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メタバースの本質—すべてが見えている世界

「メタバースって、懐かしいです」―22歳と23歳の若者と議論をしていて、メタバースが話題になった。「小学生のころ、学校から帰ったら、メタバースのようなゲームで遊んでいました。最近、話題のメタバース、懐かしい」という。そう、彼らの言うのは、十数年前に大流行したゲームのセカンドライフで、現在のメタバースはここからはじまっている。

1 メタバースの世界―仮想と現実の関係

 
【メタバースが話題。バーチャルな街で、世界中の人と会話ができたり、土地の売買もあるという。仮想と現実の関係、どうなるの?】

メタバース という名称は近未来的だが、メタバースで、仮想空間での仮想店舗で【現物】を売買することは、AmazonやYahoo!や楽天市場と変わらない
 
そこに、【仮想法人格】や【仮想通貨】が絡んで取引しようとすると、リアルな「信用性」をどう担保するかが、メタバースのビジネス展開上のカギとなる。つまり
 
【仮想通貨】はイメージがわきづらいながらも、取引所が成立していることから、【現実↔仮想】の転換の信頼性があるといえば、ある
 
一方、【仮想法人格】、すなわち個人や会社などが仮想化すると、【現物↔仮想】の転換に信用性がなくなる


【現実↔仮想】の転換がナンセンス


とすれば、世界中の法規制がかからないから、【仮想通貨】に帰結した騙し合いになるといえる。どういう意味かというと?


 【仮想通貨】の最後は
リアルな誰かが【現実通貨】として抜き去る
 


8か月前に起こった山口県阿武町が誤送金した新型コロナウイルス対策関連の給付金の多くが返還されたということは、【仮想通貨】の取引所が、結局、【現実通貨】を取り出せる、という現実を明らかにした
 
誤送金が発生したが、送金代行業者から返還された。それは、 送金代行業者がリアルな法人であるから、法規制がおよぶということを意味する

また、SNSでの名誉毀損なども、メタなアカウントには、必ずリアルな人間がいて、その人間に法規制がおよぶから、検挙される
 
ハッカー集団「アノニマス 」でさえ、中身にはリアルな人間が1人ないしは複数人がいるため、その人間が突き止められたら、逮捕される。アノマニマス側は

突き止められないと思っているだけ


2 メタバースビジネスを考える視点

【メタバースって、アバターで、いろいろなところに行けて、動き回れて、楽しそうだけど、メタバースビジネスにどう結びつけるの?】

これまでのネット・スマホの二次元から三次元という世界観に、一対一の関係性から一対多数の関係性に進化する機能を活かして、ゲームやエンターテインメントやプロモーションや業務支援ツールや教育ツールとして、メタバースの可能性に期待する人が多い。では、メタバースで、現実のモノの売り買いができるのか?
 
まずメタバースを使ったビジネスを展望するうえで、メタバースに関わろうとする法人格(個人、会社、団体等)が、次の事柄を受け入れられるかどうかを考えてみる
 
まずは
【現物 ・現実】が手に入らなくても、よいかどうか?
 
メタバースといえども、 必ず【中の人】として、アカウント法人格が存在する。その法人格が、現実や現実の商品・サービスの【現実給付】なしで【仮想通貨】を支払えるのかどうか?

次は
【メタバース】上の死亡や倒産を許容できるかどうか?
 
メタバース上の【仮想法人格】が、突如、消滅したときに、メタバース上の債権債務はどうなるのか?
 
【仮想通貨】を支払ったものの、突如、相手方が消えるという場合やメタバース上での契約や約束が履行される前に、相手方が消えたときに


 仕方ないと割りきれるか?

 
メタバース上の土地取引が話題になるが、現実には月の土地取引や星の取引もあるわけだが、仮想空間は不動産化できなく、不動産名目の「利便性」売買に過ぎない。それは、楽天市場の店舗と同じようなものである

ここで、現実的に考えてみる。メタバース上の建物に、水道や電気やガスの供給契約を結べるだろうか?ー当然だが、できない
 
メタバースの売り買いの構造を整理すると

【仮想空間】での
【仮想通貨】による
【仮想的財】
【仮想法人格】同士で
【仮想取引】する
 
となるが、結局、【仮想通貨】を利殖するバクチに過ぎなくなるだけで、その【仮想通貨】を【現実通貨】に転換できるものが勝利するイカサマともいえる
 
ただし、この世界はブームに弱い
 
最後は、誰かが貧乏クジを引くのだが、自分は絶対に引かないと盲信して、ブームがバクチ的なビジネスをもり立て、それに乗っかろうとしたビジネス行動が暫くは見られるかもしれない
 
とはいえ、多くの人が普及しないと言っていた課金型のネットゲームが流行った。メタバースは決して万能ではないが、その可能性を誤認してはならない
 
仮想が現実を凌駕することの人類のリスクは、先物取引が 現実取引を上回るボリュームを持ったときの破綻を想えば、分かる
 
仮想は、現実が担保しなければならない。芽を出さない種に、水を与える意味はない。仮想通貨で仮想取引した仮想食料や仮想エネルギーで生きていければいいが、生きられるはずはない


現実・現物 が人類的基礎である

仮想空間メタバースは、現場・現物・現実の重要性を高める

3 メタバースの本質はなに?

【メタバースの技術動向に関するセミナーは、すごい人気。メタバースは、社会にどのような影響を与えるのですか?】

たとえば VR。VRで、大学の講義を受けることはできる。しかし大学での講義を聴けても、講義後のカフェでのお喋りや小旅行には、引きつづいて参加できない。なぜならば VR大学は 他のVRメニューとプラットフォームが分離していて、繋がっていないから
 
だから、プラットフォームのネットワーク化をするというのが、メタバースの課題である。メタバースのプラットフォームに、各種のVRが相乗りすれば、アバターとなった自己がさまざまなVRに、他の人と連れだって参加することができる
 
VRメニューを自動的に切り替えることができると、それぞれがシームレスとなり、アバターが街を移動するような感覚になる。他の人と連れだって、みんなで過ごすことができる。それができると、とてつもない新たな可能性が開かれる

 
しかし、それで、できることはなにか?
 

それは、私たちが現在、スマホを利用してできる時間消費体験と、なにが違うのか。基本は同じである
 
どちらにしろ、メタバースが普及していくためには、リアリティ・現実への効率的な結びつけ が最大の課題となる
 
ただ、それ以前に、日本語の閉鎖性から、日本人ユーザーが世界的なネットワークから取り残される可能性がある。いや、高い。シームレスとなるメタバースの世界のなかで、日本語しか話せないとなると、日本人のメタバース利用は国内限定にとどまる
 
またメタバース上の契約に関する法的な債権債務関係を保証するリアルの世界的な法制度を、現在の国家関係で作り出していくのは、難しい
 
すれば 、仮想通貨のごときの縛りがリアルとの紐付けのカギになり、得をするよりも損をする可能性が高い
 
いずれにせよ、世界中で誰も、時間体験以外にメタバースが利用される世界は限定的といえよう。となると、メタバースとはなんなのか?
 
アバターとなって、ネットワーク上での自分の他者からの可視化される。何かをしていることを、他者はアバターを見いだすことで、知ることになる


 誰かが見ている 世界となる

これは ロールプレイングゲームで既に実現しているが、他のVRサイトに行くことさえ他者から見えることになり


すべてが見えている世界となる


これがメタバースの本質のような気がする。


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