自分の人生を本業にしよう〜テレワークと副業解禁がもたらすこと
(Photo by Heather Ford on Unsplash)
副業解禁が熱い
厚生労働省は、企業に対し、従業員に副業を認める条件などの公表を求める方針だという。7月に出される新たな指針では、すべての企業を対象に、原則として副業を認めるよう促すそうだ。テレワーク普及が相まって、本業に人生を捧げる社畜はどんどん少数派になっていきそうだ。
私の副業キャリア
私自身、副業のキャリアは長い。15年ほど前になろうか、富士ゼロックスの社員という本業がありつつ、国際大学グローバルコミュニケーション研究所(GLOCOM)の主幹研究員として兼業を始めた。当時、富士ゼロックスの元社長の宮原さんがGLOCOM所長を務めており、「富士ゼロックスではできない研究をこっちでもやらないか」と声をかけてくださったのがきっかけだ。
その後、2012年に独立して株式会社フューチャーセッションズを立ち上げると、その翌年から金沢工業大学のKIT虎ノ門大学院というビジネススクールで教授を任されるようになった。大学も正教員であったため、これはダブル本業と呼べるかもしれない。
いまは、2019年に立ち上げたSlow Innovation株式会社の代表をしているのだが、ビジネススクールの教授は続けている。実は細々と、GLOCOMの主幹研究員も継続している。今年からは、京都工芸繊維大学の客員教授として、リーダーシップの授業を受け持つようにもなった。
副業が未来を開く
副業のよいところは、「収入で仕事を選ぶ必要がない」ことだ。だからこそ、ほんとうにやりたいことを副業として選択することができる。その自由度が高まることだ。そして副業を跳ね板として、次の本業をつくり出すこともできるようになる。
次の記事では、リモートワークが当たり前化したことで、「地方で働く」ことを気軽に実現できるようになったという。地方が絡むと面白いのは、「本業の隙間で副業」のはずだったのが、本格的にワーケーションをし始めたりすると、「副業の隙間で本業」ということが可能になるかもしれない。つまり、リモートワークによって「時間と場所の制約」がはずれ、副業解禁で「所属の制約」までもがはずれようとしてきているのだ。
このことが、働く人のニーズだけでなく、地域活性化のニーズともマッチしていることが次の記事にも書かれている。Maas(Mobility as a Service)をほんとうに意義あるものにするには、「本格的にその地域にコミットする人を増やしていく」ことが必要であり、そのためには副業で地域貢献することが重要だという。
メンバーシップ型雇用の終焉:ふたたび「くらしの時代」へ
副業の隙間に本業をする、というような感覚を得られたならば、次のステップは「すべての仕事をくらしの隙間で行う」ことへのチャレンジである。そのためには、「9時とか10時になったら仕事していないと罪悪感を感じる」とか「昼間から公園でぶらぶらしていると怠け者だと思われる」といった、自らの心のブレーキをはずしていかなければならない。そしてもし、あなたが経営者や管理者であるならば、上記のような罪悪感を「他人を管理したい」という気持ちに乗せてはならない。そうしなければ、ワーケーションしている社員に「9時にはログインしろよ」とか言ってしまい、自由で創造的なムードを台無しにしてしまうことになるだろう。
テレワークと副業の解禁は、メンバーシップ型の雇用の終焉を意味する。時間、場所、所属から解放され、私たちは労働者ではなく、人生の主役に返り咲くことができるようになった。
人生を本業にしよう。どう「くらす」かをまず考え、自分がこう生きたいと決めたなら、そのために必要な副業をどんどん「くらしの隙間」に入れていこう。それら副業の一つが、より多くの安定した収入をもたらすものであるならば、それが制度上の本業ということになるだろう。だが、仕事の本業に心も売ってしまう必要はない。あなたの本業は「人生」である。
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