人生をスローに!!〜ぼーっとする時間を持つことの意味
スローを標榜し始めてから5年以上が経った。Slow Innovation株式会社を立ち上げ、今年の10月から第6期が始まったので、それは確かである。しかしいまだに、すぐにファストな気持ちに駆り立てられることが多い。
スローになるとは、ただゆったり過ごすことではない。人とのつながりを大切にし、物事の本質に焦点を当て、イマココに集中して過ごすことである。未来を心配するのでもなく、過去を悔やむのではなく、目の前のことに集中することが、スローということである。
どうしたら、スローに生きられるのか、改めて考える。
人生をスローにしたい
会社を経営していると、もっと大きなインパクトを、もっと多くのプロジェクトをと、ついついファストになりがちである。クライアントのビジネスをスローにするために、自分たちがファストになってしまうこともある。社員の働き方をスローにするために、社長が奮闘してファストにならざるを得ないこともある。
私の場合は会社経営に加え、夜と週末に授業をする社会人大学院の教員も兼ねているので、土曜日はほとんど仕事で埋まっている。こうして複数の仕事を行うことで、実践的な研究、探究的なビジネスが可能になるのだから、なかなか仕事を減らすこともできない。
かっこよく言うと、世界をスローにするために、自らはファストにがんばっている、ということになる。だけど、それは間違いだということに、自分自身もうすうす気づいている。自分ががんばらないと、という美しい誤解のために、仕事を一人で抱え込んでいるというのが、真実だろう。
では、人生をどうしたらスローにできるのだろうか。
その答えは、「やることを減らそう」とするのではなく、「やらないことを増やす」という発想にありそうだ。
ぼーっとする大会
次の記事は、「TOKYOぼーっとする大会2024」のルポだ。「忙しすぎる現代において、いかにうまく『何もしない』を体現できるかを競う同大会。90人の参加者たちは日本一を目指し、思い思いに本気の虚無を見せつけた」と報じている。なんて、クレイジーなんだ!!
一応ルールはあって、「90分間ひたすらぼーっとするのみ。観客らの投票制でぼーっとする姿の美しさをみる芸術点と、心拍数の安定度合いをみる技術点とで競う」という。
日本大会を主催する古井敬人さんは「現代人は忙しくしなきゃという同調圧力にさらされている。あえて人生にゆとりを設ける大切さを伝えたい」とコメントしている。
なんて面白い発想の大会なのか!!
この記事は、スローに生きるための洞察に溢れている。
ぼーっとする予定でカレンダーを埋めればいい
私も、タフな仕事が終わると、ぼーっとしたくなるときがある。そういうときにおつまみとビールを用意し、ドラマや映画を夜中までだらだらと観て過ごしたりする。あー、楽しい。
あー、それなのに、それなのに、夜中に眠りにつく頃には、「あー、やっぱり仕事を進めておけばよかった」「明日から資料準備する時間がないぞ」とか、罪悪感に苛まされることになる。簡単なことで、仕事の予定でカレンダーが埋まっているのに、空き時間にぼーっとしてしまうので、仕事が終わらなくなってしまうのだ。
であれば、最初からぼーっとする予定をまずカレンダーに書き込んでしまうのがいい。
今週もぼーっとする予定で忙しいな。そんなかんじで、仕事と生活が成り立つように調整していくことをめざしてみたい。具体的には、子どもとすごす予定、趣味の予定、旅行の予定など、来年のカレンダーにいっぱい確保するところから始めてみよう。仕事の合間に遊ぶのではなく、遊びの間に仕事を詰め込むということに挑戦してみよう。
そうすれば、人とのつながりをもっと大切にできるだろう。くらしに余裕がうまれることで、物事の本質に焦点を当てることができるだろう。ぼーっとすることに忙しければ、先読みして心配することもなくなり、イマココに集中して過ごすことができるだろう。
こうして、人生をスローにできるのではないか。
さぁ、ぼーっとしよう。
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