
グリコ「アーモンド効果」に学ぶ新需要を生み出す思考
グリコ「アーモンド効果」が成長しているようです。
ちなみに、私はアーモンドミルク・オーツミルクなど植物性ミルクを毎日大量に摂取しております。
アーモンド効果は、牛乳、豆乳に続く“第3のミルク”として注目される植物由来ミルクの一つであるアーモンドミルクを商品化したもの。動物性からプラントベース(植物由来)の乳代替製品への移行という世界的な潮流と、ビタミンEや食物繊維などを豊富に含むアーモンドの栄養を手軽に摂取できるという利点から、牛乳代わりに飲む愛飲者が年々増加。14年4月の全国発売以来、植物性ミルク市場の拡大をリードしてきた。
今回は、このブームを牽引する「アーモンド効果」のヒットの裏側、新たな需要を生み出すための思考を整理していきます!
市場背景:植物性ミルク市場が拡大
まずは大きなところから見ていきます。
Googleトレンドを確認すると、2014年ごろから「アーモンドミルク」の検索ボリュームが上昇し、右肩上がりで伸びています。
続いて、市場規模を読み解いていきます。
市場規模
①豆乳の市場規模は450億円
豆乳カテゴリーの2020年9月から21年8月の期間通算の市場規模は前年比7.0%減の450億円
↓
②アーモンドミルクの市場規模は100億円弱
アーモンドミルクカテゴリーの20年9月から21年8月の期間通算の市場規模は前年比24.6%増の76億円と、20%以上の大幅伸長となった。月別で見るとどの月も2ケタ増が続いており、なかでも21年6月は前年同期比43.5%増と驚異的な伸びを示している。
引用元:大きく伸長する注目カテゴリー「植物性ミルク市場」、健康訴求で新規ユーザー増加中!
アーモンドミルクは、市場規模100億円に近づいており、成長率は高い状態であることがわかりました。
第3のミルクと言われている植物性ミルク市場があり、その中で注目を集めているのがアーモンドミルクということですね。
市場を牽引しているグリコのアーモンド効果
中でも、グリコのアーモンド効果が爆伸びしているとのことでブランドの成功要因を分解していきます。
グリコはマーケティングがとても上手な会社であり、どのような仕掛けをしているのか気になるところです。
アーモンド効果のインサイト・プロポジション分析
アーモンド効果が商品開発から、新たな需要をどのように開発したのかを「インサイト整理のフレームワーク」でまとめてみました。
上記フレームワークの参考書籍はこちらです。
新たな需要が生まれている構造を読み解くポイントは、
ブランドの選ばれる理由
=顧客視点+組織視点
組織と顧客視点が組み合わさって生まれるということです。
-グリコ・アーモンド効果の分析まとめ
①ヒューマンインサイト
気軽に美味しく栄養をとりたい
+
②カテゴリー(アーモンドに対する)インサイト
健康に良いのでサプリ代わりにアーモンドを毎日食べている
↓
③キーインサイト
大量に食べるのは難しいし、硬くて歯に挟まる
⇅
④プロポジション
「アーモンド効果」毎日飲みたくなるアーモンドミルク
↑
⑤製品特徴
1日分のビタミンEとたっぷりの食物繊維・カルシウムが摂れる
美味しい+飲みやすい+健康に良い+美容に良い
+
⑥ブランド資産
アーモンドのバイオニア企業
長年の研究ノウハウ
お菓子で培った技術とノウハウを応用
詳細を解説していきます。
ポイント①顧客課題を理解(ヒューマンインサイト×カテゴリーインサイト)
フレームワークの上の部分です。
「アーモンド効果」の商品開発時の顧客課題を特定するプロセスが書かれていました。
流石グリコ。
グリコによる顧客課題の理解
商品開発に向けて調査を行ったところ、「健康に良いのでサプリ代わりにアーモンドを毎日食べている」という人が多くいることが分かったという。だが、大量に食べるのは難しいし、硬くて歯に挟まるという意見もあった。
引用元:日経トレンディ 「アーモンドミルク」で“豆乳超え”狙うグリコの奇策
アーモンドを健康のために食べる習慣をもっている人はいて、一方で課題として「大量に食べれない、歯に挟まる」といった潜在課題があった…とのことです。
アーモンド効果のドリンクは、上記の課題を解決するための価値設計が行われていることがわかります。
ヒューマンインサイト
気軽に美味しく栄養をとりたい
カテゴリー(アーモンドに対する)インサイト
健康に良いのでサプリ代わりにアーモンドを毎日食べている
キーインサイト
大量に食べるのは難しいし、硬くて歯に挟まる
ポイント②組織資源を理解・特定する(ブランド資産×製品特徴)
フレームワークの下の部分です。
続いて、企業視点でアーモンド効果のヒット要素を読み解いていきます。
グリコはアーモンドのバイオニア企業なのです!
流石グリコ。
“1粒で2度おいしい”キャラメル「アーモンドグリコ」や「アーモンドチョコレート」で知られる江崎グリコは、日本におけるアーモンドのパイオニア企業でもある。硬くてかみ砕くのが難儀という課題に対し、飲料にすれば飲みやすい、続けやすいという発想の転換から、「飲むアーモンド」として開発された。
下記はグリコのオウンドメディアより引用
日本におけるアーモンドのパイオニアとして、長年の研究ノウハウを注ぎ込んだ飲むアーモンド。
お菓子で培った技術とノウハウを応用し、毎日飲みたくなるアーモンドミルクへ。
「既存の組織資源の理解→顧客ニーズとの接続」は、新規事業や新商品開発に取り組む際に抑えておきたいですね。
ブランド資産
アーモンドのバイオニア企業
長年の研究ノウハウ
お菓子で培った技術とノウハウを応用
製品特徴
1日分のビタミンEとたっぷりの食物繊維・カルシウムが摂れる
美味しい+飲みやすい+健康に良い+美容に良い
アーモンド効果のヒット要因まとめ
顧客視点(顧客のインサイト)+組織視点(蓄積したブランド資産)が組み合わせって、『「アーモンド効果」毎日飲みたくなるアーモンドミルク』という独自性が生まれていると捉えることができます。
新需要を生み出す思考プロセスの基本
①顧客課題を特定
②既存資源を活用
③「①+②」で価値を定義
改めて、この3つのプロセスは基本であり、日々のマーケティングの仕事に取り込んでいきたいですね。
最後まで読んでくださりありがとうございました!