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一生やり続けることだから「ナチュラル・リスキリング」を

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

去年くらいからでしょうか。「リスキリング」という言葉をよく耳にするようになりました。毎週なにかの記事を見かけますし、日々のラーニングの重要性を説く有識者の方のインタビューなども目立ちます。

なんで急にブームになってきたのだろう?と考えたときに、いくつか思い当たることがあります。まず、コロナ禍が大方の予想よりも長引いたことで、本当に働き方が不可逆的に変化しつつあることを実感した。というのがあるでしょう。最初の年(2020年)はなんか大変なことになったけど、そのうち元に戻るのではないかという思っていた方も多かった気がします。初めてのWeb会議や在宅勤務、リモート飲み会なども盛んに行われていました。そして2年目となる2021年。一進一退の状況を繰り返す中で、これはどうも長い間付き合い続けるしかないのではないか?在宅勤務も含めたハイブリッドな働き方が今後の主流になるのではないか?と考えた方々がより広い部屋や書斎を持つために都市圏から近郊へと引っ越しを決断する流れが見られました。

「政策で変えられなかった人の流れをコロナが変えた」。国土交通省幹部はコロナ感染拡大後の人口移動データを眺めてこう漏らす。総務省の人口移動報告によると、東京都から都外に出る人を示す転出者数が2020年7月以降、8カ月連続で転入者数を上回った。足元でも5、6月は転出超過となり「脱・東京」の流れは続いている。

背景にあるのが人々の価値観の変化だ。テレワークが広がり必ずしも東京にいなくても仕事ができるようになった。「東京で満員電車に揺られる日々に意味を見いだせなくなった」「田舎でゆったりと子育てをしたい」。地方や郊外に向かった人々からはこんな声があがる。

そして長引くコロナ禍が企業の業績にも大きな影を落としました。その結果として大企業のリストラ(早期退職、希望退職)も相次ぎ、21年にこれらを実施した上場企業は84社に上りました。

このようなニュースを日々目にすれば、個人の不安は高まります。自身が希望しなくても転職しなくてはいけない日がくるかもしれない。生き延びるためにはスキルを高めておかなければ。という空気が生まれました。企業としてもより新しい事業をつくろう、DXを加速させよう。そのためには既存人材のスキルをアップデートしなくてはならない。より社員教育に力を入れなくてはと思い、様々な施策を検討することになりました。

このような流れが一気にできたのが、去年だったのかなと思います。

一方で転職を経験した方は、自身のスキルを大きくアップデートする経験を持っていることが多いです。そもそも、働く人やツールが完全に変わってしまうので、ついていくためにはやらざるを得ないということもあります。初回こそ大変ですが、2回目3回目となれば事前にやらなくてはいけないことの想像がつくようになります。つまり、学習効果はどんどん上がっていくので、習得時間も初回より短くなるでしょう。

そうはいっても、ラクなことではありません。場合によっては想像よりも大変で、2度としたくないと思うかもしれません。嫌々やる学習ほどしんどいものはありませんよね。そうならないためにはどうすればよいのか? 早大の入山教授は「好きな仕事をすること」が大事と説いています。

日本企業は長らくメンバーシップ型の雇用できたので、社員に好きなことをやらせませんよね。本当は人事が好きな社員にも、営業をやらせたりするわけですから。でも、そのような状態で「リスキリング」と叫んでも、難しいですよね。リスキリングとは、我慢することではありません。大事なのは、自分の好きな仕事をやることです。好きな仕事をやらないと興味が湧きません。興味のない仕事で研修をやらされても、実りあるリスキリングにつながらないでしょう。

そして、入山先生はこう続けます。「やりたいこととは、結局「腹落ち」するということ。理屈ではなく、自分が納得して、共感して面白いと思うこと」であると。

これは真理だな、と思います。私も今月転職してようやく3週間が過ぎたところですが、なぜ転職したかと言えば「共感して面白いと思うこと」を追求した結果でした。実は私が日頃から望んでいる役割(ロール)というのは、極めて国内での求人が少ないものなのです。前職で転職前に社内で異動を模索したときも国内では見つからず、望むのであれば米国に移住して掴むしかありませんでした。たまたまそのときに社外に希望するポジションの募集が出ており、であれば挑戦してみようと思った次第です。

ここ3週間は本当に必死で新しいことを覚えているわけですが、正直楽ではないです。でもやっぱり面白い。この感覚はいつまでも大事にしたいなと心から思います。

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タイトル画像提供:Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

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