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「続けてください」という言葉の重み

先日、J-WAVE「INNOVATION WORLD」という番組に生出演させて頂きました。

この番組には個人的に思い入れがあり、いつか出たいなとずっと思っていました。というのもパーソナリティの川田十夢さん(AR三兄弟)は私を今の業界に引き込んだ恩人であるからです。

今でこそアーティストとして独立していますが、もともと普通に新入社員のペーペー時代、日常の業務や雑務すらまだままならぬ半人前のなか、肩身狭くコソコソと自分の時間に勝手に作品制作をしていました。
当時は本当に、会社に知られないように(先輩や同僚に突っ込まれたら苦笑いでかわしながら…)あくまでひっそりと活動していたのですが
突然川田さんから「AR忘年会(AR三兄弟が毎年年末に企画する200人規模のイベント)に出てよ!」とサラッと誘われたのが、はじめて自分の作品を人前にだした現場でした。

それはもう自分にとって胃が縮む現場だったのですが、破れかぶれながらどうにかプレゼン&パフォーマンスを実行。恐る恐る懇親会に行くと色んな人に「良かったよ!」とポジティブな言葉をいただき、中でもその後川田さんにいただいた「素晴らしかった。続けて下さい」という言葉が非常にずっしりとくるものがありました。

忙しい本業がある傍らで誰に頼まれるわけでもやっている活動だったため、目先の忙しさに流されたり飲まれて辞めてしまいそうになりつつも、この言葉が最後の皮一枚で、自分を辞めずに続ける方向につなぎとめてくれた感じがありました。お守りのような。

このことを番組内で川田さん本人にもお話したのですが、「でもこの言葉は、然るべき人に機が熟したタイミングで言うのがすごく重要で。人によっては、もしくは時期によっては、逆にプレッシャーで潰れてしまったりもするから」と。

確かに、自分が信じる人からの期待の言葉はときに護符になり、時に重い足枷になるのかもしれないなと。的確に、その人の機を見抜き、言葉をかけるには本当に慎重な洞察力が必要なのだと感じました。

このやり取りがあった時は私は入社まもない23歳ぐらいでしたが、時の流れは早く、私も気づけば30歳に。
年齢的に中堅といった域にちかくなり、逆に若手の方に言葉をかけることも少しずつ増えてきました。

言葉は護符にも枷にもなる。その人にその都度必要な言葉を、きちんと届けながら生きていきたいなと、久々に川田さんとじっくりとお話して感じました。

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市原えつこ(アーティスト)
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