出した内発的モチベーションをきっかけにした場合、高いモチベーションを持って行動を開始できるのではないでしょうか。そして動き始めた後で、「正しさ」について考えると充実感が増すのではないでしょうか。つまり、
人は「楽しさ」で動き、「正しさ」で充実感を増す。
ということになるのではないかと考えています。
まとめ
繰り返しになりますが、人は「楽しさ」から考えることで、モチベーションを高め、行動を促すきっかけが生まれます。その結果、内発的モチベーション、つまり報酬ではなく活動自体から得られる喜びが生まれ、自然と「やってみよう!」という気持ちになります。そして、動き出した後に「正しさ」を考慮することで、行動はより意義深く、倫理的なベースの上に築かれていくことになり、やりがいや充実感が増すのです。つまり、人は「楽しさ」で動き出し、「正しさ」でその行動をさらに豊かで意味あるものにしていくのではないかと思います。
皆さまもご自身が「正しさ」と「楽しさ」のどちらから動くのか、どのようにバランスを取るのが良いか是非考えてみてください。