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Clubhouseモデレーター、これだけはおさえたい5つのポイント~脱・初心者!音声SNS会話構築術~

 Potage代表取締役コミュニティ・アクセラレーター河原あずさです。ステージモデレーション&ファシリテーションについて教えるオンライン講座を半年以上やっていますが、気が付いたらこの半月で「Moderator」という単語が、急速に市民権を得てきました。何がきっかけかというと、ご存じ「Clubhouse」の出現です。

 それまで「Dabel」という音声SNSで配信をしたことはありましたが、Clubhouseのカルチャーと広がりはそれとはまったく違い、衝撃的でした。「世の中にはこんなにしゃべりたがりな人がいたのか!」と思うくらいに、多くの人がモデレーターとなり、Roomを立ち上げ、たくさんの「おしゃべり」が世の中に拡散されていったのです。

 なぜ流行ったのかの分析は専門家にゆだねるとして、正直、私個人が思っているのは「普段、会話を組み立てることになれていない人が、モデレーターをやることの難しさ」です。

 多くの人が思う「ダメなモデレーターあるある」として、よく言われるのが以下の3つの問題です。

「スピーカーあげすぎて誰もマネージできてない問題」
「時間が延々と延長して間延びしすぎ問題」
「オーディエンスをステージにあげたらしゃべりすぎて収集つかない問題」

 このあたりの問題は、すでにそこかしこで語られているので、特にここでは触れません。基本のキといえる部分なので、他の記事などでそれぞれ補完下さい。

 以下の文章では、プロのモデレーター、ファシリテーターの見地から、音声SNSの特性を上手にいかしながら、上級者な会話構築ができるようになる5つのポイントについて触れていきます。トーク進行の中~上級者が意識した方がいいポイントをまとめています。

 気軽にトークコンテンツを配信できるプラットフォームの登場は、人々がトークを発信するハードルを急激に下げました。一方で、クオリティの担保がなかなか難しいという一面もあります。一人でも多くの人のモデレーターとしてのスキルが向上し、より精度の高い情報発信がそれぞれできるようになるといいなと、個人的には考えています。そのためにも、私自身のノウハウも混ぜながら、Clubhouseを中心とした「音声SNS攻略法」について、ご説明できればと思います。ぜひともご笑覧下さいませ。

 ※なお、音声SNSモデレーターの基本は、ステージモデレーションやファシリテーションの基本とまったく一緒です。ご興味ある方は西村創一朗さんと運営している「THE MODERATORS & FACILITATORS」、通称「モデファシ」をぜひチェックください。3月11日、18日、25日の3DAYSで第6期開催、残席わずかです!

Clubhouse会話術その1. あいづちを入れよう

 Clubhouseでモデレーターをしているとあいづちを入れていいものか悩むかもしれません。私なりの結論を言うと、あいづちは絶対に入れた方がいいです。

 モデレーションにおけるあいづちには2つの効能があります。1つは「聴いているよ!」という傾聴のサインを語り手に送ること。そしてもう1つは、(意外と語る人は少ないですが)テンポをコントロールできることです。

 傾聴のサインは、語り手や聞き手をおいてけぼりにしないためにとても大事です。しゃべり慣れていない人は、相手のリアクションがないと、しゃべっているうちに不安になってきます。不安になるとトークがますます不安定になり、聞き手も「大丈夫かな?」という気持ちになってきます。大丈夫ですよ、ちゃんと聞いてますよ、というサインを送り続けることは、場の安心感につながります。

 一方でしゃべり慣れている人や、しゃべりすぎてしまう人相手には、あいづちは「いつでも介入しますよ」「放置しているわけではないですよ」という暗黙のサインとしても作用します。乗馬における手綱のような位置づけです。そろそろ止まってほしい、話題を切り替えたいというころ合いに話にカットインすることはとても大事なのですが、声を発しない状態からいきなりカットインするのは、印象として急ですし、相手に違和感を与えることもあります。常に会話に介入する状態でいることで、カットインへの流れを自然とつくることができるのです。

 また、あいづちのスピードの緩急をつけることで、会話のトーンの上げ下げをすることができます。ドラムにおけるハイハットのようなイメージです。早めにあいづちをうてば徐々に会話のテンポをあげられるし、ゆったりあいづちをうつことで、ゆったりとした会話にシフトチェンジすることもできます。この特性をうまく使うと、聞き手にとっても没入感のある会話がつくりやすくなります。

 Clubhouseは音がかぶってもあまり音を打ち消さないので、Zoomなどに比べてむしろあいづちを声に出して打ちやすい特性があります。ウェビナーのパネルトークに比べて話のテンポ感がでやすいのは、そんなプラットフォーム特性も影響しているのではないかなと分析してます。

 あいづちはノイズになるという意見もありますが、呼吸の隙間、句読点のポイントに上手にあいづちを差し込むことで、違和感なく入れ込むことができます。音声SNSでのトークは、あいづちがないと、ただの一人しゃべりと一緒。「会話」を提供したいのであれば、自然なあいづちを駆使しましょう。

Clubhouse会話術その2. 外目線を意識しよう

 私がモデレーターをやる際は、一人でも外のコミュニティからやってきたオーディエンスがいたら、その目線を意識してトークを組み立てるようにしています。

 大前提として、Clubhouseは「聞き手のためのプラットフォーム」だと私は解釈しています。ブームになった時期は「喋り手」のための場という側面が正直強かったように見えましたが、徐々にそこが是正されて(脂が落ちてきて)発信側のエゴのようなものが薄れてきたのはいい兆候だと思っています。純粋に、関心テーマの会話を聞きたい人が排除されないからです。

 一方でスピーカーの人が、喋り手目線でいることにはまったく問題ないと思っています。大事なのは、オーディエンスとスピーカーの間に立つモデレーターが、しっかりとその間に橋をかけ、聞き手のための場であるという目線を欠かさないことだと考えてます。

 聞き手目線で考えたときに、トークコンテンツ最大の敵は「内輪話」です。専門用語や、背景を理解しないと解釈できないトークが連発すると、外からやってきた人は途端においてけぼりになります。登壇者が仲良しな空気を出せば出すほど、その疎外感は増していくのです。

 そうならないように、専門用語は優しく言い換える、背景が省略された会話はきちんと背景を説明する、難しくなってきた話は柔らかく戻していく、などの気配りがモデレーターには必要になってきます。自分のお母さんがこの話を聞いたときに、ちゃんと理解できるかどうかが目安と考えると程よいと個人的には考えてます。

Clubhouse会話術その3. テーマを意識しよう

 2にも少し重なりますが、モデレーターが最も避けるべき状況の一つが、「テーマから脱線し内輪トークにステージが終始している状態」です。

 もともとの場の設定がいわゆる「雑談部屋」の場合はこの限りではありません。しかし、特定のテーマ掲げられているのに「ほぼ雑談部屋」状態になることがあります。モデレーターの力量不足と言わざるをえない状況です。

 私は隙間時間を使って「モデレーターについてなんでも質問できる部屋」を立てていますが、基本的にはそこでは、モデレーターや進行に関する話に特化して話をします。知人が聞き手として登壇することもありますが、個人的な会話はほとんどかわしません。「モデレーターの進行方法について聞きたい」というオーディエンスの期待を裏切りたくないからです。

 Clubhouseでは、一度開けたら途中でRoomのタイトルを変えることはできません。そして、オーディエンスはテーマに惹かれて多くの場合入室してきます。開始した当初からどんどん話が脱線し、元に戻らない状態のときに外から聞き手が入ってきたとき、その場についてどう思うでしょうか。がっかりして、すぐ退室してしまいますよね。

 スピーカーの人が脱線した話をすることはあり、そのこと自体は制限されるものではありません。ある程度話を脱線させることで、場の空気をなごませ、話題を広げるテクニックは、僕もステージ上でよく使います。しかし、きちんと手綱を握りながら、よきタイミングでテーマに話を引き戻すのがモデレーターとしての大事な役割なわけで、これが野放しになると「脱線だらけ」の雑談部屋状態へと陥ってしまいます。

 テーマというレールの近辺で話を組み立てるのは、モデレーターの大事な役割であり責任であると意識しながら、会話を注意深く組み立てていきましょう。

Clubhouse会話術その4. ときどき間合いを使おう

 4はちょっと上級者向けの話になってきます。しかし、意識するとしないとで雲泥の差がでる、おさえると、他と差がつくポイントです。

 さて、あいづちの項目でも述べましたが、音のかぶりが許容されるClubhouseは、Zoomなどの会話に比べてテンポ感が生まれやすいです。

 しゃべれる人が夢中になってブーム期に毎日のようにノリノリでおしゃべりしていたのは、Zoomでは「相手の音を打ち消す」という特性ゆえにブレーキをかけながらしゃべっていた語り手たちが、そのブレーキから解放された喜びも理由としてあった気がするのです。(それだけ、Zoomの音の処理はモデレーター泣かせでもあります。だいぶ慣れましたが…)

 ただ、独特のテンポ感の生まれやすさは武器になる判明、「間合い」や「余白」を使った会話に意識が向きづらいという特性があります。

 テンポ感のいいトークは、例えていうとバトミントンのラリーのようなものです。相手の答えやすいテンポ感で言葉を落として、その応酬自体を楽しむ会話です。

 一方、相手の内面や価値観の根っこに迫るトークには、テンポを落としたり、あえて沈黙をつくったり、声のトーンを落としたりしながら、感情の揺さぶりをつくることが実は大事になります。例えて言うと、サッカーのパサーが、相手の急所をとらえるキラーパスを出すために、あえてボールをとめて、遅攻に切り替えてじっくりためをつくるような感覚です。

 サッカーの司令塔と同様に、モデレーターが上手にゲーム(会話)を組み立てるには、遅攻と速攻を状況に応じて使い分け、テンポの揺れをつくったり、展開のメリハリをつくることが求められます。

 ただ、映像がない音声SNSにおいて、空白や間をつくるのはとても勇気がいります。ずっと黙るような状況が続くとラジオで言う「放送事故」が起きかねません。また、そもそも、人間は無音の状態に不安感を覚える生き物なので、音をかぶせて埋めようとする習性があります。結果、音がつまりやすい音声SNSでの会話では、テンポがどうしても一定になりやすいのです。

 これはとても勇気がいることなのですが、ある時間帯において、あえてトークに隙間をつくりながら、時にテンポを落とし、時に空白をつくることもトークに深みをもたらすには大事です。どうしてもトークが浅くなりがちだと悩むモデレーターのみなさんは、ぜひ自分なりの方法で、意識してみて下さい。

Clubhouse会話術その5. 感情移入する工夫をしよう

 視覚優位な世の中に生きる私たちは、どうしても目に見えるものに意識が向きがちです。部屋の中でヘッドフォンをしながら会話をしていると、どうしても日常の光景やSNSの通知などが目に入り、集中力がそがれてしまうことがよくあります。

 では、音声SNSにおいてトークに集中するために、どんな工夫が有効でしょうか。私の場合は、スマホの画面のスピーカーやオーディエンスのプロフィール写真を見ながら、トークをするようにしています。

 Clubhouseの画面をみながらしゃべることの利点は「感情移入」が促されることです。

 人間は、「顔」に対して感情移入が走る生き物です。Clubhouseでは、喋っている人のプロフィール写真の縁が点滅することでクローズアップされる仕組みになっていますが、その点滅をみながら、スピーカーがどんな表情でしゃべっているかを想像することができます。今、笑顔なのか、真剣なのか、怒っているのか、退屈しているのか……想像しながらトークするだけで、集中力は断然違ってきます。

 オーディエンスのプロフィール写真を見つめていると、同様に、どんな表情で参加者が話を聞いているのかが想像できます。もちろん想像でしかないですが、脳の片隅で聞き手の目線を意識することで、モデレーターとしての緊張感が変わってくるのです。

 プロフィール写真が消える瞬間に出くわすこともあります。Roomから誰かが退出したということです。その際は「もしかしたら、トークに退屈している人が増えているかもしれない」と気を引き締めることもできます。

 対面で会う際に、人は聴覚だけで会話をしているわけではありません。五感を使って会話をしています。それと同様に、音声のみのやりとりでも、五感を駆使した方が、より伝わるトークがつくれる気がするのです。

 精神論かもしれませんが、モデレーターにとって大事なのは、かかわる人たちが楽しめているかどうかを常に意識し続けることです。それができるモデレーターはスピーカーやオーディエンス両方から信頼されるでしょうし、できないモデレーターからは離れていくでしょう。スマホ画面をみながらしゃべるのは1つの例ですが、自身が感情移入しやすい方法を考えて、トークに臨むことをお勧めします。

大事なのは愛とやさしさ

 以上、音声SNSの会話の組み立ての5つのポイントをお届けしました。その最後にこんなことをいうのもアレなのですが、場づくりをする上でいちばん大事なのは、そこにかかわる人たちへの「愛」と「やさしさ」だと思っています(本当に)。

 いくらテクニックがあっても、対象へのリスペクトがない状態で会話が続くのは、あまり気持ちのいい状態ではありません。結局のところ、かかわる人たちは、バックグラウンドの浅さや、人柄のようなものを見抜いていきます。そして、不思議なことに、音声のほうがその人のパーソナリティのようなものが透けて見えて、見抜かれやすいという側面も実はあるのです。

 私が講師をしている「モデファシ」でも「誰も置いてけぼりにしない(No one leave behind.)」というSDGsのメッセージを引用して、この説明をしています。どんな場であれ、つくる以上はいろいろな関係者の思いを代表するのです。そのことを意識しながら場づくりに取り組むと、必然的に熱量が上がっていきます。Clubhouseなどのプラットフォームを通じて、そんな発信ができる人が一人でも多く増えることを、心の底から願っています。

※Clubhouseでモデレーター進行やコミュニティについての発信を不定期で行っています。ご興味ある方はぜひフォロー下さい! @as_kwhr

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