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「わからない」を「探している」に言い換える ーミドルマネージャーの学びのために

「中間管理職」という言葉がありますよね。昔から揶揄の対象として使われがちな言葉だったように感じます。「所詮は中間管理職、上の言うことに逆らえない」「したからは色々言われて大変な役割」など。あるいは、組織課題の槍玉に挙げられることも少なくないでしょう。

こちらの記事のなかでも、エンゲージメント向上のためには中間管理職の理解と活性化が重要であると指摘されています。

こうした揶揄や課題感を跳ね返すために、上司には率直にモノを言い、部下に馬鹿にされないように仕事を頑張るマネージャーの姿を、時折見かけます。

しかし、そのような「頑張り」をすればするほど鎧を纏い、脱げなくなり、誰にも悩みを打ち明けたりできずに自らの首を絞めてしまうこともあるでしょう。

そんななかで最近では、自分らしく弱さを開示しながら、仲間と共にコトを進めていくリーダーシップのあり方に注目が集まっています。

しかし、この「弱さの開示」はやり方を間違えると、かえって周囲からの反感を買うこともありえます。

たとえば「マネージャーとしてのあり方に悩んでいる」とみんなの前で伝えたとしたら、もしかしたら「マネージャーの資質がない」「信頼できないマネージャーのもとで働きたくない」「きちんと役割を果たしてほしい」などと厳しい指摘を返されることもありえます。こんなふうに袋叩きにあっては、2度と弱さの開示などするものかと、心に蓋をしてしまいそうです。

ぼくもMIMIGURIというファシリテーション型のコンサルティングファームで、いわゆるミドルマネジメントの役割を務めています。かれこれ2年半、この役割を務めるなかでわかってきたことがあったので、今日はそのことを書こうと思います。

ミドルマネージャーが抱えるこの「弱さ」とは何で、誰にどのように開くのが良いのか。その匙加減はいまだによくわからないのですが、ひとつだけ言えることがあります。

それは、「弱さとは葛藤であり、葛藤とは学習のタネである」ということです。

たとえば、マネジメントのなかには、キャリア開発支援の仕方がわからない、目標達成支援の仕方がわからない、など、わからなさを抱える葛藤があります。

あるいは、メンバーに意見を伝え、提案していくのが良いのか、もっとメンバーの話を聞き、傾聴し合うのがいいのか、適切な方法が選べないという葛藤もあるでしょう。

こうした「わからなさ」や「選べなさ」、そしてそれらの葛藤を他人に聞いてもらいう「相談できなさ」のことを「弱さ」と呼んでいるように思います。

この葛藤/わからなさ、選べなさ、相談できなさ、に対してぼくなりの有効な手立てがあるとすれば、それはこれらの言葉を言い換えることです。

つまり、「わからない」「できない」ではなく、「探している」という言い方に変えるのです。

キャリア開発支援の、自分なりのやり方を探している。そう言い換えた途端、キャリア開発支援の仕方がわからないのではなく、いくつかの探究を並行していることが明らかになります。つまり、一般的なキャリア開発とはどのようなもので、そのなかで自分が納得できるキャリア開発の方法論とはどのようなもので、その方法論を自分らしく持ちいるにはどうすればよいのかを、探していることになります。

常に探しながら、「こういうことかもしれない」という仮説未満の生煮えの、鼻からでた鼻毛のようなひらめきを、他者に聞いてもらう。それをもとに、自分なりの考え方を磨いていくことで、次第に学びが深まり、「わからなさ」が薄らいでいくのではないでしょうか。

探すことは即ち学ぶことです。つまり、自分の中に感じられている弱さとは葛藤であり、葛藤とは学びのタネなのだと、僕は思います。

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