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AIと人間、どちらと話しますか?:「対話」の特徴から見た最適な選択法

生成系AIのサービスが急速に広がり、AIとの対話を通じて様々な情報を効率的に得られるようになりました。特に北米では生成AIのサービスを提供するスタートアップによる資金調達が北米を中心に相次いでおり、ユニコーン企業も急増しています。

その中で、企業向けに対話型AIのサービスを提供するスタートアップも出てきておりますし、日本でもパナソニックネクスト社の対話型AIがこれまでセキュリティの観点から利用を控えていた社外秘情報にも対応するなどサービス内容も広がりを見せています。

こうして日常においても、"AIとの対話" の機会は急速に増え、私も業務の効率化だけではなく、ちょっとした調べごとをするときにもAIと対話するようになりました。

そのような中、先日、コミュニティで生きる人の対話の場「コミュニティのカレッジ」にゲスト講師として講義をする機会をいただきました。

コミュニティのカレッジのゲスト会は、最初に参加者のチェックインがあった後、ゲストによる講義が30分ほど、そしてその後に、対話が2セット行われます。この「対話」が素晴らしい体験となりました。

ここ最近続いていたAIとの対話、そして、コミュニティのカレッジでの参加者との対話。当然ですが、同じ対話でも全く異なる対話です。今回はAIとの対話、人間同士の対話のそれぞれの特徴や、意義や得られるものの違いについて考えてみたいと思います。

AIによる「対話」の特徴

対話型AIは、大量のテキストや音声データに基づいて学習し、人間の言語を理解し、適切で関連性のある応答を生成する能力を持っています。対話型AIは常に相互の応答から学び、応答の質を時間とともに改善しています。

対話型AIから得られるものとしては、コスト削減、生産性向上、運用効率の改善などが挙げられます。
現在人間が行っているタスクを自動化することで、人間によるエラーを減らし、コストを削減することが可能となります。また、対話型AIは24時間365日対応可能で、一貫した情報を提供することができます

情報の取得を目的にした「対話」の場合、対話を重ねながら欲しい情報に近づけていく対話型AIは、ある種、インターネットでの「検索」よりも自分自身が欲しい答えを得やすいと考えています。また、質問を重ねることでよりパーソナライズされ、自分に合った対話をしやすくなっていくという特徴もあります。

人間同士の「対話」の特徴

では、人間同士の「対話」にはどのような特徴があるのでしょうか。

冒頭で触れたコミュニティのカレッジでの「対話」は、私がコミュニティについての講義を30-40分した後に、私が考えた「問い」をベースに複数組に分かれて、一緒に約20分間、問いに対しての議論・対話をしていきます。20分の対話の後、全員で集まり、それぞれの組でどのような話が出たかを発表します。そして、次は主催者から2つ目の「問い」が出され、再び複数組に分かれて一緒に対話をし、深堀をしていくのです。下記が全体の流れとなります。

コミュニティのカレッジ、ゲスト講師の会の全体の流れ
参加者による冒頭チェックイン (自己紹介など) 15分

ゲスト講師による講義 30分 

対話①  20分
全体共有 5分

対話② 20分
全体共有 5分

通常、講義形式のセッションの場合、講義の時間が長めに設定されることが多いのですが、コミュニティのカレッジでは、たっぷりと対話の時間が設定されています。この対話の時間がとても素晴らしい時間だったのです。

なぜ素晴らしいと感じたのかを考えてみた結果、人間同士の対話の特徴に気づきました。

それは、「人間同士の対話では想定外のインプットが生まれる」ということです。

私自身が投げかけた1つ目の問いに対して、"こんな感じの回答が返ってくるんだろうな"という想定がありました。しかし、対話をしていくと、全く考えもしていなかった意見や考えが次々に出てくるのです。そして、その対話は、一人の人の意見をベースに、別の人にバトンが渡り、さらに新たな解釈が加わっていったり、別の切り口が出てきたりと、どんどん化学変化が起きていくのです。この化学変化こそが人間同士の対話だからこそ生まれるものなのだと考えています。

AIとの対話・人間同士の対話の使い分け

AIとの対話は大量のデータをもとに一貫した最適な回答を得ることができます。なので、決まった答えを得たい場合に、AIからの回答に対しての問いを重ねることでより自分自身が手にしたい情報に近づけていく場合に有効です。また、24時間365日稼働することが可能なので、カスタマーサポートにおけるお客様からの質問への回答やサポートの提供にも向いています。

一方で人間同士の対話は、前述の通り、自分の問いに対して想定外の回答を得ることが可能です。そして、複数人での対話の場合は、人から人へ意見のバトンが渡っていき、その結果、自分では考えつかなかったような考えと出会うことが可能になります。

よって回答がはっきりしている情報を得るための対話をする場合は対話型AIと対話をし、答えが1つでない事案であったり、答えがはっきりしない考えや問いに対して深掘りしていく場合は人との対話をするのが良いと考えています。

まとめ

ここ最近、急いでいる時などは、とかく答えに最短ルートでたどり着きたいと考え、検索であったり、対話型AIに答えを求めることが多くなっていました。しかしコミュニティのカレッジの登壇をきっかけに改めて、人との対話によって起こる想定外の化学変化の面白さ、そしてそこからの学びに感動しました。
対話型AIとの対話、そして人との対話を目的に応じてしっかりと使い分けていきながらこれからも「対話」を楽しんでいきたいと思います。


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