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子どもの18年と高齢者の18年は同じ18年ではない―こんな少子化対策はどうだろうか?(上)

5月5日の子どもの日は「端午の節句」で、男の子の健やかな成長や幸せを祝う。わが家の仏壇の「過去帳」に残された江戸時代からの先祖の死亡年齢を見ると、年齢若くして子ども時代に亡くなられた先祖が多い
 
かつて日本は、「7歳までの子どもは、神のうち(神の子)」と言われた。生まれて7歳までは神様から預かった子であり、7歳になってはじめて氏神さまの氏子となり、地域社会の一員となれた。無事に育った子どもの成長を祝い、氏神様に感謝してお参りするのが「七五三」だった。それくらい医療技術も衛生環境が未発達で悪かったため、病で亡くなる子どもたちが多く、親として健やかな成長を切に願っていた

現代日本に子どもが減っていく

1 少子化対策をどう思いますか?

人口減少がとまらない。前回の予想以上に、消滅する地域・自治体が増えている。若い女性が減ると、さらに少子化が進む。社会文化研究家として、どう考えるのか?とある国会議員から意見を求められた。家族・地域のなかの子どもの位置づけの変化、家族のカタチの変化を日本と世界に違いなどを説明したあと、国の少子化対策、こども未来戦略を問われた

国が進めている政策をどう思いますか?

まず思うことがある。国の少子化対策の制度設計に関わる人たちの多くは、子育て世代が現在どうなっているのか、どう考えているのか、なにに困っているのか、なにを願っているのか、その実態は分かっているはずである。分かっているだろうから、それを踏まえて、国に提案して実現したらいいのに、そうなっていない。だからこう感じる

分かっているのに、やれることに
限定しているのではないだろうか?

                   出典 子ども家庭庁

少子化対策というが、子どもが生まれた後のサービスが多い。働き方改革も、子どもを産んだ母親に対するサービスが多い。少子化の本質がおさえられているのだろうか?

子どもを産むのが大変なのは
金がかかること
 

2 (私案)こんな子ども年金制度は、どうだろう?

児童手当の年齢引き上げや所得制限の撤廃、子ども・子育て支援金の創設など子育て世代への支援策がいろいろとつくられる。それぞれは、考えられた政策ではあろう。しかしそれは部分最適で、対処療法ではないだろうか?多様な子ども手当・子ども給付策ではなく、それを

年金にしたら、どうだろうか?

どういうことか?老齢年金は、65歳になったら受け取る。その年金を子育て世代が受け取れるようにしたら、どうだろう?それが、子ども給付となにが違うかというと

自らが生涯にわたって払ってきて
支給される年金から、引き算したらいい

子どもがいる人だけに年金が支給されるのは不平等だという人もいるかもしれない。だとしたら、子どもが生まれるときに年金を使うか使わないかを、それぞれの親が判断したらいい。ポイントはこれ

現代およびこれからの社会を生きていく人の価値観のひとつである「Well‐Being」を感じるためには、以下の3点が仕組みとして必要である
①   自己選択できること
②   自己決定できること 
③   自己責任であること

で制度設計する。この子ども年金は、そのときそのときの親の考え方、環境、経済事情で、自ら選択できるようにする。ただしその親が決めた判断について、自己責任を負わなければいけない。

年齢をとってからもらう年金を
子どもが生まれたときから
親が支給されるようにする

たとえば子どもが生まれたら10万円、2人目が生まれたら15万円、3人目が生まれたら、20万円支給されるとする。子どもが18歳になったら支給終了。その子ども育て期間に支給されるお金を、子どものために使うかどう使うかは

その親の自由である

3 子ども時代の生活に着目する

そもそも、現行の年金制度は、若いときから年金を払いつづけ、年齢をとって65歳になって、老齢年金をもらう制度であり

老後の生活に着目している

しかしその老齢年金はどう使われているのだろうか?老後に年金をもらって旅行に行くぐらいなら、子育てが大変な時期に、自らが払っている年金を使えるようにする方がずっと合理的ではないか?よって私案「子ども年金」は

子どもを懸命に育てている
若い年代の生活に注目する

20代は自分たちが65歳になった時に、年金がもらえるかどうか分かない、心配だと本音では思っている。子どもがいようがいよまいが、年金保険料を払っている。現在の年金について、こう考える人もいるだろう

若いときから払う年金は
なぜ65歳までの長期ローンなの?

それを、年金が払われる65歳まで待つのではなくて、子どもが生まれたら年金を受け取れるようにする。1人親でも、初めから婚姻していなくても、離婚して1人で育てていようが、「子ども1人あたり」で平等にする

子どもが生まれたときに
子ども1人あたり1世帯に月10万円

とする。子ども1人10万円、2人となれば15万円、その年金をベースにして、働く。ただし子ども年金は所得扱いにしないようにする。それは「給付」ではなく

自分が将来もらう年金の前払い
自分の払っている年金の前払い

4 子どもの18年と高齢者の18年は、同じ18年ではない

国民である限り、年金保険料を負担する義務がある。しかし年金をもらう65歳以前に亡くなる人もおられる。だからこそ、65歳になってから年金が払われるよりも、経済的にも大変な年代に自らの年金を前払いしてもらう方がずっと意味があるのではないだろうか?

とても大切なことがある。子どもが生まれた0歳から18歳までの18年間と、65歳から18年間といえば83歳まで

それぞれの世代の
18年間の意味はまったく違う

65歳から年金が支給され、生活費に使う以外に、老人が旅行に行ったり、パチンコにいったり、息子や娘にその年金を使わせたりしている。そういうお金の使い方よりも、経済的に厳しい子育て期間のに支給される年金のほうが、はるかに社会的な意味があるのではないだろうか?

どちらが活きたお金の使い方だろうか? 

後編につづく。

1月から開催してきた「未来を展望して、未来を開拓するための戦略を考える」セミナー(5月22日)も、今回で最終回となる。AI専門家の大阪大学の八木教授と東京大学の大澤教授と、社会文化研究家池永の徹底討論。これから社会はどうなる?どうする?都市・郊外はどうなる?どうする?ーぜひご参加ください

「未来を展望して、未来を開拓するための戦略を考える」セミナー(5月22日)


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