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テイラー・スウィフト効果も利下げの歯止めにならず

BoEの8月の会合は判断が分かれているが、結局は、MPC内で政策金利を5.00%へ25bp引き下げる決定に十分支持が集まり、8月に利下げがなされると見る。

6月のサービスのインフレ率は、BoEの5月の予想を60bp上回った。これは表面的には、政策金利を直ちに引き下げるにはそぐわない展開であった。しかしながら、BoEは6月の会合でインフレ率が5月の予想を40bp上回ったことについて、一時的にすぎないとした。サービスのバスケットのうち、BoEの6月の会合で不安定なカテゴリーとして明示されたのが、ホテル料金。さらに、テイラー・スウィフトの「時代」ツアーの英国公演も、6月のCPIデータに影響を及ぼした可能性が大きいわけだ。当然かもしれないが、最新データによると、ホテルと文化的サービスを除くコアサービスのインフレ率は低下している。

BoEのインフレ見通しに対する大きなリスク要因は、4月の全国生活賃金の10%近い上昇だった。だが5月のデータが出揃い、このリスクは解消したように見えている。第2四半期の賃金の伸びは前年比で概ね5.2%相当とみられ、BoEの5月の予想を10bp上回るに留まった。

MPCが6月のガイダンスで8月の予想に焦点を合わせていることから、政策当局の注目が各時点のデータから中期見通しに移っていることが一層明確になったと考えられる。市場の観測にもよるが、BoEの予想は対象期間につき、2.0%の目標を下回るインフレ率を示し続けると見ている。

全体的に見ると、総合インフレ率は5月の予想通り2.0%の目標水準となる。このため、やはり、8月には利下げに踏み切る、と見ることができよう。

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