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コーチェラをカルチャー的観点から振り返る

さて、コーチェラの第一週目が終わり、第二週目が明日始まります。
パンデミックを経ての大規模フェスは、アメリカで(カルチャー的観点から)どのように話題になったのか、興味深かった記事などの一部をピックアップしてまとめます。

Twitterで、このようなことに言及した。
「コーチェラはラインナップが豪華だけど、参加する人は音楽のためというよりもSNSのファッション的なハイプや「体験価値」が重要なのであって、ライブ中のノリが悪いのでも有名。あと環境が過酷な上にいろんなドラッグやってるからさらにカオスだし、イメージしているほど優雅で楽しいわけでは全くない」

コーチェラが「ニッチな音楽音楽メインのイベント」から、インスタグラムやFacebookが発達するにつれて「SNS映えのためのクールなイベント」に変化したことは、この2018年のLA Timesの記事でも取り上げられている。

「コーチェラは音楽ではなく、シーンを重視するようになったと読者は感じている」

このコーチェラ特有のカルチャー以上に、アメリカの若者にとってフェスはパーティーの延長線上で、音楽は身近にある日常的なものなのであって、コーチェラは超お金かかるしハードル高いけど、だからこそ「音楽のため」ではなく「総合的な思い出」を作りたい人が多い印象がある。

「コーチェラはカルチャー的な影響力を失っているのか?」


この記事では、かつては若者文化に絶大な影響を与えていたコーチェラが若者の間で影響力を失っているのかどうかということについて言及している。

「2019年を思い返すと、コーチェラの期間中、インスタグラムのフィードに溢れるフェスのコンテンツから逃れることはほぼ不可能だった。しかし今年は、フェスティバルを定義するようになった”今日の服装”の投稿やVlogの不在が目立っていたように思う。

世界はまだコロナウィルスから回復していないため、コーチェラコンテンツの落ち込みは全く驚くことではない。スマホの画面に張り付いて2年間を過ごした参加者の多くは、フォロワー向けのコンテンツを作ることを気にせず、ただリアルタイムでその瞬間を楽しみたいと考えているのかもしれない。

Z世代は、SNSにおいて信頼性を求める傾向にあり、コーチェラの典型的なコンテンツは、多くが「リアル」だと感じるものではない。コーチェラといえば、参加者は完璧にコーディネートされた衣装の写真を投稿し、最高の時間を過ごしていることを示すために厳選された動画を共有することで知られている。一部のネットユーザーは、コーチェラやこうした過剰演出の投稿を "ミレニアルコア "とまで表現している。

つまり、ポップカルチャー現象としてのコーチェラは、どうやら過渡期を迎えているようなのだ。Z世代のインフルエンサーやセレブリティがフェスに参加するようになれば、観客としてのコーチェラの体験の仕方も変わっていくに違いない。」


「今週末、初めてコーチェラに行ってきた。このフェスティバルのベスト10とワースト10を紹介」
この記事では、参加者が必ずしも音楽を楽しむためにコーチェラに行くわけではないということに言及している。

「誰もが音楽のためだけにコーチェラに来ているわけではない。

コーチェラは音楽フェスティバルをはるかに超えた、ファッション、セレブリティ、アートの交差点を体験する場とされている。そのため、歌ったり踊ったりすることが目的ではない人たちもたくさんいる。

このような無関心さは、最初から明らかだった。いくつかのショーでは、ステージのすぐ近くにいても、まったく動じないか、腹立たしいほどおしゃべりをする人たちに囲まれた。

たとえば、フィービー・ブリジャースのエモーショナルなパフォーマンスでは、観客の多くが彼女の歌の間中、ずっと話し続けていた。」

「コーチェラ2022年のベストとワースト」

このピッチフォークの記事では、実際にフェスに参加したライターがパフォーマンスのベストやワースト場面についてまとめている。


「コーチェラのカムバックスタイルは「ユーフォリア」vs「ボヘミアン」に決定」

この記事ではコーチェラのファッションの変遷について書かれている。今年の注目スタイルはキラキラのメイク、大人気ドラマ「Euphoria」にインスパイアされたルック、そしてクロシェの服だと書かれている。

「最初の週末で男女を問わず最も多く見られたビューティ・トレンドは、断トツでキラキラのアイメイクだった。『Euphoria』の撮影現場から飛び出してきたようなラインストーンのメイクが昼夜を問わずあちこちで見られ、カラフルなアイシャドウとの組み合わせが多く見られた。

「エンターテインメントやテレビ番組が、ビューティ・トレンドの一因となることはよくあることです。今年見られた、宝石やラインストーンなどのアイアクセサリーを使った遊び心のある目元も例外ではありません」と、NYX Professional Makeupのプロアーティスト、Autumn Whiteは語っている。

全体的に、今年のフェスティバル・ファッションは、この10年の大半を占めてきたウッドストックにインスパイアされたヒッピーの楽園というよりも、レイヴのような印象を受けた。

花冠も、部族の人たちから文化的な軽視だと何年も批判されてきたネイティブアメリカン風のヘッドウェアも、その方程式からはとっくに消えているのだ。コーチェラでは、ウェブサイトに「適切でない」ルックを禁止する文言があり、他の音楽祭では、ネイティブアメリカンのヘッドドレスを明確に禁止している。また、ふわふわした生地、プレーリースカート、ポンチョ、ボヘミアンパターンも不足気味だった。

インフルエンサーやセレブリティのファッションが文化的流用であると批判されることが多くなり、パンデミック以前からすでにシフトは始まっていた。2014年には早くもアレッサンドラ・アンブロジオがネイティブアメリカンのヘッドドレスを着用し、反発を受けた。

その代わりに登場したのが、「Euphoria」の登場人物の衣装を彷彿とさせるルックだ。Y2Kを連想させるゴーゴースタイルのホルターミニドレスやスカートは、鮮やかなネオンカラーやサイケデリックなプリントのものがあちこちに見られた。チューブトップ、バタフライクリップ、スペースバンズ、ボディグリッターと同様に、Tバックもまた、簡単に見つけられるレトロ回帰のトレンドだった。」

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竹田ダニエル
記事を読んでくださりありがとうございます!いただけたサポートは、記事を書く際に参考しているNew York TimesやLA Times等の十数社のサブスクリプション費用にあてます。