第4次産業革命とマーケティング
マーケティングは、産業革命とともに変わる。変える!
以下の記事は、とても現代を象徴する、マーケティングの記事である。大量生産・大量販売型のマーケティングに定評のある、日本コカ・コーラが、新しいマーケティングを行うというものである。
客層を絞り込んだ清涼飲料の販売や開発に乗りだす。
この文章にすべてがあるように、ターゲットが明確な層に対してマーケティングを行うのである。マス・マーケティングとは異なるマーケティングを行うというのである。
そして、この記事の最後に、
近年はSNS(交流サイト)の普及やネット通販の広がりで嗜好に合わせた商品開発が新たな潮流だ。花王もスモールマスを意識した商品を発売するなど大手が動き始めている。
と、このようなマーケティングが、インターネットの普及が一つの背景であると分析している。確かに、それも一つの理由だろう。しかし、もう少し高い視点、産業革命との関係で整理してみる。
「シングル&シンプル マーケティング」という本を書いた理由
私は、昨年「シングル&シンプル マーケティング」という本を書いた。マーケティングを長く行っている私の理解では、今のマーケティングの変化が、デジタル・メディアの登場だけの理由ではないと考えたからだ。実は、それ以上に大きな理由は、産業革命だと考えたからである。
多くの企業のマーケッターは、第2次産業革命がもたらした、大量生産、大量消費型のマス・マーケティングの経験を持ち、良く理解している。大量生産することで、消費者に安価に商品を届け、市場を占有することで、多くの利益を得るマーケティングである。
しかし、時代はすでに第3次、第4次産業革命の時代に入った。大量生産だけでなく、高度なコンピュータとIoT技術により、少量多品種生産も安価に、そして高速に行えるようになった。例えば、車のカスタマイズや、清涼飲料水のラベルにさまざまなバリエーションが作れるようになったのが、代表例である。
そして、消費者も「売れている商品」から「自分に相応しい商品」を選択するようになっている。
時代は大きく変わり始めている。この記事に登場している「スモールマス」という言葉ではなく、新しいマーケティングの言葉を考えるべき時なのだ。スモールマスとは、あくまでもマス・マーケティング時代の流れを継承する言葉である。今は、「マス」という言葉には意味がなくなりつつあるのである。もっと、大胆に違う言葉を定義する時代になったのではないだろうか。
第4次産業革命時代下のマーケティング
では、今の「第4次産業革命」時代に相応しいマーケティングとは、何だろうか。それは、私の「シングル&シンプル マーケティング」の本のタイトルにもなっている、「個客に深く長く寄り添う」マーケティングである。
前の図にあるように、実は第2次産業革命前のマーケティングも、「個客に深く長く寄り添う」マーケティングだった。町にある、金物屋は、近所のお客様の生活をきちんと理解して、さまざまな商品を提案してくれた。物干し竿や、お風呂の商品など。今は、この第1次産業革命時代のマーケティングを再確認し、これをデジタル化すれば良いのではないだろうか。
お客様からすれば、商品が何人に売れているかなどには、もはや価値はなくなりつつある。自分に相応しい商品を提案できるマーケティング、それがだ4時産業革命時代のマーケティングであり、それは「個客に深く長く寄り添う」マーケティングなのである。