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日本からアジアへIP展開しよう【東アジア編】

Mintoの水野です。SNS・Web3領域で漫画・アニメ・キャラクターなどをクリエイターと共に創っています。エンタメ・スタートアップです。

今回は、漫画・アニメ・キャラクター等など日本発のIP事業を東アジア(中国・香港・台湾・韓国など)に展開していく時に必要なポイントやパートナーについてを、僕の経験も織り交ぜてまとめてみます。

深くIPやライセンスに興味を持った方は、ぜひ、ライセンシングインターナショナル(水野が理事も務めています)や、キャラクターブランド・ライセンス協会などを定期的にチェックしてみてください!

IP(漫画・アニメ・キャラ)の海外展開に必要な事


漫画は、日本発のエンタメとしてもっとも成功したコンテンツ・エコシステムだと思います。以前noteにも書いたのでよろしければ以下の記事も。

一方で、海外へ漫画を展開するとなると言語、習慣、フォーマットの問題から一気に広げることが難しくなります。世界で知られている日本の漫画作品のほどんどは、アニメ化された作品です。

インターネット以前、日本のアニメ作品は、海外テレビ局を通じて各地に広がっていましたが、現在、日本のアニメは、Netflix、AmazonPrimeなどのVOD(動画プラットフォーム)を通じて、日本とほぼ同じタイミングで世界へ発信されています。

広げる・知ってもらうという点では、日本のアニメ(漫画原作)にとっては、非常に良い時代になっていると言えます。

しかし、映像からの収益だけではビジネスの広がりに限界があります。エンタメビジネスの本丸は、認知の後に派生するIP(知的財産)を軸にしたライセンスビジネス、ファンビジネスです。

映像やSNSで知ってもらった漫画・アニメ・キャラクターを、IP(知的財産)として、ローカル市場の企業にライセンスし、その国や地域のファン向けに、グッズ販売、アパレル販売、企業広告利用などがされる。そしてそれが世界同時で行われることで、作品を中心としたビジネスが大きくなり、長期的になっていきます。

どのようなローカル企業と組むのか?

日本の漫画・アニメ・キャラクターを東アジアへライセンスしていく際には、各国・地域のメディア、アニメ配給会社、IPエージェント(IPの代理企業)組むのが一般的です。中国・香港・台湾・韓国の国と地域でどのようなローカル企業があるのかをまとめてみました。

中国

この10年で、最も変わったのが中国のIPライセンスビジネスです。文化庁のこちらの資料が非常にわかりやすいですが、すでに日本作品の海賊版が街中に溢れている時代は終わり、現地大手メディア企業の日本コンテンツ買いや、中国向けの作品作りなどの時代に変容しています。

従来は、SMGグループなどのテレビ系メディアが強かった印象ですが、2010年代に入って、大手動画サイトが日本のアニメ作品を買い付ける、そして同時に作品のマスターライセンスも預かって、中国国内向けのライセンサーとして、現地のライセンシーにライセンスしていくことが増えた印象です。VODでは、bilibili、Youku、IQYIなどが有名です。

2020年ごろから中国内のネット作品の事前審査の規制が厳しくなり、映像の買い付けは以前ほどの勢いはなく、映像を軸にIP展開をしようとする機運も落ち着いている印象ですが、今年からまた風向きが変わる、戻る可能性もあるかな、と思っています。

bilibili

bilibiliは、日本のアニメ/Vtuber等、中国向けの日本文化発信地

Youku

以前は、テレビ東京と独占契約を結んでいたYouku

IQYI

IQYIも、最近は日本アニメやコンテンツの積極的な提携は見られない。


次に、これらのVODサイト=メディア企業のような映像軸でのIP展開ではなく、IP(知的財産)そのものをベースに、様々な商品化を進める従来型のIPライセンス・エージェントとしては、SCLA社などがあります。

映像の規制は強化されましたが、すでに認知がある日本のキャラクター・IPの作品の商品化(おもちゃ、グッズ、アパレル等)は引き続き活発で、特にMinisoに代表されるような、生活雑貨店が中国国内に急増した事に伴って、雑貨にIPが使われるケースが増えている印象です。

SCLA

また、アリババグループが運営するAlifishは、従来のIPライセンス流通をプラットフォーム化しようと試みています。アリババが運営するECモールTaobaoのショップがIPを活用できるようにしたり、Taobao上に違法・海賊版グッズがあれば取り締まる仕組みを整えています。2022年6月には、サンリオ社などがAlifishと契約締結を発表するなど、相次いで日本の大手企業が提携を発表しています。

Alifish

AlifishのHPより。ガンダム、ポケモンなどが並ぶ


中国への展開可能性は、有名な漫画・アニメ・キャラクターだけではありません。弊社(Minto)では、自社キャラクターがWeChatで4億ダウンロードされたことをきっかけに、2017年に中国支社を設立し、現在は、日本や韓国でSNSで人気の出たクリエイターのキャラクターを中国に展開しています。現在10キャラクター以上のライセンスをお預かりしていますが、お預かりした中から、中国の市場流通額で年間10億円を超えたキャラクターも出てきました。

Minto China

香港


香港は、中国市場が今のように大きくなる前から、アジアのライセンスエージェントの中心地でした。英語が通じやすく、金融等グローバル企業が拠点を置いていて、中国大陸・東南アジア全域をカバーできる地理的な利点があり、東アジア・東南アジアの権利を一括して預ける日本企業も多かったです(未だに多い)。

代表的なライセンスエージェントは、Medialink社です。2000年に設立され、日本だけでなく欧米のIPなども含めて幅広く取り扱っています。アジアでのIP・エンタメ事業の活発化を受けて2019年に香港証券取引市場へ上場を果たしています。

Medialink

東アジア、東南アジアで圧倒的な存在感のあるMediaLink社

その他にも、1979年から40年以上の歴史があるライセンスエージェントのAnimation International(AI)や、アニメだけでなくスポーツやアパレルブランドなどのライセンスを幅広く手掛けているPPWなどがあり、PPWは2021年に日本の商社の伊藤忠とアジアにおけるアニメ・キャラクターライセンス事業展開での合弁会社を設立し、第一弾として中国へのムーミンのライセンス展開を開始しました。

台湾

台湾は、距離的にも日本に近く、日本の漫画・アニメ・キャラクターのトレンドが最も早く伝播しやすい地域です。アニメ配給やライセンスを手掛ける企業もいくつかあります。

 Muse(木綿花)

日本のアニメ配給やライセンスとしては台湾で最大手企業

Sanbyte

カナヘイが台湾でブレイクするきっかけを作ったSanbyte社は、
日本のSNS発のキャラクターを数多く扱っています。

そのほかにも、SNSキャラクターなどのIPを扱うWeidoDaydreamerなどがECサイト運営や、様々な事業と連携しながら事業を展開しています。

韓国

韓国は、東アジアでは、中国、日本に続いて大きい市場です。自国の音楽・芸能・ドラマがグローバルで続々と成功していて、アニメ・漫画・キャラクターのジャンルでも日本からの作品以外に、自国のIPが生まれ始めています。カカオフレンズは韓国国内で、No.1のキャラクター市場規模を持っていると言われています。

Kakao Friends


韓国で、日本アニメを配給したり、IPを取り扱うライセンスエージェントとしては、DAEWON社、SMC社、SMG社などが有名です。SNS領域では、K-Vision社などがあります。


DAEWON

韓国でもっとも歴史あるエージェント。
アニメ専門チャンネルや玩具、アニメ配給なども手掛ける。

SMC

DAEWON社に比べると日本よりヨーロッパ系のIP(ミッフィ、ムーミンなど)
が多い大手エージェント

SMG Holdings

電通からの出資もあり、日本のIPが好調なエージェント。アニメ映画の配給、トレーディングカード、物販ライセンシングなど。


k-vision

SNS領域やYouTubeなどの動画、ゲーム等などインターネット発のキャラクター・IPに強いエージェント

韓国では、SOYOUなど、そのほかにも新しいライセンス・エージェントが出てきているので注目ですね。

総括

いかがでしたでしょうか?日本の漫画・アニメ・キャラクターが海外のファンを獲得して、多くの日本のエンタメ企業やスタートアップが海外進出を志していても、これらの海外展開向けの情報は、ほとんどネット上で見つからないと思います。(実際、今回書いた情報もほとんどが、Minto社が自らライセンスしていく中で得られた情報や、海外のパートナー企業から共有していただいた情報です)

日本のIPの海外展開は、今後ますます可能性があると思います。今回のnoteが、日本のIPホルダー、エンタメ・スタートアップ海外展開を少しでも進めるきっかけになってもらえれば幸いです!(Mintoとしても海外支援を行っていますので、お気軽にお声がけください)

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