東大生とポリアモリーについて話したこと(前編)。
「大学でポリアモリーの研究をしています。取材させてください。」
このマガジンがきっかけで、こんな連絡が増えた。
学生からの連絡といえば、これまではもっぱら就職活動の相談だったが、最近はポリアモリーに関する相談の方が多い。
ポリアモリーとはお互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。対義語はモノアモリー。過去のシリーズはこちら。
ポリアモリーは何学?
ポリアモリーを研究する学生とはどんな学生だろうか?
ポリアモリーとは何学の領域だろうか?
もちろんそんなことに正解もないし、僕自身も○○学としてポリアモリーの実践をはじめたわけではないが、インタビューに来た学生の専攻で最も多いのは「文化人類学」だ。
(その他に人文学、心理学、地域社会学という学生もいた)
どうでもいいですが、僕は法学部出身です。
立命館大学の澤野准教授は文化人類学のことを「常識」とされていることを異なった角度から眺め、「見えないものを見る」ことを目的とする学問と表現している。なるほど。ポリアモリーが研究対象になるわけだ。
では、そんな学生たちと交わしたインタビューの中で、印象に残ったやりとりをご紹介しよう。
例えばこれは先日インタビューを受けた東大生とのやりとり。
Q.今、付き合ってる人は何人いますか?
どの大学生と話しても、インタビューの冒頭はこの質問からスタートすることが多い。
そして出鼻を挫くようで申し訳ないが、これに対して僕はいつも「付き合ってる、ってどういう定義で聞いていますか?」と返す。
・告白して受け入れられた関係の人?
・定期的に性交渉を持つ人?(あと定期的の頻度は?)
・もしくはその両方?
・もしくはどれでもない?
図にするとこんな感じ。
実は辞書的な意味で「付き合う」を調べると「交際すること」となり、「交際する」を調べると「付き合うこと」となり迷子になる。煙に巻かれたような印象だ。
つまりA〜Dのすべてが付き合っているのかもしれないし、どれも付き合っていないのかもしれない。
しかし僕らの中には勝手に「付き合うとは○○なもの」という固定観念があり、それを共有できている前提で話が進むことが多い。
ではこの固定観念はどうやって形成されたのだろう?
学校で習った?
ドラマや漫画で観た?
家族が言ってた?
おそらく「付き合う」の定義を教えている学校はない。
だとしたら、ドラマや漫画、家族などの影響だ。
僕たちはこれまでテレビや漫画の中で起こること、もしくは家族が言っていたことを無条件で「正しいこと」「合っていること」として受け入れてしまっていたのかもしれない。
実は一度だって「付き合う」をゼロから考えたことがなかったのかもしれない。
だったら今一度、自分でゼロから「付き合う」を定義してみよう。ゼロから定義するのだから、もちろん同時に付き合えるのは1人だけという条件も一旦外して考えてみよう。
そうやってはじまったのがポリアモリーやリレーションシップアナーキーなんです。
・
・
・
と、こんな感じでインタビューははじまる。
やはりポリアモリーは「常識」とされていることを異なった角度から眺め、「見えないものを見る」ことを目的とする文化人類学になるのかもしれない。
さて、後編では実際に聞かれた。
Q.ポリアモリーを表明して、どんな批判がありました?
Q.私のポリアモリー研究をゼミの先生が認めてくれません。
どうしたらいいですか?
などのやりとりをご紹介しようと思う。
サポートいただけたらグリーンラベルを買います。飲むと筆が進みます。