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楽しみながら学ぶ気候変動〜Financial Timesが作成した「クライメート・ゲーム(Climate Game)」

脱炭素、気候変動、カーボンニュートラル等のキーワードと接する機会が最近多いと感じながらも、なかなか具体的にイメージしにくいと感じている人は多いのではないでしょうか。

今回ご紹介したいのは英フィナンシャル・タイムズが先週4月22日のアースデーを記念してリリースした、楽しみながら気候変動を学ぶための無料オンラインゲーム、その名も「クライメート・ゲーム(Climate Game)」です。
2050年までにネット・ゼロを達成するために「未来の世代のための大臣」に扮し、全知全能の力を活かして様々な政策、技術投資の判断をクイズ形式で回答し、将来の気候変動の最悪の事態から地球を救うことができるかを競うという内容です。

Financial Timesが4月22日のアースデーにリリースした クライメート・ゲーム(Climate Game)

*追記:8月31日に日経電子版でも日本語化されました。

自分の決断のひとつひとつが二酸化炭素の排出抑制の効果に影響を与え、2022年から2025年までの3年間、2026年から2030年までの5年間、そして2031-2050の20年間の期間毎に、様々な試練、直面する選択を迫られます。最終的に温度上昇を1.5度に抑えることができるかを競うことを通じて、楽しみながら未来の気候変動対策のイメージを持つことができます。

ゲームを進める際には専門知識を持つアドバイザーを選ぶことができます。グレタ・トゥンベリ氏を彷彿させる10代の活動家のジーナ・グリーン、イーロン・マスク氏を彷彿させるウォルド・ワッツ氏等、ビジネス、技術、政策、アクティビズム等の知見をどう活かすかも問われます。

ゲーム冒頭に選択するアドバイザー(Google翻訳で日本語化した画面)

ゲームは以下のような形でクイズに答えることで進んでいきます。電気Electricity)、建物(Buildings)、交通(Transportation)、産業分野(Industry)の大きなカテゴリーごとに問いが繰り出されていきます。

Climate Gameの設問サンプル(Google翻訳で日本語化した画面)

私は2回トライして1回目のスコアは1.55度で1.5度目標を達成できなかったものの、2回目にして以下の通り、1.42度に抑えることに成功しました。

Climate Game終了後のパフォーマンスレポート、簡単に日本語環境でも楽しめます。

Climate Gameは英語で提供されているのですが、GoogleのChromeブラウザーを利用することで簡単に日本語化できるので是非試してみてはいかがでしょうか?翻訳しながらですと時間にして20分〜30分かかるかもしれませんが、豊富なイラスト、効果音、ステージごとのパフォーマンス評価を見ながら進むので、飽きることなく取り組むことができると思われます。

ただ、メタン、持続可能な航空燃料「SAF:Sustainable Aviation Fuel」等、ところどころに馴染みのない用語に遭遇することもあると思います。そんなときは細かいところは飛ばして、まずは楽しみながらゲーム感覚で体験してみることをお勧めします。1人でやると煮詰まることもあるかもしれませんが、同僚、友人と、或いは授業やセミナー等で学びを共有しながら体験することで、学びが加速され、「自分ごと」化しやすくなると思われます。

今回あえてこのゲームをご紹介したかったのは、この無料ゲームが英語圏において、ツイッターとフェイスブックでそれぞれ4,300回以上シェア、リツイート、いいねがされ、アースデーの環境問題に対する機運の高まりとともに、「バイラル」していることです。

Climate GameのURLがSNS上でシェアされた数(2022/4/26時点:BuzzSumo調べ

残念ながらゲームが英語ということで、日本語圏ではあまり話題にはなってないようです。気候変動というグローバルな取り組みが求められている問題に対し、せっかくの優れた学びの機会が言語の制約ゆえに制限されていることはとてももったいないと感じます。親会社の日本経済新聞社でも優れたデータビジュアリゼーションを数多く手がけられていることもあり、日本語化されることも期待しています🙇‍♂️。


米国NPOがMITと共同開発したMITエネルギー・気候政策シミュレーター「En-ROADS」

最後にもう一点、Climate Gameと併せてご紹介したいのが米国NPOのClimate Interactiveとマサチューセッツ工科大学(MIT)が共同で開発したエネルギー・気候政策シミュレーターEn-ROADSというサービスです。

エネルギー及び気候変動政策の実施・強度を調整することで、温室効果ガスの排出量や大気濃度、気温上昇、海面上昇、経済などにどのような影響が出るかを簡単にシミュレーションすることができるツールです。2021年6月に日本語対応もされているので、 より深く気候変動の未来シュミレーションを体感してみたい場合には是非こちらもご参照ください。教育現場やワークショップ、企業の戦略会議の機会等でも活用することでディスカッションをを通じ、より「自分ごと」化することに役立つのではないかと思われます。

エネルギー・気候政策シミュレーター「En-ROADS

*使用方法やマニュアルなどは以下のサイトからご覧いただけます。
「En-ROADS」を活用した政策シミュレーションガイド(チェンジ・エージェント社)

【エネルギー・気候政策シミュレーター「En-ROADS」紹介動画】

今月初旬に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が報告書を発表してからまもなく1ヶ月が経ちます。世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度以内に抑える目標達成に向け、世界の温暖化ガス排出量を遅くとも2025年には減少に転じさせる必要があると指摘されています。一方で、収束の目処が依然見えないウクライナ情勢、資源高、ロシア産エネルギー資源への依存低減対策等、気候変動について考える機会が相対的に減っていると感じている方も多いと思われます。そんな中、Cliamte Game等を通じて、国内のみならず海外での気候変動を巡る機運、取り組みから得られる視点もあるのではないかと期待しています。

Climate Gameの開発の背景については以下の記事で詳しく知ることができます。


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