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確定申告のススメ/年収と所得の違い

毎年この時期になると慌ただしいのが、確定申告の作業。日本に6,530万人の就業者がいるが、確定申告をしているのは、およそ3割の2,198万人である。その内訳として、医療費控除などで、払いすぎた税金の還付を受ける「還付申告者」は1,283万人で5割以上を占めている。年収から色々な控除を差し引いても、年間で黒字の所得があり、確定申告で納税をしている人は641万人に過ぎない。

国税庁レポート

サラリーマンの場合には、給料から所得税の源泉徴収がされるため、確定申告はしないのが一般的だが、給与以外で年間20万円以上の収入がある場合には、申告をしなくてはいけなくなる。たとえば、株式投資で源泉徴収されていないキャピタルゲインや配当金、金利収入などがあったり、不動産の賃貸収入があったりするケース。また、副業による収入が発生していれば、当然ながら、サラリーマンでも確定申告をする必要が生じてくる。

これからの人生設計では、生活の基盤を、会社の給与1本に依存するのではなく、多様な収入源を持つことが「自由や安心」を手に入れる有効策になるため、確定申告者が増えるということは、それだけ自由な生き方の実践者が増えたことを意味する。

複数の収益源を持つことに成功したサラリーマンが、確定申告者となって気づくのは、「収入(年収)と所得」は別物であるということだ。サラリーマンが常に意識している「年収」には、給与の他に、通勤手当や住宅手当、天引きされている税金や社会保険料も含まれている。そのため、社内でしのぎを削って高年収を得られるポジションにまで昇ったとしても、実際の生活では、それほど豊かさを感じられないことはよくある。

一方、個人事業者にとっての収入とは「売上高」のことを差し、そこから様々な経費を差し引いていった残金が「所得」になる。フリーランスにとっての経費には、仕事のスキルを高めるための書籍購入やセミナー参加費、情報収集や視察のための旅費、最新のPCやモバイル機材を購入すること、仕事で使う車両代(マイカーと兼用)や自宅の一部をオフィス家賃として計上することなども認められているため、年収が1,200万円でも、確定申告上の所得は400万円、ということも珍しくない。

もちろん脱税はいけないが、合法的な節税対策として、稼いでいる個人事業者は、できるだけ申告上の所得額を下げようとする。

こうした「年収と所得の違い」は、住宅ローン審査をする銀行員でも、肌感覚としてわかっていないことが多いのだが、投資や副業などの成功により、複数の収益源を持てるようになると、年収自体を競い合うことの無意味さに気づくようになる。

自分のビジネスを持ち、売上を伸ばすことができれば、その中で自己投資に使える経費の枠も広げられる。自身への投資をしてきた者と、できなかった者の間には、数年先、数十年先の成長格差が開くことになるだろう。

収入の項目には、給与以外にも複数の選択肢があり、それらを柔軟に組み合わせて、自分の実質資産を増やしていくことが「人生」というゲームだということを気づかせてくれるのが、年に1度訪れる確定申告のイベントなのかもしれない。

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