中国の本屋は絶滅するのかそれとも進化して本屋の概念を変えるのか
北京生活でよく通っていた本屋「言几又」が繁華街の王府井という場所にあって、久しぶりに訪ねてみたらまさかの閉店になってました。
ショックを受けて、他にもちょっと調べてみたら2021年にお店を閉めた有名な“リアル本屋”はけっこうありました。
ということで、今日はちょっと中国のリアル本屋の話をしたいと思います。
まず、前提として中国の人はめちゃめちゃ読書します(もちろん、例の如く広すぎて人口多すぎなので一般論です)。読書の習慣について、中国政府が2006年から「全民閲読」というキャンペーンを開始し、長年にわたって続けています。第18回全国国民閲読調査の結果によると、2020年には成人国民が平均的に4.7冊の紙の本を読み、11.6%の成人国民が年間10冊以上の紙の本を読んだとのデータがあります。
ご存じIT先進国の中国。日常生活のあれこれも、健康証明書も、そしてお金のやり取りもほぼスマホって感じになってますので、「紙で本読む人なんているんですか?」という印象を持ってるかと思いますが、僕の周りの印象でもデータでもかなり“リアル本”で読んでることがわかります。
また、図書の販売現状として「2021年図書小売市場報告書」ではオンラインとオフラインの1.8万あまりの統計対象店舗を分析。2021年に中国図書小売市場の推定定価総額は986.8億元で、オンラインでの販売は約8割を占めてます。オンラインでの販売が多い理由の一つは割引が大きいこと。2021年のオンラインでの割引は例年よりも高かったそうで、全体的にオフラインとは31%の価格優位性があると分析されています。
販売部数が比較的少ないリアル本屋は卸価格も劣勢にあります。リアル本屋への取材で判明したのは、リアル本屋も時には直接ネットで仕入れする方が安くなるということです。
というわけでリアル本屋がだんだん苦しくなっているのは明らかなのですが、そんな中でも本屋が大好きな経営者たちはいろんな努力をしていて生き残ろうと頑張ってます。北京もそうですが、愛書家たち評判の本屋が次々と経営面積を縮小したり、潰れてしまったりしてる一方で、街の中でオシャレな本屋がけっこう増えてます。素敵な空間やちょっと高めのドリンク、または“映える内装”や本と繋がりそうなイベントの開催など、とにかく客層を増やして本の販売以外の収入を増やそうと経営しています。
とある記事では、中国全土の様々な本屋をピックアップしていて、見れば「今時の中国の本屋はこんな感じなものもあるんだ」となんとなく伝わると思います
(画像は全てhttps://baijiahao.baidu.com/s?id=1725199033141856014より)
↑国有企業である北京出版グループが経営する北京香山新華書店
↑同じ最大手の新華書店系の広東新華四閲本屋
↑広西にある韬智書店
↑PAGEONE北京の花園胡同店
↑日本のSNSでもたまにバズってる钟书阁の深圳店。ちなみに北京店に行ったことがあって、オシャレで本の選択もそんなに悪くもないけど、とにかく写真を撮りに来る人が多くて、興味のある本をちょっと立ち読みしようものなら他人の写真撮影の邪魔になりやすいからあまり気分が良くなかったです笑
画像ではわかりにくいかと思って、動画ではこちら↑
↑南京の鳳凰国際本屋
↑南寧漓江書院の本屋のイベントスペース
そして日本勢も参加しています!
(画像はhttps://baijiahao.baidu.com/u?app_id=1564439085192945より)
↑2020年に上海でオープンした蔦屋書店一号店
↑やはり映えが大事で内装にはかなりこだわってます。
↑そして昨年の11月12日にオープンした2号店
↑本屋というより図書館っぽい。
こういったスタイルでの経営に変えた場所もある一方、昔ながらの本屋さんのスタイルで頑張ってるところももちろんあります。
↑これは歴史系専門に扱ってる本屋さん。店員さんがとても丁寧に教えてくれて大好きで通っています。
ちょっと前に日本の取り組みをニュースで読みました。
効率性やコストなどを考えると通常の本屋のままやっててはWebに苦戦するのはもう必然ですので、どうやって付加価値をつけてお客さんに来てもらって応援してもらうかが大切ですよね。今までの本屋の枠を超えて、美術館みたいにしていく振り切ったスタイルは反響が大きく集客も好調なようです。
日本の本屋さんもこういったスタイルの場所は増えてますか?ぜひコメントで教えてください!
(参考資料)