状況を冷静にみよう
現時点でAIの開発を規制すべき理由はない。AIの脅威を訴える議論の多くは「2001年宇宙の旅」や「トランセンデンス」に登場するAIがイメージされている。しかし、現時点では、ハリウッド映画が描くよう「ファンタジーAI」を実現する方法は、専門家にも糸口すら見えていない。有識者の見解でも今世紀中に実現する兆しはない。昨年米国でミチオ・カク氏と議論したが、同じ見解であった。
AI脅威論では、専門家が知識を総動員しても、実現の糸口すら見えないものを、非専門家が議論している場合が多い。それはただの妄想であり真面目な議論に値しない。
そもそも規制には常にメリットとデメリットがある。今、AIは実用の黎明期である。まだ誰もそのメリットに確信を持てない状況である。この状況では、バランスのとれた規制の議論はしようがない。無理に規制の議論をしようとすれば妄想に頼るしかない。真面目な議論にはなりえない。
打席に立ったこともないのに、妄想に満ちたAI脅威の議論をする前に、打席に立って打球を見定めるべきだ。それによりAIの本質も明確に見えてくるであろう。そのうえで必要ならば規制を検討すればよい。
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