12月短観から見た23年度業績見通し
景況感3期連続改善、中小もプラス圏浮上 12月日銀短観 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
12月13~14日にかけて公表された12月短観の大企業調査は、11月上旬~12月上旬にかけて資本金10億円以上の大企業約1900社に対して行った調査であり、先日公表された法人企業景気予測調査に続いて、今期業績予想の先行指標として注目されます。
そこで今回では、同調査を用いて、1月下旬から本格化する四半期決算発表で今年度業績計画の上方修正が見込まれる業種を予想してみます。
まず全産業ベースで見ると、12月短観における23年度の大企業収益計画によれば、売上高・経常利益とも上方修正されました。
まず売上高計画を業種別にみると、中でも上方修正が目立ったのが、部品不足の解消で大幅な増産が可能になっていることに加えて、円安や値上げも追い風となっている「自動車」や夏場の原油高や円安により価格転嫁が進んだ「石油・石炭製品」「金属製品」「鉱・採石・砂利採取」となりました。また、コロナからの正常化の恩恵を受けやすい「宿泊・飲食サービス」も上方修正されましたので、こうした業種の売上高上方修正が次の四半期決算で期待されます。
続いて、経常利益計画を基に大幅上方修正が期待される業種を見ると、比較的価格転嫁のしやすい「電気・ガス」「石油・石炭製品」「非鉄金属」「鉱・採石・砂利採取」に加え、円安や部品不足の緩和の恩恵を受けやすい「自動車」が目立ちます。このように、次の四半期決算で経常利益見通しの上方修正が期待される業種としては、価格転嫁が進めやすいエネルギーや素材関連加えて、価格転嫁や半導体など部品不足緩和の恩恵を受けやすい自動車関連が指摘できるでしょう。
一方、大企業の想定為替レートは、2023年度にドル円で138.5円/$、ユーロ円で147.9円/€となりましたが、足元のドル円レートは140円台です。中でも、今期の為替レートを137円/$台に想定している「自動車」をはじめとした加工業種はむしろ円安が恩恵になるため注目されるでしょう。
今後は欧米のインフレ鈍化に伴う過度な利下げ観測の強まり、更には日本企業の賃上げ圧力の高まりなどに伴う日銀の過度な利上げ期待等を通じて、為替レートの水準が急速に円高方向に進まなければ、こうした今期の為替レートを円高水準に想定している業種に属する企業を中心に今期業績が修正される可能性があるでしょう。
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