良質な睡眠を求める旅「スリープツーリズム」に熱視線 「無形のラグジュアリー」で差別化なるか
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
旅の目的は、と問われてなにが思い浮かぶでしょうか?世界遺産や歴史に触れる、グルメを追い求める、大自然に触れる等々、人によって様々な目的があるかと思います。個人的には大まかな予定だけ立てて、ボーッと過ごすような旅のスタイルが好きですが、初めて訪れる場所であればまず郷土資料館を訪れることにしています。街の成り立ちを知ることで、史跡やグルメなどの点の情報が線となって理解できることが多いからです。
そんな旅の目的に新たな潮流が生まれています。世界的に深刻化している「睡眠障害」を背景に拡がる、良質な睡眠を求める旅「スリープツーリズム」です。
私のモットーのひとつに「良い仕事は良い睡眠から」というものがあり、以前こんな記事も書きました。今の時代は、24時間働けますか?よりも、毎日8時間寝られますか?をキャッチフレーズにしたほうが良いのではないかと思います。
旅先では不思議と深い睡眠がとれたという経験を持つ人も多いのではないでしょうか。わたしも旅に出ると「せっかくだからちょっと夜ふかししてみようかな」と思っているのですが、むしろいつもより1時間くらい早く寝落ちしてしまうことがしばしば。
日本には古来より「湯治」という文化があり、まさに病気を治すために長期間にわたり温泉地で静養する方法が広く浸透しています。全国には戦国時代に武将達に「隠し湯」として愛された歴史を持つ温泉地が数多く残っています。上杉謙信と武田信玄といった有名武将も負傷した兵の回復を図るために各地に隠し湯を持っていたと言われています。両者の勢力の間に位置していた野沢温泉はいつ戦火を浴びてもおかしくない場所でしたが、戦争中でも多くの利用者が野沢温泉を利用していたと言われています。湯治の重要性が広まっていたことがわかるエピソードですね。
湯治を現代のウエルネスリゾートとしてアップデートし、他の体験と共に新たな魅力を打ち出す観光地も出てきました。
小田原と言えば近代の実業家が隠居生活を送った地として、大正~昭和初期には政治・経済の社交場として注目を集めていた時代もあります。「小田原三茶人」と呼ばれる三井財閥の益田孝(鈍翁)、三越百貨店社長などを歴任した野崎廣太(幻庵)、電力界の大御所松永安左ヱ門(耳庵)が小田原の地に茶室を構え、日々茶会を催していました。これが政治家や実業家の社交場として大変に栄えたそうで、「小田原詣で」とも言われていたそうです。
コロナ禍を克服して新たな旅のスタイルも生まれてきました。インバウンドのみならず、多様なスタイルと目的地が生まれるとますます旅の魅力が増してきますね。
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タイトル画像提供:8x10 / PIXTA(ピクスタ)
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