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車社会の終わりの始まり 都市を緑化し車道を歩道に取り戻そう

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

銀座や有楽町の真ん中を突っ切る首都高KK線をご存知でしょうか。正確には高速道路ではないのですが(東京高速道路株式会社線)、両端が首都高と接続されてそのまま通行可能であり、事実上一体化して見えることから便宜的に首都高と呼びました。

いま、このKK線を廃止して遊歩道にしようという再開発案が出ています。モデルケースとしては、ニューヨークのハイラインやパリのプロムナード・プランテでしょうか。どちらも鉄道の廃線跡を遊歩道として再整備したもので、地元民はもとより観光スポットとして大変人気があります。

東京・銀座の街を囲むように走る東京高速道路(KK線)が歩行者向けの空間に生まれ変わる計画の全容が見えてきた。東京都が2月に公表した「中間まとめ案」では、車道を廃止して歩行者が散策や眺望を楽しめるようにするほか、イベント会場や飲食物の販売などにも利用して、街のにぎわい創出に生かす方針が示された。
KK線は京橋から銀座を通って汐留へ続く、全長約2キロの高架の自動車専用道路だ。首都高速道路の都心環状線と同八重洲線に接続し、東京高速道路(東京・中央)が都の土地を借りて運営している。通行は無料で高架下の商業施設「銀座インズ」や飲食施設「銀座コリドー街」などの店舗の賃料などで道路を維持している。

これまで高速道路は建設されて以来、拡大しつづけてきました。しかし、今後の人口減や都心部を通らずにバイパスできる環状線の整備が進んだことから再考するタイミングに差し掛かっています。特に都心部の首都高都心環状線は、前回の東京五輪である1963年に開通しました。すでに50年以上が経過した今でも1日約10万台の通行量があり老朽化は進んでいきます。日本橋にかかる首都高はこれを機に地下化し、本来の日本橋の空を取り戻すプロジェクトが進行中です。

前回の東京五輪といえば、まさに高度経済成長真っ只中。成長する経済を支えるためには物流は最重要であり、景観よりも車。結果として公害も社会問題化しました。そして今回の東京五輪。予期せぬ無観客での開催となりましたが、そのビジョンである「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」は、より個人個人に寄り添ったものとなりました。

このような時代の流れを踏まえると、都市の形もより人間中心的になっていくのだろうと想像します。なにより、銀座の街をいつもとは違うちょっと上から眺めながら散策ができると思うとワクワクしてきます。

数年前に実際にニューヨークのハイラインに行ったことがあるのですが、とても素晴らしい経験でした。

思い思いの時間を過ごす人々(筆者撮影)

ハイラインも以前は非常に治安の悪い廃墟後だったそうです。今では近隣の街にも影響が出て、カルチャー発信地のようになっています。終点付近は大規模な再開発によりアートなような建築物もできています。ここも人気の観光スポットですね。

海外の都市では車道を縮小して歩道化していくこともトレンドになってきています。特にヨーロッパは歩道のオープンカフェが文化として定着していることもあり、人口減の時代を見据えて街の魅力づくりに取り組んでいます。日本の都市部においても、より人に優しく楽しい街づくりになっていけばいいなと思います。

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※ タイトルおよび本文画像はすべて筆者撮影

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