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米国は「諸刃の剣」を抜くのか?~トランプ政権にとってのドル高対策~

7月以降、米国によるドル売り為替介入の可能性がささやかれ続けています。実際、実効ベースのドル相場はこれほど金融政策がハト派に旋回しているにもかかわらず殆ど下がってこない状況が続いており、ここにトランプ大統領がいらつく理由が見出せます(だからと言ってあそこまで言うのか・・・という議論はありますが)。この辺りを以下のコラムにまとめさせて頂きました:


率直に言って現実的なプランではなく、米国にとっても資本流出懸念を帯びた「諸刃の剣」だと思います。しかし、「合理的」はトランプ政権から最も遠いフレーズであることも確かであり、これまで多くの静止を振り切って様々な決断がなされてきたことを思い返せば予断は許さない状況かと思います。

米財務省の為替安定基金(ESF)は介入基金としては極めて小規模であり、日本円にして僅か7兆円程度です。これは過去に日本が行った円売り介入1回分にも満たない額です。しかし、そもそも無限に実施可能であるはずの自国通貨売りに「枠」が設定されていることが本質的に無意味ゆえ、今後、「枠を拡大する」などのアナウンスメントがあれば為替市場に極めて大きな動揺をもたらす可能性があります。基軸通貨国の為替介入はそれ以外の国のそれとは比較にならない威力を備えるはずです。具体的な想定として「ESFの基金増額を検討→実際に増額→本当に実施」という3段階で米国はドル相場に影響を与えることは可能だと思います。ランダムウォークと称され予想が困難とされる為替市場ですが、変動為替相場制度は結局のところ、米国の通貨・金融政策の「意思」に左右される部分が非常に大きいというところは衆目の一致するところでしょう。基軸通貨国が介入という究極の意思表示をした時の威力は推して知るべしです。

可能性としては文字通りテールリスクであり、極めて可能性は低いと思います。しかし、「まさか」という判断をトランプ政権が何度も行ってきたことを踏まえればリスクの1つとしては認識しておきたいところです。

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