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子育て支援が出生増にはならなかったのと同様、結婚支援も婚姻増にはならない

荒川和久/「結婚滅亡」著者


若い世代の結婚や出産への意欲が大きく低下している。国立社会保障・人口問題研究所の2021年「出生動向基本調査」によると、未婚の男女(18~34歳)のうち「いずれ結婚するつもり」という人は、男性で81.4%、女性が84.3%と、過去最低になった。

毎度書いていますが、出生動向基本調査のこの「結婚するつもり」の調査結果を見る場合には前提を知っておくことが大切です。

実はこの質問は「いずれ結婚するつもり」か「一生結婚しないつもり」のどちらか二択です。「一生しないつもり」という確たる強い思いがない限りは、大抵は前者の「するつもり」を選択するでしょう。

同調査ではさらに「するつもり」の中から結婚に対する強固な意志や願望のある「結婚前向き派」と、当分するつもりのない「結婚後ろ向き派」の詳細を調べていますが、今回の概況ではそこまで発表されていない。
しかし、前向きと後ろ向きの比率は1980年代から2015年までは、男4:6、女5:5でほぼ変わりません。


つまり、この「一生しない」が増えたというのは、元々「結婚後ろ向き派」の中の「絶対にしないと決めた」割合が増えたという単なる濃淡の話であり、全体からするとここ40年間結婚意識は変わっていないと解釈するべきです。

言い方をかえると、かつての皆婚時代でさえ若者が全員結婚に前のめりだったわけではないということ。「別に結婚したくないとは言わないけど、結婚したいとも思わない」という中間層が結婚したからこその皆婚だったわけ。結婚はしたいかしたくないかという割合の問題ではなく、どちらでもいい中間層が結婚しないと増えません。大体、結婚とは相手があっての話であり、個人が「したい」といってなんとかなるものではない。

まあ、その中間層を結婚に導いたというか、後押ししたのが、お見合いと職場結婚という社会的お膳立てシステムだったわけですが、それが崩壊すれば結婚数は減るのは自明の理。

というと、「マッチングアプリがそれを代替えするのだ」とマッチングアプリ業者が自前広告よろしく手前みその調査結果をリリースしたり、マッチングアプリの広告出稿量の多いメディアは提灯記事を出したりするわけですが…。場合によっては、識者がマッチングアプリ業者の提灯記事の監修とかギャラもらってやっていたりする。ま、資本主義なんで自由ですが。

結論からいうと、そこそこの割合まではいくでしょうけど、そもそもマッチングアプリでは婚姻数の絶対数の増加にはならない。なぜなら、マッチングアプリは所詮「街のナンパのデジタル版」にすぎないからです。

要するに、アプリがあろうがなかろうが、恋愛相手や結婚相手を見つけられるものだけに有用なツールであって、本当にお膳立てや後押しが必要な恋愛弱者たちにとってはあまり意味がないものだから。

それについてはこちらに辛辣に書きました。

じゃあ、どうすれば結婚は増えるのよという件については、ようやく内閣府からお声がかかったので、勉強会でいろいろお話もしています。

少なくとも、いままでやってきたような「子育て支援」一辺倒では結婚の増加には結び付かないし、抜本的な少子化対策にはなりえない。「子育て支援」はそれはそれで大事な事だが、それは別に少子化対策じゃなくたってやるべきことである。

これも何度もいうように、結婚した女性が産む子どもの数はそれほど減っていない、出生数が減っているのは、そもそも出産可能年齢の女性人口が減っているからであり、少母化の問題

ただでさえ絶対人口が減っている中で、出生数の減少をすこしでもおさえるためには婚姻数の増加しかない。内閣府の白書もようやく「婚姻数の増加」を第一番目にもってくるようになりましたけどね。

1婚姻あたり1.5人の子どもが生まれます。離婚とかがあったとしても。現在2人産んでいるご家庭にあと1.5人産んでもらうより、そっちを狙った方が現実的です。

で、ニュースでは相変わらず危機感を煽るわけです。

結婚意向のある女性が希望する子ども数の平均も、15年の前回から0.23人も減少し、1.79人と初めて2を割り込んだ。男性も1.82人と、やはり減っている。

ここで注目したいのは、2002年以降女性の方が男性より希望子ども数は多かったのですが、今回の調査で前回を大きく下回って、男性よりも女性の方が子どもを希望しなくなっていることです。

実際に夫婦調査においては、理想の子ども数を持たない(持てない)理由の第一位は、35歳未満の妻の場合「お金がかかりすぎる」であり、35歳以上の妻の場合、お金に加え「高齢出産で産めない」というものです。 つまり、若いうちは経済的理由で出産ができない状況にあり、それではと懸命に働いて所得をあげたとしても、その時には年齢的に産めないという悪循環に陥っています。

非婚の理由も同様で、金が無いから結婚できない と思っているうちに結婚限界年齢を超えてしまうというパターンが多い。それは、「子ども生まないなら結婚する必要性ない」という形でさらなる非婚化も進む。

婚姻や出生の減少の大きな要因は、若年層の経済問題であり、それは一時的なバラマキでは解決せず、若者が将来に期待できる抜本的な景気対策が不可欠だろうと考えます。

子育て支援が出生増にはならないし、結婚支援も婚姻増にはならない。支援するなということではないが、支援したからといって増えるわけじゃないってこと。いい加減バラマキ脳からの脱却が必要では?

少なくともこういう政策で結婚が増えるなんてことはない。

金配れば結婚が増えるわけではないし、むしろこれを悪用する詐欺が増えるだけ。結婚したら金をやるじゃなくて、独身の若者がまず日々金の心配をしなくていいような生活を送れることが大事。

まあ、でもせっかくある制度なんで若い新婚夫婦は活用したらいいと思うけど、本当にお金に困っている人ほどこういう情報を知らないし、知るリテラシーもなかったりするし、そもそも自治体の案内文がわかりにくいから読んでも理解できない。結婚式場が代行申請してあげるとかそういう仕組みにしないと本当に必要な人達に届かない。

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荒川和久/「結婚滅亡」著者

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。

荒川和久/「結婚滅亡」著者
11/13に新刊「結婚滅亡」が発売です!他著書「ソロエコノミーの襲来」 「超ソロ社会」「結婚しない男たち」等。東洋経済等でコラム執筆したり、テレビ・新聞によく出ます。独身研究家として活動させていただいてます。メディア出演・執筆・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージから。