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ビッグモーター事件と人口減の関係、 そして独自性がなければ生き残れない日本の企業・自治体の未来

ビッグモーター社が不正に自動車保険金を請求し、その被害者であるはずの損保業界も関与していたのではないか、という事件が連日報道されている。

様々な角度から報じられているが、これらの記事が触れていないことの1つが、日本の人口減少及び高齢化にあると思われる。 そもそも人口が減っていることに加え、 高齢者ドライバーの交通事故が相次ぐこともあり、高齢者の免許返納を促し、クルマを使わないようにという世論が形成されつつあり、道交法も改正された。

こうした人口減及びドライバーの減少と、安全技術の進歩による事故の減少が、自動車保険契約者の減少となり、なおかつ事故を起こしにくくなる結果保険等級が上がって保険料収入も少なくなる、という構造が自動車保険の業界の縮小につながるものであることは間違いないだろう。

こうしたことが、ビッグモーターに損保各社が接近し、不正を見逃していた背景の一つにあるのではないかと推測される。

問題は、こうした人口減少の影響は、何も自動車や損保業界に限ったことではない、ということだ。

私たちはつい、無意識のうちに、高度成長期のように今後も人口が増え、その分様々なものの需要が増えるという前提でものごとを考えてしまう。だが、今後はそうした発想を持つことは非常に危険で、そうした発想が、今回のビッグモーターと損保業界のような不正を生む原因になっていく可能性があるのだと考えられる。

先日発表された人口動態で明らかになったように、既に東京を含む首都圏や出生率が高い沖縄県を含めた全都道府県で人口が減り始めている。

こうした状況で、大幅な外国人(移民)の受入れに舵をきるのでもないかぎり、人口減少にともなう市場規模の縮小が起き、長期的には、複数の会社が同業で競合関係にある業界でも、長い目ではそのうちの1社なり2社なりが吸収合併されたり倒産という形で消滅していくのが、今後の日本の未来であると考えておかなければならない。仮に外国人の大幅な受け入れを決めたとしても、現状の低賃金かつハイコンテクストで外国人が働きにくい我が国に、どれだけの移民希望者が来るかも未知数だろうし、来たとしても急激な外国人増は別な社会問題を生むこともほぼ確実で、時間をかけて取り組まなければならない課題だ(が、先送りしてきている課題である)。

これは何も民間企業だけの問題ではなく、例えば自治体が行っている移住・定住等の施策についても、今回の事件や人口動態統計の発表を機に、そうした施策の有効性についても改めて検討し対応する必要が明確になったと思う。

放っておけば、一般的には規模の経済で大きいところが生き残っていくことは、民間・自治体問わず起こりうることである。 ビッグモーターはそこに賭けて拡大路線をとっていたのかもしれない。一方、小さな企業や自治体は、独自性を高めていかないと、大きな組織や自治体の縮小コピー的な施策では、大きな方に吸収されるか消滅していく、というのが、日本の近未来であると考えておくべきだろう。

そんなことを考えた不祥事だった。

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