アフリカ融資全額保証に思うこと

日本政府がインフラ輸出に対し、大型の建設機会など日本製品の輸出のほか、現地でのインフラ開発に伴う融資について、全額保証をすることを決めた。融資額が100%保証されることがわかれば、邦銀も積極的な投融資が可能になる。モラルハザードで投融資を実行すれば、NEXIにはリスクが山積となりかねないなど問題は残るものの、マイナス金利の適用がいつ終了されるかの展望もない中、邦銀にとっては海外での利益増加に寄与できるかもしれない。

4月18日駐日ケニア公使が日経新聞に意見を発表されている。要旨としては「日本の高い技術力は魅力的だが、投資判断を早くしてもらいたい」とある。全額保証になれば、アフリカ側の開発需要に、より迅速に応えられるに違いない。

しかし、それとは異なり、アフリカを「最後のフロンティア」として考える場合、アフリカが残している偉大な自然をいかに残すか、という観点はすべての当事者が持ち合わせる必要があるのではないか。筆者がこの春アフリカのサバンナで見た母キリンは、大きくなったお腹を抱え、ライオンや豹ににらまれながら、隙を作らないぞ、と言わんばかりに、後ろ足で敵をけん制していた。気を抜けば、いつ餌食になるかわからない中、神経を張り巡らす生き物のその崇高なこと。エサは取らないでもいいけれど、移動範囲が10メートル四方の動物園にいたいだろうか。

最後のフロンティアとして、これから成長するアフリカ諸国が、成長しながらも、サバンナを失くしてしまわないような形での投融資を進めることも必要だろう。あくまでも先進国側の身勝手な論理かもしれないが、一方で、アフリカ諸国が自然を維持するインセンティブを保てるような枠組みの用意も考える必要があるのではないか。一度失くしてしまったものは、後から大切だったことに気付いたところで、簡単に取り戻せないことを地球規模で考えるべきである。

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