変動相場制は正義なのか?

 面白い論考です。「為替レートのたえまない変動は(中略)トレーダーにとっては恩恵だが、それ以外のほとんどの人にとって不安定な通貨は経済的な足かせでしかない」というのはその通りであり、これは多くの日本人が直観的に理解している事実だと思います。「為替は安定していることが望ましい」というのは官民問わず相場変動時に出てくる常套句であり、これを突き詰めていくと「変動相場制は本当に幸せなのか?」という問題意識に到達します。その問題意識への1つの答えがドルペッグであり香港(HKMA)やシンガポール(MAS)的な政策運営になるわけですが、存外にして彼らの通貨政策運営は馬鹿にできないものがあると思います。事実、日銀が追加緩和を検討する局面はほぼ例外なく円高が進んでいる時であり、金融政策が為替に割り当てられているという意味でそれらの金融当局と立ち回りは同じです(公言するかしないかの差でしょう)。政治家の方ですと、過去に自民党総裁選を安倍さんと争った林芳正氏が実は固定相場制を提唱していたように記憶しますが、是非どのようなお考えでそのような着想に至ったのか興味を持ちました。

 もちろん、日本はG7ですし、世界3位の経済大国です。今の国際経済の規範の中で「固定相場制にします」は現実的にはあり得ないわけですが、この記事のように変動相場や為替に対する研究や関心はさほど歴史が古いものではないので、既存の常識を疑った上で色々な施策に思いを巡らせてみるのは面白いと思います。

http://jp.reuters.com/article/global-currency-breakingviews-idJPKBN19S135

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