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生存戦略としてのコミュニティ~自己肯定感を上げる「外の」人間関係の作り方~

 Potage代表・コミュニティアクセラレーターの河原あずさです。2024年の1月はいかがだったでしょうか。そしてみなさんの2023年はいかがだったでしょうか。激動な世の中で、色々な事件があったぞという方も、少なくないと思います。

 我が家にとっての昨年の大事件と言えば、再就職した妻が、会社を辞めたことでした。1歳2歳の年子の母である彼女は「自分のキャリアを途絶えさせたくない」という強い想いを持って、下の子が保育園に入る直前の時期に就活をスタートし、5月から再就職をしました。しかし、10月に下の子が体調を崩して入院したのをきっかけに、また上の子の発達に関して遅れがあると検診で正式に判定されたのをきっかけに、会社を辞めることを決意したのです。

(この話は書けば書くほど積もる話があるのですが、今日の本題からはそれていくので、そこは割愛して話を進めます)

 そういうわけで、色々と状況が移り変わっている妻ですが、そんな彼女が産休育休中にずっと僕に言ってたことがあります。「このままでいると、世の中から取り残されそうな気がして辛い」ということです。

「家で子供の面倒を見るのは楽しいし、前向きだし、良いことなんだけど、そればっかりだと、家の中に閉じこもって子どもとばかり向き合っている場合なのかな?世の中、こうしている間にどんどん動いているのに、なんで自分は、毎日家と、買い物に行くスーパーマーケットと、公園と、保育園と…と、決まったところばっかり行き来しているんだろう?」という焦りがあったと言うのです。

 そんな動機もあって、満を持してというか、思い切ってというか、就職活動して、就職して、彼女は5月に仕事を再開することにしたのです。

 結果、下の子の体調不良などもあって退職することになりましたが「半年間、自分が働けたことに全く悔いはないし、仕事で色々大変なことはあったけど、やっぱり外の世界に触れて、自分自身が社会との接点を持てる状態でいれたということが本当に良かった。ちゃんと戦力として、自分がまだ通用するんだと確認出来て良かった」と言っているのです。

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※記事の下敷きになったVoicyの放送です。ぜひお聴きください!


外の世界とのつながりが開く新たな視点

 彼女の例をみてもわかるのですが、ある場所に固定されたままだと、自分自身の価値を見失ってしまったり、社会との関わりをちょっと見失ってしまったり、そういう迷いのある状態に置きやすいんじゃないかなという風に思うのです。

 特に、例えば、育児の場合、家庭の中でのコミュニケーションが比較的うまくいっているケースはまだいいのですが、仮にそれがうまくいかなかった場合に「あれ?自分が間違っているのかな?」と思い詰めるのは、子育て現役世代あるあるですよね。

 そのような、うまくいかない、迷いが出るような状況におかれたときに、外に接点を持っていると「間違っているのは自分ではなくて、たまたま、こういう環境に置かれているから、自分の行動がNOと言われることがあるんだな」とか「自分が迷っていることも、周りの社会から見ると、そんなに大したことではないんだな」とか、そういう客観的な気づきが得られます。

 「相対化」と難しい言葉で表現しますが、そんな風に「外の環境と行き来をしながら自分自身の立ち位置やあり方をチューニングしていく」プロセスは、現代人において、とても大事なことだと考えています。

育児とキャリアの両立における「第3の場所」の重要性

 そして、これは育児にコミットしている、専業主婦や産休育休中の方に限った話ではなく「育児をしながら働いている方」においても同様のことが言えると思うんです。

 家があって、会社がある。そしてその両方をただ往復する。その二か所の行き来だけだと、同様の現象は起きてきます。

 例えば職場において、自分自身の考えてることが否定されたり、それに対して疑問を呈されたり、あるいはやっていくうちに「これって正しいんだっけ?」と迷いが出てしまうことって、社会人生活を営んでいると数多くあります。しかし、家と職場の行き来だけだと、先ほど書いた「価値観の相対化」はやはり起きづらいのです。

 そこで大事なのが、家でもない、職場でもない「自分の属するコミュニティを持つ」ということだと思っています。

 これは僕なりの表現に言い換えると「社会との関わり方をチューニングするための場所を持つ」ということだと思うんです。

 家庭に多くの比重を持ちながら社会と接点を持つことは、かなり社会とのつながりが限られてきます。

 そうすると、自分のポテンシャルが弱まってりまったり、あるいは迷ってしまった時に逃げ場がなくなったり、自分にとってリスクの大きい状態が生まれると思うんです。

 そこで「働きながら家のことを回そう。家と職場の行き来をしよう」という状態を作ると、相対化が起きて、ちょっとは状況がマシになるわけです。

 しかし、家と職場に限られると、今度は「会社の中で迷いが出る状態」が生まれたときに、これはこれで「自分が正しいんだっけ?」と、迷ってしまう状態が生まれるわけです。

 ではどうしたらいいかというと、自分の家や職場において「なんかちょっと違うな…」という違和感がある場合に自分自身を受け入れてくれる「第3の場所」を持つことが対策としてとても有効です。

 結果として、生きていることが楽になる、自分自身の考えていることが間違っていないんだなという確信を持てる、自信がついて自己肯定感が上がるといった変化が生み出されるからです。

 何らかのコミュニティに属して「自分にとっての第3の場所」をつくることには、そのような効果効能があるのです。

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前向きな心持ちを育むコミュニティの力

 自分が、ネガティブな状態に置かれた時や、自分にとって不利な状態に陥ったときには「自己肯定感のダンピング」が起きがちです。

 「自分なんて価値がないんだ」と、どんどん思い込んでしまって、結果的にもうマイナスのループが起きてくるのです。

 家庭でそのループが起きると、今度は職場でその負のループが伝播することもあるし、職場から家庭にループが伝播することもあります。どんどんどんどんそれが加速してくのです。

 けど、自分自身の存在や価値観を肯定してくれるコミュニティが周りにある時には、そこの負のループを防ぐことができるようになります。

 「○○さんの言うことは、すごくいいと思うよ」とか「どんどんチャレンジしようよ」とか「 失敗してもいいから行動してみようよ」とか、そういうことを言ってくれる人たちが周りにいる環境をつくれさえすれば、自己肯定感は下げ止まるし、結果的に、自分自身がもっともっと前向きに社会に対して、接点を持とうという、前向きな心持ちになっていくと思うんです。

 大事なのは「自分自身が今抱えている状態とか気持ちを相対化するための場所を持つ」ことです。その手段として、自身が属するコミュニティを持つことは、現代社会を生き抜くための生存戦略としてすごく大事なことだと思っています。

自分に合うコミュニティの見つけ方と活用法

 ハードルが高いと思われる方もいるかもしれませんが、まず前提として、コミュニティを自分でつくる必要はありません

 自分自身がちょっと覗いてみたいなと興味がわく場所があったら、イベントに参加したりして、いったん身を置いてみることをお薦めします。

 ただし、ここで意識したいのは、ちょっと身を置いてみて「なんか違うな」と思ったら、するっと抜けていいんだ、ということです。

 そういう時は、自分自身に合う場所をまた探してみればいいのです。オンラインで全国の人たちとつながれる時代ですし、オンラインのコミュニティもたくさんあります。自分なりにリサーチをしてみて、それらをつまみ食いしてみることで、合う場所を探していきましょう。

 そこまでやるモチベーションがなくても大丈夫です。身近な、似た課題を抱えている、自分と話が合いそうな人を2人でも3人でもいいからつかまえて、その人たちと定期的に会ってみる。たったそれだけでもいいんです。

 コミュニティを作るというと、すごく大げさなことを言ってるように思える方もいると思いますが、実のところは、すごくシンプルなプロセスです。要するに「自宅とか職場とか以外で、あるトピックについてちゃんと話せる
お友達を作る」
たったこれだけのことなのです。

 自分なりに似た属性の人が集まる場所に顔をだしてみて、人の紹介などを受けながら何人かとちょっとでもいいから自分の話をしてみる、それが定期的にできる環境をつくるだけでも、自身の「生きづらさ」は、少しずつ解消してくると、僕自身は感じています。

※編集協力 横田真弓(THE MODERATORS & FACILITATORS受講生)
※画像の生成にChatGPT(GPT-4)を活用しています

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