日本は戦争中に匹敵する「多死時代」へ突入します
日本の人口減少は不可避です。
このまま推移すれば、2100年には人口5972万人と現在の半分以下になると推計されています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)報告書」、出生中位(死亡中位)推計)。これはちょうど1925年(大正14年)の人口5974万人(総務省統計局「大正十四年国勢調査結果の概要」)とほぼ同等です。
人口減少の原因のひとつに、未婚化による少子化があるのは事実ですが、それだけではありません。
今後は死亡者増がいちばんの要因になります。日本はこれから「多死時代」へと突入するのです。
2072年頃には死亡率は19.0に達しますが、これは明治期の日清・日露戦争時期とほぼ一緒です。戦争もしていないのに、戦争中と同等の人が死ぬ国になるのです。
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しかし、冷静に考えると、太平洋戦争後の1951年から2011年まで、死亡率わずか10.0未満の状態が60年間も続いたこと自体がむしろ稀有だったとみるべきです。戦後の日本の人口増加というものは、ベビーブームだけではなく、この「少死」現象(人が死なない)によるものだったのです。
死亡率ではなく、死亡者数でみたグラフが以下です。2023~2025年頃から約50年間連続で、年間150万人以上死んでいく計算になります。これは、太平洋戦争時の年間死亡数に匹敵します。しかも、2060年以降は全死亡者の9割が75歳以上で占められることになります。
今後、婚姻数が劇的に増えたところで、また、出生率が大幅に改善したところで、人口減少に歯止めをかけられるものではないことはお分かりいただけたと思います。出生率を上げて人口を安定させることは社会にとって必要なことでありますが、人口学的には、人口構造の新陳代謝には少なくとも100年はかかると言われています。その間、人口は減少し続けるわけで、いつまでも「できもしないこと」をぐだぐだ言い続けるのは不毛すぎます。
そろそろ私たちは、その現実を直視し、「人口は減り続ける」という現実を前提に適応戦略を考えないといけないフェーズに来ているのではないでしょうか。人口が今の半分の6000万人になってしまう未来を悲観するのではなく、6000万人になってもやっていける未来を構築する。そうした視点に考え方をシフトしていくべきだと思います。
厳しい現実から目をそむけず、その現実に向き合い、行動すること。それが未来を生きる適応力と考えます。
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