所得格差は広がる一方。なぜ皆、我慢できるのか?
ごく少数のお金持ちが、世界の富の大半を所有するようになり、その傾向は年々拍車が掛かっています。
特に米国では、経営者と従業員の所得格差は激しく、こんな記事がありました。
最大5000倍!社長と従業員の「報酬格差 」が止まらないカラクリ(マネーゲンダイ 2018年7月25日)
コーポレートガバナンス調査機関Equilarが発表した2017年のデータによると、全米で150万人もの人を雇っているウォルマートは、従業員の年間所得の中間値が1万9177ドルと、200万円程度でしかない。ところがCEOのダグ・マクミロン氏は2220万ドル、ざっと24億円の報酬を手にしているので、その格差はおよそ1200倍にもなる。
所得格差は、社会にとって悪影響が大きいことが様々な調査結果から、わかっています。むしろ、現代が抱える最大の課題と言っても良いかもしれません。
ピーター・ドラッカーは、ネクスト・ソサイエティの中で、これからは専門知識に基づく知識労働者の時代になると定義していますが、現代の教育が変化に追いついていないため、多くの人が価値創出側から零れ落ちています。その結果として、格差がどんどん広がっていると認識をしています。
しかし、だからと言って、暴動が起きるわけでもなく、選挙の大きな争点にもならず、格差を縮小させる力は弱いままです。
Why Do People Tolerate Income Inequality?(ハーバードビジネスレビュー英語版 2019年11月20日)
この記事では、その理由は3つの人の考え方からきていると説明しています。
① 所得は「努力や活動の結果である」と信じている
②人は付き合っている人の中での自分の位置づけに大きな興味を持つ
③人は所得水準を上げることで満足を得る
個人個人が、自分の位置づけと、それを高めることにしか興味がないため、社会全体の所得格差を減らすことに興味を持っている人は少ないことがわかってきています。
つまり、個別活動の集積では、この課題を解くことはできません。課題をより可視化して、みんなが認識できるようにすることで、社会全体の仕組みを再構築する気運を高めていくことでしか、解決する道はなさそうです。
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