DXもCXもすべてはPXから始まる(後編:変化に欠かせないもの)
こんにちは。Funleash志水です。
2021年もまもなく終わりを迎えますね。激動の一年でしたが皆様はいかがでしたか?前回の記事もたくさんのスキとコメントをいただきありがとうございます!
Z世代をはじめとする若手のイノベーションや、若手起業家の成功などが多く報じられていますが、ミドル・シニアの変革を支援したい。こんな投稿は読んでいてとても勇気がでますといった声が届きました。ありがとうございます!こちらが前回の記事の後編です。
前回の記事で少し説明しましたが、2021年私たちFunelashは新しい取り組みを行いました。
ミドル・シニア人材の変革を応援するPX=パーソナル・トランスフォーメーション・プログラム。対象は組織の中核であるミドル・シニア人材です。長年、組織のミッションを遂行するために大きな貢献をしてきた彼らが、キャリアの後半を迎える前に、組織内にとどまらず、主体的なキャリアを描けるように個人の成長(持ち飼って組織の成長にも)とキャリア実現を支援をするものです。複数の企業から参加者を募って3カ月間にわたってパイロットプログラムを実施したことは前回お伝えしました。
プログラムリーダーである岡田美紀子氏の熱い想いを綴った記事はこちらになります。ぜひご覧ください。
さて、今回、PXを開発するにあたり、私たちがもっとも重視したのはBeing(もともとは状態を意味する言葉。ここでは自分の信念や価値観など軸となるものを指しています)を各自に認識してもらうことです。パイロット開始時に「自分の在り方」「未知の自分」に出会う旅にでましょうと伝えました。(ちなみに私が行っているリーダーシップ教育もBeingを柱にした内容です)
自分の価値観や信念、自分がやりたい目的ってそれほど重要なの??
ビジネスに必要な新しいスキルを身につけることが大事では?疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんので、プロセス指向心理学に基づく変革プロセスを簡単に説明します。(詳細は別の機会にしますがビジネススキルを獲得するうえでも土台となるBeingを整えないと効果は半減します)
このフレームワークはクライアントの組織開発や組織変革を支援する際に使っていますが、組織同様、個人にもあてはまると思うので引用します。
変革とは一次の状態(よく知っている、なじみがある状態)から二次の状態(これから起こる、馴染みがない新しい状態)に移行するこのプロセスを指します。「思い込み」や「ねばならないなどの執着」など変革の阻害要因であるエッジ(心理的な壁)を取り除くお手伝いをします。
特筆したいのは「現在の自分の状態」つまり、今の自分の状態、自己を知らない人が世の中にはまだまだ多いという事実です。先日、ご紹介したフィラメント代表である角勝さんのnoteにもこの点が触れられていました。
日常会話で私たちは「自分」「自己」を混同して使っています。けれども心理学的な観点からみるとやや複雑なのです。人の心は自分が「意識」している自分、「無意識」な自分から形成されています。意識している部分を「自我(egoエゴ)」、無意識の部分を含めて全体の自分を「自己」(selfセルフ)と考えます。つまり「自己」(self)とは、単なる「自分」のことを指すのではなく、「無意識」の領域も含むより深いものになります。
私たちは必ず「私はこんな人間だ」という自分なりのイメージを持っています。一方で、実際には周りにそう見えてないこともあります。例えば、自分は暗い性格だと感じていても、他の人にはそう見えていない。こんな経験ありませんか?
つまり、自分では理解できていない自分が実は存在するのです。特に、外部と混じることなく長年周囲から求められている役割に意識が向いていると、これが好き、こんなことをやりたい。それを口に出せず、いつのまにか埋もれてしまう。本当の自分と「周りから期待されている自分」との見分けがつかなくなる。そんなことさえ起こります。先ほどのPXの参加者の場合もそうでした。
変革とは「なじみのない新しい状態」に向かうことですが、未知の領域に踏み込むためにはそもそも「現在の自分の状態」を正確に把握してないと難しいのです。
自分の状態(Being)を把握せず、目的地(新しい状態)へ向かうのは不可能です。したがって、PXでは普段全く接点がない組織外の人たち(講師、他の参加者、コーチなど)との丁寧な対話を通して、思い込んでいる自分を手放し、未知の自己に向き合う時間をたっぷり設けています。
・私が大切にしてる価値観や信条とはなにか?
・どんなときに私の心が動くのか?
・なぜ私は変わりたいのか?
・私はどこへ向かおうとしているのか?
上の部分で「旅」と表現したのは、変革とは「目的地(次の状態)」に向かって歩み続ける「プロセス」であることを伝えたいからです。この旅には終わりがありません。二次の状態に行き着くと、それがまた一次の状態になるため、さらに次の二次の状態を探求します。
小・中学校、高校、大学、そして就職、定年・・私たちの価値観や信念は変化します。人は一生を通して変わってゆく生き物なのです。「変革」とは生涯を通じて経験する長い旅といえるでしょう。
ここまでは巷で展開されている各種研修プログラムでやっているところもあります。とはいえ価値観シートとか、動物などのタイプ分けして、あなたはこんなタイプですで終わり、お疲れ様でした!いう研修やワークショップが多いのも事実です。自分でも多くのセミナーに参加して、「So What(でそれがどうした?)」と講師に突っ込みをいれたくなったのは私だけではないはず。それだけで人が変わるはずがありません。
このようなプログラムに参加してもなかなか変革を起こす行動がとれない理由。それは何十年も同じ場所にいてすでに安定している生活を送っている人たちは、未知で馴染みのない二次の状態に向かいたいと誓っても、やはり「コンフォートゾーン(居心地のよい快適な場所)」に戻ってしまうからなのです。これは私も含め、人間の行動であり、ひとりで立ち向かうのは難しい。人は変わりたい、でも変わりづらい生き物なんです。
自分と向き合うセッションだけで終わらないのが変革を推し進めた経験豊富なプロ集団であるFunleash。
他とは違うところです。私たちFunleahには、自分がやりたいことを発見した、あるいは目標を見つけた参加者がリスクをとって踏み出せるように、なんちゃってではない正真正銘のプロコーチや講師をアサインしたり、複数の業界で活躍するさまざまなビジネスパーソンとのネットワークを提供します。
また、参加者の組織の人事や上司などと連携をとりつつ、「変革を起こす」というステップを寄り添いながら見守ります。アカデミックな観点から、変革には「支援者」と「職場や家庭とは新しい異なるコミュニティ」が不可欠であるということが明らかになっている。アカデミアと実務の両軸からアプローチする我々の得意分野なのです。
下の記事では、「シニア雇用、社外でも売れるミドル育成を」と、人員削減など従来の施策で済ませるのではなく、中高年社員が外部で活躍できる仕掛けが企業に求められているとあります。大部分は同意するものの、「会社から雇用される」前提でよいのかと疑問に思います。これからは「脱会社」で考えること。
「外部から声がかかる人材」になることも重要です。それ以上に、培ってきた経験や知識などビジネス資本を軸に、自分をアップデートして社会関係資本を増やす。転職、起業、副業、フリーランスなどセカンドキャリアの選択肢は社内外で多岐にわたります。若いときよりもむしろ広がっています。その意味ではこれはミドルの特権でもあります。
最近のメディアでは、50代のバブル世代やミドル層を「変化できない」と決めつけ、「働かないおじさん」「仕事ができないおじさん」は組織のお荷物。こんな記事が急激に増えています。中には「このままだと大変な老後ですよ」とか「未来はありませんよ」のように不安を煽るような記事や広告も多い。
この「おじさん」とか「おっさん」とかの言葉は、年齢を差しているのですかね。そうではないはず。過去の成功体験にしがみ付き、古い価値観に凝り固まって、新しいものを受け入れられない人たち。傲慢で今のスキルだけで満足し、受け身で上司から言われただけをやって自分の頭で考えない・・そんな人たちは、若手やミレニアル世代であっても「おじさん」カテゴリーに入るべきでしょう。(年齢に関わらず「自分はおじさん的な言動していないか?」定期的に自己&他己チェックしたいものです。)
未知の自分を知り、自分がやりたいことを目指し、謙虚な姿勢で自分をアップデートし続ける。周りの人を巻き込みながら夢に向かって一歩踏み出す。そんなミドル・シニア層が私の周りにはたくさんいます。あなたもできます。「カッコいいミドル・シニア層」が一人でも増えるようにPXをブラッシュアップして来年、本格的に展開します。どうぞお楽しみに!
最後に。
これまで書いた記事を読んでくださり、心から感謝しています。来年はもっと経営・人事を勉強し、ビジネスにより役立ち、かつ一味違った世界観(?)による情報や知見を提供したいと考えています。
何より一人でも多くの方(たった一人でさえも)に、私のnoteから小さな勇気や希望が得られることを願います。
2022年が皆様にとって実りの多い最幸の年になりますように!!