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日本経済が低迷するのは、日本人は成功者を妬み、他人の足を引っ張るからという説

2021年の第一四半期の経済成長率を見ると、中国、米国の経済はコロナ過から回復し、成長を取り戻しつつありますが、日本は周回遅れの状態です。

コロナ対策がこの明暗を分けています。中国は徹底した管理と技術の活用によって抑え込みを行い、また米国では圧倒的な技術力と実行力によるワクチン接種率の高さで、成果を上げています。

日本も、ようやくワクチン接種スピードが上がってきており、2021年末ごろにはワクチン接種に目途がつき、コロナ禍から脱却できることが予想されます。

しかし、コロナ禍が過ぎ去れば、日本経済は本当に成長するのでしょうか。

日本経済はバブル崩壊以降、これまで30年間、低成長が続いています。

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出典:世界経済のネタ帳

今後、コロナ禍で抑制してきた消費を取り戻すような、衝動的な成長が一時的に見られるかも知れませんが、これまで抱えてきた根本的な課題を解決しない限り、成長は一過性のものとなるでしょう。

日本の成長が阻害されている原因は、少子高齢化、構造改革の遅れ、国際競争力の低下など様々な理由が取り沙汰されていますが、これまでのところ明示的にはなっていませんでした。

最近、大阪大学社会経済研究所を中心とした研究グループは、日本だけが経済を拡大できない理由に対して、経済学と脳科学を組み合わせて『日本人は諸外国と比較して「意地悪」な人が多く、他人の足を引っ張る傾向が強い』という説を提唱しています。

日本人、中国人、米国人などのグループに公共財を作るゲームをしてもらったところ、日本人はアメリカ人や中国人と比較して、他人の足を引っ張る行動が多い結果が得られたそうです。

また、「新型コロナウイスルに感染するのは自業自得だ」と考える日本人の比率は11.5%と、中国の4.83%やアメリカの1%などと比べて突出して高い結果となりました。

日本人は、他者の成功を許さず、失敗は自己責任と考える傾向が明らかになっています。「出る杭は打たれる」を文化として堅持しているということがわかります。

新しい技術やアイデアが誕生するたびに、欠点や失敗の可能性を指摘して足を引っ張り合うのか、不確実性の中でも挑戦者を鼓舞するのかで、大きく成長の角度が異なることは、容易に想像がつきます。

そして、社会において成功者が尊敬されるのか、それとも揶揄されるのかで、次世代が手本として目指す人物像も大きく異なっていくことでしょう。

この研究結果を読むと、日本の先行きの暗さを感じてしまいますが、現状を認識できれば改善もできるはずです。

まず一つ目は、合理的に考えて、足を引っ張る行為は生み出される価値の総和を低下させ、地盤沈下を引き起こすだけで、自分を浮上させるものではないことを肝に銘じるべきです。

二つ目は、多様性が大きな価値を生むことを理解することです。自分と異なる視点を奇異の目で見るのではなく、それが必要だと認識をしなければなりません。

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2004年と少し古い研究結果ですが、多様な専門性を持った集団は、同質の集団よりも大きな価値を生み出せることがわかっています。多様性は、混乱を生み出すのも事実であるため、平均的な成果は下がりますが、不確実性の中でイノベーションを起こす必要性の高い現代においては、多様性が求められています。

三つ目は、自分自身が生きる目的をしっかり持つことです。自己が確立されてさえいれば、たとえ他者の目線は気になっても、活動の阻害要因にはなりません。自分の意思がないので、傷つくことを恐れるのです。

社会に出て働いている自分たちが変化していくのは当然のこと、次世代を担う人材を育てる公教育が、寛容で多様、そして自立的な方針になっていくことを願います。

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遠藤 直紀(ビービット 代表)
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