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日本の広告主よ。ターゲティング広告をきちんと考える時だ。

ターゲティング広告とは何か

 まず、本題に入る前に、このタイトルにある「ターゲティング広告」について、少し説明しましょう。これは、インターネットの広告の一つです。例えば、ある検索サービスで、私が頻繁に「キャンプ」の検索を行ったとしましょう。この検索行動は、検索サービスを行っているサーバーにログとして記録されます。そして、同じコンピューターから、アクセスしたときに、検索サービス会社が、この「コンピューター」は、キャンプに興味があるので、「キャンプ場」の広告を見せる。これが、ターゲティング広告です。

 このターゲティング広告、インターネットの登場前になかったかと言えば、精度は低いのですが、存在していました。例えば、私がお寿司屋さんに行き、良く赤身を注文していたとしましょう。そして後日、同じ寿司屋に行ったところ、ご主人から「美味しい赤身が入ったから握りましょうか?」という会話は、ターゲティング広告に近いのである。

ターゲティング広告が、差別行為につながる?

 このターゲティング広告は、フェイスブックでも使われています。フェイスブックの広告欄の広告は、フェイスブックでの過去の投稿や、閲覧履歴、さらにはユーザー登録したときの情報などから、選ばれて表示しています。そのフェイスブックの広告が、批判にさらされていました。

 「フェイスブック、ターゲット広告見直し 差別批判受け」という記事をよく読んでほしい。

フェイスブックのシステムでは、例えば「低所得者層が多い郵便番号地域の人」を恣意的に広告対象から外すといったことが可能になっていた。

これは、批判の対象になっており、ターゲティング広告の運用方法を変更するのである。

Facebookのターゲティング広告はSXSWでも語られた

 実はこの問題、アメリカのSXSWというイベントでも、基調講演で議論された。「Interactive Keynote: Roger McNamee with Nicholas Thompson」という講演で、私も参加した。この、Roger McNameeさんは、Facebookの共同創業者兼会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグの初期のメンターでした。しかし、昨年「Zucked」(「ザッカーバーグは終わった」とでも訳しましょうか)という本を出版されて、このターゲティング広告の問題を指摘していました。

 この講演で、確かに行き過ぎたターゲティング広告の問題については、理解をしたのですが、もう少し別のことも考えましょう。

ターゲティング広告を利用するのは、広告主

 それは、ターゲティング広告を利用するのは、当然広告主であるという点です。広告主が、上手に、問題のない利用すれば、このターゲティング広告は有効です。前に述べた、寿司屋の例はそうです。

 一方、同じ仕組みで、「『低所得者層が多い郵便番号地域の人』を恣意的に広告対象から外す」ということも可能であるが、この判断には広告主の要請もあったのではないだろうか。

 つまり、ターゲティング広告の仕組みが悪いのではなく、その利用方法の責任を負う、広告主の判断も重要な点なのではないだろうか。

 この「フェイスブック、ターゲット広告見直し 差別批判受け」という記事は、フェイスブックの対応について報道しているが、これをきっかけに広告主のターゲティング広告の運用方法についても、議論して、整理すべき時なのです。

 このまま、議論しなければ「ターゲティング広告」が良くないという間違った意見を蔓延させることになります。今回の問題は、「ターゲティング広告の運用」なのである。

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