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AIに仕事を奪われるのではなく、AIを超える仕事を目指そう

Web Summitに参加してきました。

 2023年11月に、ポルトガル、リスボンで開催されたWeb Summitに参加してきました。コロナの影響もあり、しばらく海外のカンファレンスに参加していませんでした。しかし、そろそろ自分の情報や、考え方を育てないといけないと思い、7万人以上の参加者がいる、Web Summitに伺ってきました。

 展示会、セミナー、参加者との情報交換など、さまざまお話したいことがありますが、今回は、Web Summitで、AIについて、話されたことを、少しピックアップしようと思います。

責任あるAIというコンセプト

 11月13日のOpening Nightに、Wikipedia の共同創業者である Jimmy Wales 氏が登壇しました。

この中で、Jimmiy 氏は、Wikipediaが、多くの人からの少額の寄付金によって成り立っているため、特定の企業や人物の意図が働いて、事実が捻じ曲げられたり、情報が改竄されたりするリスクは少ないことを説明しました。そして、これと対比して、現在のChatGPTについて、多くの目的には不十分であり、実験するには楽しいが、真剣に使うと結局は「かなり悪い」と述べました。

そして、Jimmy氏は、AIの問題点は、AIが得意とし、正解を導き出す内容には、ウィキペディアや人間によってすでに広く書かれている内容が含まれていることだという。つまり、AIの参照するデータや情報についての問題点を言及しました。Wikipediaは、AIの課題に貢献でき、そうすることで、「責任ある AI」の構築にあたって貢献できることに言及したのです。

この議論からもわかるように、AIはすでに存在しており、AIを遠ざけるのではなく、AIをどのようにしたら、よりよくなるのか。Web Summitでの議論は先に進んでいるようです。

デザインとAIの共同作業は、今までの「トーン&マナー」という言葉を変えるかもしれません。

 Web Summitでは、AIに関するたくさんの話題が話されました。その中でも、デザインとAIのセッションがありました。スピーカーは、MUTOBARという会社の方でした。マーケティングでは、「ブランド」という言葉を使います。例えば、コカ・コーラとペプシコーラは、ほとんどの人が知っている「飲み物」のブランドです。そして、みなさんは、コカ・コーラと聞いたら「赤」を思い浮かべ、ペプシコーラと聞いたら「青」を思い浮かべるでしょう。

このサービスは、ブランドのイメージを守るために重要なプロパティーで、それを破壊するとブランド力が低下します。そのため、ブランドのデザインに関わる人々は、ブランド固有の「トーン&マナー」を学んで理解し、整理することに多くの時間を費やしていました。MUTABORが提供するAIサービスは、会社のデザインをAIに学習させることで、「トーン&マナー」を理解し、新たなデザインを生成することができます。AIは過去のデータの学習に長けていますが、人間はそれに飽きることもあります。AIの得意領域と人間の得意領域の組み合わせが重要なテーマとなっています。



MUTOBARのセッションの様子

AIに仕事を奪われるのではなく、AIに出来ない仕事を考える

他にも、たくさんのセッションでAIについて話され、多くの展示も会場にありました。例えば、「AIは、多くの医者の手術のレベルを向上させるのに役立ちますが、未知の症例に関しては人間の仕事です」とか、「将来のCMOは、AIが考えつかないアイディアを出すことが仕事です」といったものです。Web SUmmitのメイン会場と筆者が参加したあるセッションでは、「AIは失業者を増やすと言われていますが、AIを使えば失業者の仕事とのマッチングサービスを提供することも可能です」という話も出ました。

Web SUmmitのメイン会場と筆者

Web Summitで、AIの進化を感じました。以前はAIと接触する段階でしたが、今では多くの会社のパソコンにAIが導入され、いつでも使えるようになりました。まだAIに触れたことがない方は、今すぐ試してみましょう。そして次は「AIの理解」の段階です。AIの得意なことや不得意なことを知ること、AIに頼むべきことと人に頼むべきことを理解することが重要です。確かに、「AIに関する規則整備」の段階も来るでしょう。しかし、規則整備を急ぎすぎるとAIの活用の可能性を奪ってしまう恐れがあります。まずはじっくりとAIを理解しましょう。そしてAIを普通の友人のように感じることや、好きな点や嫌いな点について話し合うことも大切です。

私が、今回のWeb Summitで強く感じたことは、私の仕事は人に取られなさそうなことです。その理由は、このようなカンファレンスに参加して、初対面の人と情報交換することに、今もワクワクしていからです。きっと、AIだったら、情報がない人との会話は、効果が未知だから避けるでしょう。私という人は、合理的ではない知的好奇心が存在していて、これはAIには奪われないスキルなのです。今後も、磨いていきます!


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本間 充 マーケティングサイエンスラボ所長/アビームコンサルティング顧問
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