イタリアの政局混乱が、なぜユーロ全体の動揺を引き起こすのか?

ユーロの加盟国は「ターゲット2」と呼ばれる決済システムを通じて、お互いにお金を貸し借りしています。イタリアは「お金の借り手」ですが、ドイツは「お金の貸し手」です。イタリアの「借り」は5000億ユーロに迫り、ドイツの「貸し」は9000億ユーロ近くにのぼります。貸し借りの金額はとても大きく、「借り手」がお金を返せなくなると、「貸し手」は貸したお金が焦げ付いてしまいます。だからイタリアの問題は、ドイツなどにも波及しかねないのです。

 これはギリシャ危機の時に起きたのと同じ問題ですが、ギリシャと違ってイタリアはユーロ圏で3番目の経済規模を誇ります。そのイタリアの国債の格付けは、ムーディーズによればBaa2で、格下げ方向で検討されています。1段階格下がるとBaa3で、「投機的格付け」の一歩手前。そうした動きを先取りしてイタリア国債相場は急落していますが、国債の保有者である欧州の金融機関も大きな損失に見舞われかねません。かくてイタリア発の金融不安がユーロ圏全体を揺さぶっているのです。

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