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アクセシビリティの高いオンライン劇場をみんなで考え、育てる。

まだまだ収束する気配の見えない新型コロナウィルス。本当に私たちの生き方・働き方に影響を与えているなあと実感しますが、マイナスだけでない側面としては、コロナで浸透した在宅勤務が、ハンディキャプを抱える方の働き方に追い風になっているそうです。

その一方で、感染対策が広がったことで、ハンディのある方が外出に困難を感じるケースが増えており、当事者や支援団体は「コロナ後の新常態にバリアフリーの視点」を求めているという視点も。

そんな状況を踏まえ、#日経COMEMO の今回の募集テーマが  #バリアフリーな働き方 とのことなので、いま自分が関わっているバリアフリーに関する活動について書いていきたいと思います。

”バリアフリーな場所”とは!?

株式会社precogが2月に開始したオンラインの舞台鑑賞の場『THATRE for ALL』というオンライン劇場があります。

文化庁による文化芸術収益力強化事業として、新型コロナウイルスで外出困難となった人たち、障がいや疾患、育児や介護などを理由に劇場や展示鑑賞が困難な人たちに対しても、誰もが好きなときに好きな場所から芸術に親しめる、オンライン上のアートセンターの実現を目指していく新しい映像配信プラットフォームです。

サイト上でもアクセシビリティについてこんなステートメントを出しています。

THEATRE for ALL では、私たちのコンセプトやミッションをカタチにするために、さまざまな当事者や専門家の声を聴きながら、サービス全体のアクセシビリティ向上や各作品へのバリアフリー対応、多言語対応を行っています。 サービス・作品へのアクセシビリティを高めることは、障害当事者や日本語が母国語ではない方、などに対して回路を開くのみではなく、誰にとってもこれまで気づかなかった世界の見え方をおしえてくれるものだと私たちは考えています。

2月5日のローンチに際して、各種メディアにも記事になりました。

「THEATRE for ALL」は、新型コロナウイルスで外出困難となった人、障害や疾患のある人、子供、母語が日本語以外の人などに対して“開かれた劇場”を目指す、バリアフリー対応のオンライン型劇場。演劇・ダンス・映画・メディア芸術を対象に、日本語字幕、音声ガイド、手話通訳、多言語対応を施した動画が配信される。
本日新たに配信が発表されたのは、三好大輔 / 川内有緒のドキュメンタリー映画「白い鳥」、佐藤雅彦によるオンライン授業「映像とコミュニケーションデザイン」、Dance Base Yokohama「ダンスのアクセシビリティを考えるラボ~視覚障害者と味わうダンス観賞篇~」、ウィスット・ポンニミット「hesheit」、ながめくらしつ×Scale Laboratry「...の手触り~こころの手触り~」、藤田善宏×益田市石見神楽神和会 青年部「SHOKI -鍾馗-」の6作品。

私はこの事業に、公募作品審査員として、そしてファンディングディレクターとして関わらせて頂いていて、まさに「バリアフリー」ってなんだろうかという事に向き合う仕事に関わっているのが今の状況です。

前述のように、『THATRE for ALL』は何かと一言で言うならば、「劇場体験に、アクセシビリティを。」をミッションに掲げているアクセシビリティに特化したオンライン劇場です。

だれでも、いつでも、どこからでも。
ひとりひとりが繋がれる “劇場”。

それはつまり、ユニバーサル(普遍的)な場所とも言い換えることができるんだと思います。コロナ禍で舞台芸術をオンラインで届ける環境を作らなくては行けないのであればそれを逆手にとって、劇場にアクセスできなくなったことで発生する「これまで劇場に来ていた人達」へのアクセシビリティを高めるだけに留めずに、オンラインだからこそ出来るオフラインではなかなか取り除くのが難しいバリアを取り除き、障害当事者や日本語が母国語ではない方にも楽しんでいただくような設計にし、舞台芸術をユニバーサルに届けていく。そしてそれによって舞台芸術の新しい地平を拓いていく取り組みです。

正解がない”バリアフリー”

このプロジェクトをはじめてお伺いしたとき、コロナ禍の難しい現状をむしろチャンスと捉えて演劇表現が広がる可能性のある、素晴らしいアイデアだと思いました。

舞台芸術人口や、舞台芸術を楽しむ人口を増やすこと。
それはとても大事な事ですが、コロナ禍によって減退しかねない状況のなか、この『THATRE for ALL』には可能性で溢れています。

一方で、「バリアフリー」というものに対して、専門外であった自分としては、限定的ではありますがこの『THATRE for ALL』に関わらせていただくことで、月並みですが本当に正解がバリアフリーには無いんだなという実感を得ました。何か民主主義に完成がない事に近い感覚を受けています。

副音声や音声解説など、これまでに無いアクセシビリティ向上に対応した作品に触れると、むしろこれまでバリアを感じずに作品を楽しんでいた人にも新しい発見や体験が生まれることにも気づき自分が全く考えていなかった未来も実感しつつ、まさにシアターフォーオールの「ALL」は一体どこまでのエリアをカバーしているのか、抜け漏れている当事者は存在しないようになれるのかというのを間接的に当事者の方々のお話しを聴くと、全く創造出来ていなかった状況が浮かび上がります。

そこには、自分が考えた想像や想定では到底考えつかないものがあるという大前提は本当に強く持たなくてはいけないと感じます。

ヒアリングでは、「情報保障を施した動画配信サイトがあったら障害当事者の方はご覧になるでしょうか?」「どんな仕組みがあると助かりますか?」「私たちprecogがこういった事業をはじめるということ自体、どのように感じられますか?」といったことからお話をお聞きし、「バリアフリーってうたってどこまで何をやるつもりなの?」「アクセシブルにしていくためにはこんなことも考えたほうがいいよ」といったアドバイスやご意見をいただいてきました。(ご協力いただいているみなさま、本当にありがとうございます。)

例えば議論の一部として、
・THEATRE for ALLという名称に少し違和感がある。みんなって、一体誰のための劇場なのか?
・すぐに「みんな」へのバリアフリー、情報保障を用意するのは到底無理なこと。一方的な事業にならないように、「インクルーシブにみんな(ALL)で考えて育てていく事業」になるように仕組みを考えたほうが良いのでは?
・バリアフリーのオンライン事業考えた時に、当事者にとっては、経済的な事情や環境(wifiなど)の問題もある。
・障害のある人への舞台芸術鑑賞サポートは十分であるとは言えないまでも、視聴覚障害のある方に対する舞台鑑賞サポートはまだ存在する。知的や精神に障害をもつ方達への舞台への関わりについて議論がまだまだ薄いと感じる。

様々な方との議論を通じて得た大切な視点を、今後はより世の中にオープンな形式で共有していこうと思います。イベントや取材を決行し、そのレポートを発信していく中で、関わっていただける方を増やしていくための活動へと展開する予定です。

この実感や実体験みたいなお話しは、ぼくよりも『THATRE for ALL』のメンバーが執筆しているNOTEがよりじっくりと書かれているので、是非そちらもお読みください!

バリアフリーな働き方を探る為に

され、今回の本題のバリアフリーな働き方について、翻って考えたいのですが、働く事は生きる事、生きることは楽しむことという意味で、単に労働という観点からバリアフリーを語っても意味がないと感じています。

むしろ、今回の『THATRE for ALL』を通じて、バリアフリー、そしてバリアをなくすということから一歩進み、「ユニバーサル」という事について当事者性を獲得しつつインプットしていくことで、お仕着せやかってな推定からの形だけのバリアフリーな働き方を構築してしまう罠から逃れられるかも知れないと思っています。

『THATRE for ALL』自体も、『THATRE for ALL』のアクションが正解であるというスタンスではなく、みんなで『THATRE for ALL』とともに「ユニバーサル」を学んで行こうというスタイルで運営が始まっていて、そのためのコミュニティも誕生しています。

多様な視点・視座での議論が飛び交うインクルーシブな現場での発見、学びや知見をもっと沢山の人に共有していきたい!様々な人との感想シェア会、開発過程の見学会、メンバー同士の交流やイベント招待など。ともに学び、考えていくコミュニティです。

ここで得られるものは本当に多いはずだと思っています。
福祉もアートも、ビジネスも。変化していく時代に、是非みんなでアクセシビリティを考えて行きたいと思います。

その結果、いつかこの「バリアフリーな働き方」という問いに、一つの回答らしきものが生まれるかもしれません。

最後に

みんなでアクセシビリティを考えていく、アクセシビリティに特化したオンライン劇場『THATRE for ALL』に関連したオンラインイベントについてもお知らせ致します!ご都合合えば是非!

3/5(金)
True Colors FASHION メガ会議「多様性時代のファッションデザインとは?」


2/27(土)
エレクトロニコス・ファンタスティコス!オンラインws「電磁な耳の開き方」


2/27(土)
 目の見えない人と「会話」で楽しむ、美術鑑賞ワークショップ



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#MOTIONGALLERY #POPcorn #さいたま国際芸術祭2020キュレーター #映画プロデューサー 外資戦コン→東京藝大→起業 社会をみんなでクリエイティブにする為に、クラウドファンディングのMOTIONGALLERYとマイクロシアターのPOPcornをやってます