付加価値への挑戦:生産性と日本の賃金の関係を探る
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
人材不足による賃上げ圧力が高まる中、大手企業では軒並み春闘での満額回答が相次ぎました。しかし、日本商工会議所の調査では賃上げを実施予定の中小は全体の6割弱にとどまる模様です。
これまで賃上げが思うようになされなかったのは、日本の低成長が長らく続いてきたからです。企業の内部留保は積み上がっているというデータもありますが、終身雇用制度の残る多くの企業では賃上げは長い将来に渡るコスト増という側面が強いため、なかなか踏み切れない事情もあります。
労働時間を短縮しながら時間当たりの賃金を上げることが生産性に与える影響と、それを実行する上での日本の課題を探ります。
時間給の引き上げが生産性に与える影響について
時給を上げることは、生産性の水準に好影響を与えることができます。労働者が自分の時間に対してより多くの報酬を得ることができれば、より意欲的に仕事に取り組み、より多くの成果を上げることができるようになる可能性が高くなります。さらに、賃金が上がれば、仕事の満足度が上がり、生産性の向上につながる可能性があります。
しかし、時間給の引き上げに伴う課題もあります。例えば、賃金を上げすぎると、生産コストの上昇を招き、日本製品のグローバル市場での競争力が低下する可能性があります。さらに、企業によっては賃金を上げる余裕がなく、採用の減少や早期退職の募集などにつながる可能性もあります。
労働時間の短縮と生産性の向上を実現するソリューション
日本の生産性を向上させるために提案されているもう一つの戦略は、労働時間の短縮です。労働時間を短縮することで、労働者は休息や回復のための時間を確保し、仕事中の生産性向上につなげることができる。
企業が生産性を維持したまま労働時間を短縮する方法はいくつかあります。一つは、フレックスタイム制を導入することで、働く時間帯や勤務時間を自由に選択できるようにすることです。また、在宅勤務を導入することで、自宅や他の場所で仕事をすることができ、通勤にかかる時間やコストを削減することができます。
コロナ禍で在宅勤務を導入した企業も多いですが、これをさらに推し進めることでより成果重視の働き方にしていくことができます。ジョブ型雇用を導入していた新興企業では在宅勤務の運用が比較的スムーズにいったことは、このような働き方をすでに実践していたことと無関係ではないでしょう。
日本における賃金の引き上げと労働時間の短縮の課題
賃金の引き上げや労働時間の短縮は、生産性に好影響を与える一方で、こうした変化に伴う課題もあります。課題の1つは、これらの変更を実施するためのコストです。例えば、賃金を引き上げる場合、企業はその費用を捻出する必要があり、生産コストの上昇につながる可能性があります。
また、労働時間の短縮は、特に業界によっては困難な場合があります。例えば、製造業の企業では、生産性のレベルを下げずに労働時間を短縮することができない場合があります。
賃上げと労働時間短縮に成功した国々
日本が生産性向上のための改革を実施する上でいくつかの課題を抱えている一方で、同様の改革を実施した諸外国の成功事例もいくつかあります。例えば、デンマークでは、柔軟な勤務体系と手厚い失業手当を組み合わせた「フレキシキュリティ」という政策を実施しています。これにより、高いレベルの生産性と仕事への満足度が得られています。しかし、これが導入された背景には手厚い所得補償により失業者の勤労意欲が低下しすぎたというモラルハザードがあり、日本でそのまま参考にすることは難しいでしょう。
同様に、スウェーデンは労働時間を1日6時間に短縮する政策を実施し、生産性と仕事の満足度を向上させました。他にも、ノルウェー、オランダ、ドイツなど、同様の政策を実施して成功している国があります。
生産性は労働力の変化をどう促すか
日本が生産性と賃金を向上させる方法を模索し続ける中で、これらの変化が労働力にどのような影響を与えるかを考えることは重要です。例えば、賃金を上げすぎると、採用の減少につながる可能性があります。雇用の減少が失業率の上昇につながるため、経済全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、労働時間の短縮は、労働者が短縮された時間内に仕事を完了することができない場合、生産性の低下につながる可能性があります。この問題を解決するために、企業は労働者の効率化を支援する新しい技術やプロセスに投資する必要があるかもしれません。BIツールやRPAなどの業務自動化支援ツールはもちろんのこと、業務自体を全体的に見直しDXを実現する道筋をつけることはすべての経営者の至上命題となっています。
さらに、企業は従業員のトレーニングプログラムに投資し、従業員が仕事でより生産的になるために必要なスキルを身につけるのを支援することも大切です。これには、新しい技術やプロセス、時間管理やコミュニケーションなどのソフトスキルに関するトレーニングが含まれます。
結論として、効率化は重要ですがそれだけでは企業の競争力をあげることができません。不要な業務を見直し、創出されたリソースを以下に研究開発や自社の競争力の強化につなげるか。それこそが長期的に成長するために必要なことでしょう。
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