理想の家族とは戦友
理想の家族とは戦友なのではないでしょうか。コロナ危機、日本の債務や少子高齢化等の構造的な問題など、先の見えない数々のハードルを共に超えていかなければならない存在だからです。
・社会情勢の変化で、パートナーのいない親も増えている
シングルファーザー、シングルマザーも増えていますし、夫婦がバラバラの場所に住んでいるなど様々な家族形態が生まれています。筆者が住んでいるシンガポールでは母子留学の家庭も多いです。
家族が多様化することによって様々な状況も周りから理解されるようになり、同調圧力も減り、生きやすくなるのではないでしょうか。
ただし、コロナ危機などで社会的距離などを取らざるを得ない現在、ひとり親が抱える問題は大きくなっていると感じます。特にロックダウンになり、学校が休校になっている間、自宅で仕事と子育てを一人で担うことは非常に厳しいと感じます。ひとり親や困っている人への支援は社会として必要だと感じます。国のセーフティーネットで十分ではない場合、クラウドファンディングや寄付なども考えられます。その場合も国は寄付をよりしやすい制度作りをする必要があるでしょう。
・結婚しても子供を持たない夫婦や事実婚などさまざまな形が認知されはじめている
シングル、夫婦のみ、子供と夫婦、片親と子供など様々な家族形態が認識されています。夫婦と子供2人というモデルケースは標準とは言えなくなりつつあります。それにも関わらず、日本のモデルケースは依然として夫会社員、妻専業主婦、子供が2人という高度経済成長期モデルのままです。多様なライフスタイル、人生の選択肢があり、国や専門家もそれに対応をする必要があると感じます。
・家族内における介護やケアの担い手が減少し、担い手の負担が増している。
夫婦ともに一人っ子で両方が親の介護を同時にしなければならないというケースもよく聞きます。日本は少子高齢化から人手不足でロボットや外国人労働者を活用するなどが考えられます。
・外食産業や家事サービスの拡大で、家庭内労働のアウトソースが増加している。
炒めるだけの状態になっているキッドの販売や掃除代行などの代行サービス等、対価を払うことによる家庭内労働のアウトソーシングが可能になりました。シンガポールや香港では住み込みのメイドサービスもありますが、そのようなことができる国は世界ではまれです。アメリカやオーストラリアなどでは人件費も高く、保育料が日本以上に高いとも聞きます。日本では家電やサービス等で家事労働のアウトソーシングが進んでいたり、欧米よりも保育料等は安い場合もあると感じます。しかし、女性活用のためにも更なる進化が必要でしょう。
・技術変革や社会変化のスピードが速まったことにより、親世代がロールモデルとして機能しなくなっている。
小さな子供はデジタルネイティブで音声入力やタイプなどを一瞬で覚えてしまいます。YouTubeを見て真似をする等で模範が父母でなくなることも多いです。その反面でデジタルリテラシーの教育も必要で、欧米の学校では取り入れられています。
また、時代背景が変わり過ぎ、住宅ローンを組んで家を買うと値上がりが期待されるという教えは子供世代への害になりかねません。自分が若い頃はこうして成功をしたという思い込みを捨てて、今の状況と向き合うことが必要です。
このように、正解のない時代に突入し、家族が手探りで進んでいくしかなくなりました。世界レベルの答えのない問題もたくさんあります。そのために、異なる考え方の他人も寄り添うことが大切になります。よき戦友として常に話し合えることは以前より大切になったのではないでしょうか。また、他の家族への配慮、困った人がいたら助け合うなど、昔の田舎の日本にあったよかったところを改めて見直す必要もあるのかもしれません。