中国人目線でのファーウェイ(华为)と中国の対抗策とは
昨日アップした記事の続きです。↓を読んでから読まれると理解が深まると思います。
中国人はファーウェイ(华为)とアメリカの争いがどうなっていくと考えてるの?
カッコで書いてる番号は↑記事の中の「アメリカがHuaweiを攻撃する10の方法」に対応してます。
Huaweiの対応策について
・貿易障壁に対応(1)
業務上は現実を受け止めるしかない。同時にアメリカ政府を訴える。
・アメリカが引き続きエンティティリストを拡大し、株主権利を強調することに正面対応(2,3,4,6)
「HiSilicon」の「予備軍計画」はどこまでHuaweiをサポートすることができるかにかかっている。多くの人が「HiSilicon」がすべてのハードウェアの準備、その対応が可能かを議論しているが、それは間違っている。「予備軍」は今の時点では脆弱で軍とは呼べない。実際には「HiSilicon」は「予備軍」ではなく、Huaweiが威張ってるだけである。よって、これから如何に国産の力で「HiSilicon」をより良い方向に発展させられるのかが重要となる。
※「HiSilicon」は中国語では「海思」、Huaweiが育成してきた半導体製造企業
・戦略的にアメリカのエンティティリストの拡大と株主権利に対応する(2,3,4,6)
敵を分裂し、中間勢力を団結させ、決して戦いを止めない。
・後続サービスの不備に対応する
独自OSの開発を行いながら、Googleのメンツも挽回し、Googleサービスと提携できるよう努力を見せる。それは開発の時間稼ぎになる。
・特許戦争とバックドアの攻撃を回避する
「人類運命共同体」であることを強調し、社会(世界)の認知を獲得する。
・金融封鎖を回避する
Huaweiの2019年の第一四半期財務報告を見る限り、運営資本がかなり減っている。これから買えなくなる機材の買い貯めを行ったことも考えられるが、アメリカからの金融攻撃が既に始まった可能性もある。
・限界を超えた戦争と直面する
(これちょっと正確に訳せません、「超限战争」で軍事用語)
データベースの安全性やバックアップだけではなく、重要情報がいっぱいあると考えられる。特に優秀なエンジニアによって、私たちの発想を超えたものが作られるかもしれない。
国からはHuaweiに何ができるか
Huaweiは民間企業ですが、今回の件に関しては国からの支持が必要だろう。
・アメリカの「long arm jurisdiction」の対象企業を利で誘う(3,4,6)
中国市場が必要不可欠な欧米企業は多い。また、中国は自分が消費するだけでなく、輸入して二次加工してまた輸出するケースも少なくない。長年積み重ねた供給関係をすぐに解消することは難しい。(←いかにも中国的な考え方だ!)
・国の力でチームを組み弱点を強化をする(2,3,4,5,6)
産業として利益を上げるという点では国有企業や研究機関の効率はあまり良くないが、執行能力は確実に高い。また技術の面では、BATや美団、JD、ByteDanceやWeibo等にも共産党員は存在する。優秀で愛国心の強いエンジニアもいるだろう。
・政府購買で最低限の生存ラインを提供(1)
過去にはNokiaやEricssonのインフラ設備を使っていたが、今回は全てHuaweiにすれば問題ない。
・税金の優遇
集積回路半導体についてはすでに税金関係の優遇があった。これからはさらに関連する技術開発の人材や企業を優遇する、国の支持があれば全力で行えるだろう。
・低利子ローンなど(8)
Huaweiの運営資金の流れを心配する人もいた。(低利子ローンは)Huaweiをサポートする方法の一つ。
・世論支持
Huaweiは海外の売り上げがゼロになり、販売数も半分になるではと言っている人もいる。しかし製品の生産には慣性があります。海外で売れない商品が国内に回されると、まずダメージを受けるのは国内のライバル社かもしれない。国内のライバル社はたとえ市場シェアを取られたといってHuaweiを睨む必要はない、何故ならばHuaweiが海外で獲得していた市場シェアが空いているのだから。もしそこを取れないのであれば、SamsungやAppleに負けるということ。
・人材支援(7,9)
Huaweiは大規模の求人を行うだろう。半導体関係以外にも、法律関係や紅客(民族主義寄りのハッカーのこと)など様々な方面でさらなる人材が必要となる。特に特許訴訟に関しては、Huawei以外にも第三者による法律支援チームがあったら応対がスムーズになるだろう。また、紅客がバックドアによる損傷を最低限にすることに尽力する。
感想と北京の友人たちやネット民の考え方
2回にわたり長くなりました。「知乎」でたくさんの支持を受けている識者の意見で、中国全部がこう考えているわけではないです。しかしこれに共感する人は多いし、僕や他の日本人の意見や考え方と違うところも多くとても面白いです。
Huaweiについてのnoteを書く過程で、日本のニュースやTwitterをたくさん見たのですが、「Huaweiの人と会いましたよやる気満々でした」「中国の結束力めちゃ高まってる」「中国の技術力凄いから全然大丈夫そう、すぐアメリカを凌駕するでしょ」の意見も多く見ました。でも周りの中国人やウェブの有識者はかなり冷静だし、現実を直視して今後についていろんなケースを想定しています。
貿易戦についてはまたの機会に書きたいと思います。
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