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結婚できない職業、結婚できる職業

平成の30年間で人口は5%しか増えていないのに対して、有業人口は男女とも激増しています。就業構造基本調査の1987年と2017年の30年比較をすると、15歳以上の未婚男性の有業人口は、約807万人から約1106万人へと約1.4倍。同様に、未婚女性の有業人口も、570万人から833万人へと、約1.5倍増です。

これは決して景気がよくなったからではありません。むしろ、逆で、景気が悪く、生活資金を稼ぐために、パートやアルバイトなどの非正規雇用が大きく増えたからです。

未婚男性の言う「金がないから結婚できない」という言葉は、決してすべてが負け惜しみや言い訳ではなく、こうした雇用形態の変化や経済環境の影響も受けていることは確かです。

では、2017年の就業構造基本調査から、どんな職業だと結婚していて、どんな職業だと未婚が多いのでしょうか?

男女別全体総数に対する構成比の差分で比較しています。左側に伸びている方が「未婚の多い職業」です。

女性の未婚が多いのは、「専門的・技術的職業従事者」。弁護士・会計士・医師などの国家資格を要する職業の他、デザイナーや音楽家、記者や編集者も該当します。これらの職業の女性の生涯未婚率は非常に高いと言われています。

同じく未婚女性の多い職業として「事務・販売従事者」もありますが、これは、どちらかというと全体の従事者数が多い(特に20代)ことによります。

一方、男性の未婚が多いのは、「サービス職業従事者」「生産工程従事者」「運搬・清掃・包装従事者」です。

「サービス職業従事者」とは、介護職員、理美容師、調理人、飲食業接客業、ビルなどの管理人が該当します。

「生産工程従事者」とは、製鉄・機械・金属加工・食品・印刷など生産や加工、組み立て、製造に関わる仕事に従事する人たちです。簡単に言えば、工場などで働く人たち。

「運搬・清掃・包装従事者」とは、その名の通り、配達員や清掃業などです。

こうしてみると、男性の未婚が多い職業は、いわゆる「ガテン系」「肉体労働系」に集中しています。資格や専門知識をもって活躍する女性の未婚とは大きく違います。このように、未婚の多い男女の職業が、それぞれまったく接点のない業種であることも、マッチングされない要因でしょう。

「金のない男」と「金を稼ぐ女」は生涯未婚が高いというのは事実ですが、単に収入の多寡の問題だけではなく、選んだ職業によって「結婚チャンス」が変わるということも否定できないと思います。職場結婚比率は減少傾向にあるとはいえ、全体婚姻数の3割は職場での出会いですから。


最後に、「結婚できる職業」は?

既婚構成比が一番多いのを見ると、男性は「管理的職業従事者」、女性は意外に「運搬・清掃・包装従事者」でした。男性は、管理職や企業の役員が多く、女性は掃除のおばさんがもっとも既婚率が高い。

これは、その職業についたから結婚できたというより、結婚した結果、そういう職業になる(落ち着いた)と考えるべきでしょう。

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。