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その薬、本当に必要ですか

「ジェネリックでいいですか」。病院にかかり、薬局へ行くと決まって聞かれる言葉です。ジェネリック医薬品は後発薬と呼ばれ、先発薬と同じ治療効果があります。研究開発にかかる費用を抑えられるため価格を抑えられます。医療費は公的保険で一部カバーできるので、コスト意識が薄れがちですが、同じ治療効果のある薬なら後発薬でも良いのではないでしょうか。そもそも本当に必要な薬なのでしょうか。きょう紹介する記事はインフルエンザ薬について問題を提起しています。

Nikkei Views
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毎年、国民の10人に1人がかかるとされる身近な感染症のインフルエンザ。日本ではインフルエンザになると重症化を防ぐためタミフルやゾフルーザといった処方薬を服用することがあります。タミフルには後発薬もでてきました。

「治るなら、なんでもいいから薬をくれ」というのが患者さんの心境でしょう。実は価格には大きな差があります。記事では、価格差のほか、日本のインフル治療が世界標準と異なると指摘しています。欧州などではインフルエンザにかかったかどうかの診断すらしないというのは驚きでした。健康な人への治療は不要と考えているようです。

医療保険財政は個人や企業の保険料のほか、公費で成り立っています。「保険料払ってるんだから、使ってもいいじゃないか」という声はもちろんわかります。ただ、高齢化で医療費は増え、医療保険財政は厳しさを増しています。インフルエンザとは違いますが、生活習慣病の治療に後発薬を優先的に選ぶだけでも年3100億円削減できるとの分析もあります(健康保険組合連合会)。

まずは病気にならないために手洗いうがいをすることが大切ですが、病気になっても、この薬のお金はどこから出ているのか、立ち止まって考えてみると、病院への通い方・薬の選び方も変わるかもしれません。記事では、患者さんの状態に応じて、インフル薬を原則処方しない医療機関もあると紹介しています。

ちなみに、私は冬になるとミカンをほぼ毎日食べます。風邪にはビタミンCが良いと祖父母から聞いたことがあるからです。ミカン効果なのか、予防接種を受けたことがないのに、社会人になって一度もインフルエンザを発症したことはありません。

(デジタル編成 島田貴司)