婚姻数が激減したのは「歳の差婚」のせいだ【データ06】
お笑いコンビ「よゐこ」の濱口優さん(46)とタレントの南明奈さん(29)が17歳の年齢差を越えてご結婚されました。おめでとうございます。
「歳の差婚」という言葉もありますが、実は日本の婚姻数を減少させている最大の要因は、この「歳の差婚」それも「男が年上婚」のせいなんです。
データを見てみましょう。
まず、その前に現代の未婚者は相手の結婚年齢に対して、どういう希望を持っているかと言いますと、男女ともに「同い年婚」を希望する人が増えています。2015年の厚生労働省「第15回出生動向調査」(未婚者が希望する結婚相手との年齢差の構成)では、未婚男性の「同い年結婚」志向が増加しているというレポートがありました。1987年時点では「同い年と結婚したい」という未婚男性はわずか8.7%に対し、2015年調査では41.8%まで激増しています。未婚女性も8.9%から28.4%と増えています。
では、実態はどうでしょうか?
人口動態調査の経年推移で、初婚同士の結婚の年齢差をみてみましょう。戦前の1943年においては、男性のほうが平均4.5歳年上でした。が、年々その差は減少し、2010年以降は平均1.7歳差まで縮小しています。婚姻数全体に占める「同い年結婚」の割合を見て見ると、1970年は10%でしたが、2015年には21%と倍増しています。これだけを見ると、確かに「同い年結婚」志向が高まっていると言えそうです。
しかし、多くのメディアはこの割合上昇だけをとりあげて「いまどきの結婚は同い年婚ブーム」とか言い出すのですが、全くもって間違いです。割合だけを見てしまうと実態を見誤ります。そもそも全体の婚姻数自体が大きく減少しているわけです。各年齢差別に絶対数での推移を比べてみましょう。
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お分かりのように、「同い年結婚」の絶対数自体はそれほど増えていません。母数となる婚姻件数が激減しているため構成比が高くなっているのです。つまり、いつの時代も「同い年結婚」をする人の数に大差はないのです。
むしろ驚くべきなのは、男が年上である結婚数の大幅な減少です。婚姻数が減っているのは、この「男性年上婚」の減少の影響なのです。違う見方をすると、「同い年婚」や「姉さん女房婚」に関して言うと、ベビーブームを引き起こした空前の結婚ラッシュの1970年代と婚姻数はほぼ変わらないわけです。ということは、ここはもはや頭打ちであって、婚姻数増加を図るのであれば、大減少している「男が年上婚」の促進をしないと効果がないということが考えられます。
だからといって、若い子好きなおじさんがこれからモテ期に入るわけではありません。
結論からいうと、かつて「歳の差婚」が多かった最大の要因は「お見合い婚」と「職場婚」という社会的お見合いシステムがあったからです。個人の努力とは無関係です。その件については、こちらのコラムに書きました。あわせてご一読ください。