「オープンコミュニケーション」が生み出すメンバーが能力を発揮し主体性を持つ組織づくり
リモートワークが中心の状況が2年以上続いている中、企業におけるチームのコミュニケーションも大きく変化しました。コミュニケーションの変化に伴い、チームビルディングの方法も変化が見られているのではないでしょうか。
今回は「テレワーク環境下でのチームビルディング」をテーマに書きたいと思います。
チームビルディングとは
「チームビルディング」という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。基本的には組織においてチームづくりを意味していることは自明ですが、具体的には何を意味するのでしょうか。
HRproでは上記のように定義されています。チームビルディングは「目標達成」のためにチームを作っていく取り組みのことを示すのです。
また、チームビルディングという言葉を聞いた時に「チームワーク」というキーワードも想起したのですが、学芸会や運動会など皆で何かを作り上げる時、スポーツをする時、そして社会人になった後は組織において子どもの頃から良く耳にした「チームワーク」とは何を意味する言葉なのでしょうか。
チームワークを研究しているサイボウズ社のブログでは、
と定義されています。
つまり「目標達成」を目的にチームメンバーが「共同」で動くことがチームワークと言えるのでしょう。
そして、チームワークとチームビルディングの違いについて、下記のように説明があります。
チームビルディングはチームワーク+α 、つまり「目標達成」を目的にチームメンバーが主体性を持ち「共同」で動くための、個々の能力がしっかりと発揮できる組織づくりをすることを意味していると言えるでしょう。
コロナ禍におけるチームビルディング
リモートワークが中心となるこの時代のチームビルディングにおいて、メンバーがお互いにオンラインで繋がりながらどのように主体性を持ち、スキルや能力を最大限に発揮できるようなチームを作り上げていくのでしょうか。
様々なアプローチがあると思いますが、根幹にあるのは"オープンコミュニケーション"ではないかと考えています。
なぜオープンコミュニケーションが大切なのか
オープンコミュニケーションとは文字通り、誰もが見ること、知ることができる透明性の高いコミュニケーションを意味します。これまでのメールや電話をメインにしたコミュニケーションはクローズドなコミュニケーションであり、やり取りをチームメンバーと共有することは簡単ではありませんでした。それがSlackなどのコミュニケーションツールの普及により、やり取りのシェアは格段にしやすくなりました。
情報がオープンにシェアされることで各メンバーが持つ情報量は均一化出来るようになります。(ここで「出来るようになる」と表現したのは、情報をオープンにしても情報を得に来る人とそうでない人は出てくるので、最終的には個人の動きに委ねられるからです)
フラットに情報を持つことで、仕事における重要な判断をそれぞれのチームメンバーがすることが可能となり、オーナーシップも高まります。
この状態こそがチームビルディングのポイントである個々の能力がしっかりと発揮できる環境の基礎となるのです。必要な情報にフェアに、そしてフラットにアクセスできる環境があってこそ、個々人の適切な判断、オーナーシップに繋がり、組織力は高まり、良いチームづくりにつながっていくと考えています。
オープンコミュニケーションのポイント
オープンコミュニケーションの重要性については上述の通りですが、ではどのように環境づくりをしていけば良いでしょうか。
・コミュニケーションツール
リモートワークが広がる現在においては、多くの企業ではメールだけでなく、SlackやChatworkなどのコミュニケーションツールが導入されているのではないでしょうか。そうしてツールを使う場合に、プライベートなやり取りや人事的な内容のやり取り以外は、基本誰でもフォローできるオープンなグループでコミュニケーションを取ることを徹底しましょう。また、プロジェクトマネジメントなどはGithubなどを活用することで情報へのアクセスが容易になりますし、いつでもどういう経緯でプロジェクトが動いたか、そもそもの背景などを知ることが出来るようになります。
・ミーティングの議事録
会議の中で話したことも議事録を取り、(人事関連などシェアできないものは除いて)他のチームメンバー含め誰でもアクセスし読むことが出来る状態にしておくことも大切です。ミーティングでは様々な議論がなされますし、その中で新たなアクションが決まります。そのような議論内容、アクションに関しての決定事項を誰でもアクセスできるようにすることで他のチームからのフィードバックを得たり、プロジェクトの被りを防いだりすることもできます。
・オープンコミュニケーションの下地
組織づくりにおいては心理的安全性が高い状態であることが求められます。心理的安全性が高い状態とは「メンバー同士の会話でどのような発言をしたとしても、メンバーから嫌われたり、関係が壊れたりすることがなく、安心して自分の意見や考えを言える状態」 (参照 : Talknote Magazine)を意味しますが、こうした状態をリモートワークで実現するのは簡単なことではありません。
そもそもオンラインでのコミュニケーションが中心となり、アジェンダを遂行していく目的志向のオンライン会議などではお互いの関係の質が高まりにくくなります。そのような状況下では心理的安全性が高い状態を作ることは困難です。
ではどのようにリモートワークが中心の状況下で心理的安全性を高め、チームづくりにつながるコミュニケーションを設計していけば良いのでしょうか。1on1や定期的なミーティングによる日頃からのコミュニケーションの機会と、そこで雑談の時間をしっかりと取ることが関係の質を高めていくと思います。
一見遠回りに感じる雑談などのコミュニケーションこそがチームビルディングにおける下地づくりとなり、オープンコミュニケーションを浸透させる上で重要な心理的安全性の高い環境づくりにつながっていくのです。
まとめ
チームビルディングの手法は様々あります。それぞれの組織、チームにあったチームビルディングのためのアプローチを見つけることが大切です。ただ、どのような手法を取るにしても、心理的安全性の高い組織であることはベースとなります。そして、今日書かせていただいたオープンコミュニケーションが生み出すポジティブな効果はどのような組織においてもあると思います。感覚的には同意出来ても実際に遂行することは簡単ではありません。チーム内での丁寧なコミュニケーション、徹底していくことが求められます。そして、その先にチームメンバーが主体性を持ち、個々の能力を発揮しながら目標達成に向けて動くチームが作られていくのです。興味をお持ちになった方は是非検討、導入いただければと思います。