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メイカーフェアに見るSTEM教育の重要性(2/2)

(本記事は後編です。前編はこちらから)

https://comemo.io/entries/8186

前回はメイカームーブメントとSTEM教育の関連について触れた。いよいよ Maker Faire Bayarea の中に入ってみよう。

© phreaky

 まず圧倒されるのが、その広大な会場である。東京ドーム数個分はあろうかという展示場の中を、テーマごとに9つのブロックに分けられている。2017年は12万5千人の来場者と、1200以上の出展者が参加したという。

https://flic.kr/p/Uhqht4

昨年の模様だが、このような感じで火を噴くものがあったり、かなり自由な雰囲気で盛り上がっている。

日本からも出展者がおり、Maker Faire Tokyoでも人気を博した「デイリーポータルZ」の「顔が大きくなる箱」は来場者に大ウケだった。

http://portal.nifty.com/kiji/160825197264_1.htm

わたしもかぶってみたが、近くのこどもたちに爆笑された。わかりやすい。

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このように各人が思い思いに楽しみ、交流し合うのがメイカーフェアの醍醐味であろう。そこかしこでメイカー同士が「これはどうやってつくったのか?」等々の意見交換をしている。実際のユーザーから直接フィードバックを得ることは、試行錯誤の過程において非常に参考になるだろう。

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私が見学したのはプレビューにあたる金曜日だったのだが、スクールバスが何台もきているのが印象的であった。先生の引率で小学生とみられる子どもたちをたくさん見た。積極的に出展者とコミュニケーションをとり「どうやってつくっているのか?」「どうしてこれをつくろうと思ったのか?」など、活発に質問する姿もみられた。大掛かりなゲームなどもあり、子どもたちにとってみればちょっとした遊園地のようであろう。好奇心を刺激し、自分でもつくれるかも!?と思わせる環境がここにはある。

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光る卓球台。新たなルールを設けたり、様々な遊び方が考えられる。

驚いたのは、学生グループの出展が多いことだ。大学はもとより、高校や中学の出展も数多く見られた。

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どのブースも学生が積極的に来場者に声がけをし、フィードバックを得ようと必死であった。

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ヤングメイカーを集めた特設ブースも。出展者とみられる人も代るがわるブースを見学し、熱心に質問や意見をぶつけていた。このような経験は学生にとって貴重な体験となることだろう。

教育者側の目線で考えると、このような出展は楽なものではない。むしろ、非常に手間のかかる部類のものだ。出展日から逆算し授業の中にスケジュールし、さらにテーマ設定から制作や事後の振り返りまで、やるべきことは膨大にある。しかし、多くの学校が実際に出展している。これはどうしてなのだろうか?

前編でも触れたが、やはり「これでしか教育できないなにか」があり、教育者側がその可能性を信じているからであろう。単純に教科書で教えるということはそのやり方が確立されており、また評価軸もわかりやすい。しかし、「やったことのないことを、アイデアを出しながら周りを巻き込み進めていく」ということは、まさに仕事の進め方そのものである。つまり、明確な答えのない中で、今やっていることがベストかどうかもわからないが、きっとベターであろうと信じて進めている、そのやり方だ。

世の中の動きはさらに加速しており、VUCA時代 ーVolatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)ー においては複雑さは増す一方だ。しかしながら、進むべき道を信じて着実にアウトプットを出していく、市場のフィードバックをすばやく得て製品を磨き込んでいく必要がある。メイカーフェアにはこのプロセスのすべてが内包されている。

ここで学んだ「未来のメイカー」が、より良い世の中をつくっていってくれるだろう。そのような思いを強くした訪問であった。

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